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HUNTER×HUNTER395話感想 冨樫の心の内は冨樫にしか分からない

幽遊白書とレベルEとハンターハンターの共通点、何があると思いますか?私が思う一つは「テレビゲームの世界に入るってネタ」です。

 

見つけたときは作者冨樫義博はよっぽどゲームの中に入りたいんだろうなあ、とか呑気に笑ったものでしたが、今回395話でもう一つとても笑えない共通点に気付きました。

 

「快楽のために虐殺する用の子どもを攫う人身売買組織」です。

 

週刊少年ジャンプ 冨樫義博 ハンターハンター No.395 「結成①」

 

現在ジャンプのハンター毎話感想ブログをかなり遅れて書いてます。今は398話まで発売されてて4話遅れです。早く追いつきたい。

 

そんなわけで先の話を読んでて今回初登場したサラサの末路を知った上での395話感想です。でもまずは順を追って書いてきます。

 

 

 

冒頭はエイ=イ一家を追跡するヒンリギ。機械を動物に変える彼の念能力「てのひらを太陽に(バイオハザード)」は相変わらず超万能。

 

ジョジョ5部のジョルノのスタンド「ゴールドエクスペリエンス」に似てることで有名ですね。第4王子ツェリードニヒの能力もディアボロの「キングクリムゾン」にこれまた似てるのでセットにされやすいです。

 

能力漫画業界では作品ごとに同じような能力がカブるのは宿命であり、そこは「どう見せるか」で差別化するのが漫画家の腕の見せ所です。その点で言えばこの二人は見せ場はまだまだこれから。

 

あと全然関係無いけど「爆弾を作り出す能力」アイデアの元祖は幽遊白書のだと思うんですがどうでしょ?

 

 

 

話を戻して、ヒンリギとオウは前回初登場した第4王子私設兵ボークセン達と早々に接触して根回ししてます。これで(一応)堂々とエイを襲えると。それにしても私設兵の若者達はマジで今後どんな役どころが待ってるのか気になります。

 

 

一方じじいがいた3101号室に直接向かうのが旅団

 

隣の3102号室に押し入り、中にいたろくでも無さそうなチンピラをフェイタンが無言で脅すコマがめっちゃ印象的です。

 

 

ただ、これは結果論ですが、3102号室にいたのがもし善良なカタギだったら旅団はどうしてたと思いますか?同じように脅して捨て駒に使ってたでしょうか?

 

私はしてたと思います。これについては次回以降の感想で書きます。旅団は無辜の人々も殺戮する集団ですよね?

 

 

 

で。そこから奥のエイのアジト(の一つ)のもぬけの殻を見て、フィンクスはエイの行動はちぐはぐだと指摘します。確かにちぐはぐです。死体を綺麗に処理してるかと思えば公式事務所に倉庫番の死体を残してたりするとことかも。

 

ノブナガはそれを行きあたりばったりの行動だと推測します。まるで昔の俺らのようだと。

 

そしてそこから……なんとまさかの回想が始まりました!!!

 

冨樫が連載再開前にツイッターでチラ見させてくれた森林の絵は回想での流星街でした。

 

 

回想が始まったときはいろんな意味で呆然としました。今ここでそれを始めるんかい!と。

 

しかもVHSビデオテープが出てくるわ、過去のウボォーギンパクノダが出てくるわ、かつてのヨークシン編を踏まえての回想です。その連載は西暦2000年ごろ。もう20年前の。

 

それがここで始まるってことは、旅団のバックボーンはそれこそ20年前から構想されてたこと、そして作者冨樫はこのエピソードを今回ここに挿入することにかなり強い決意がある、って印象を感じました。(ノブナガ始点の回想の内容がクロロ主観なのはかなり強引です)

 

ぶっちゃけ冨樫の健康状態は不安の一色です。今回の連載も私は10話で一区切りだと予想してますし、その次の再開がいつになるかは計り知れません。

 

もちろん彼が今「半デジタル化」などなど仕事のやり方を積極的に模索してることや、構想自体は以降30話分は製作されてることは知ってるので、なんつうか彼の中の火は消えてないとも感じるのですが、でもやっぱりまたいつ執筆作業が不可能になっても何もおかしくないと思ってます。

 

だからこそ冨樫は旅団の過去の物語、「いつか絶対描きたいと思ってたもの」を「今描けるうちに描く」ようにしたのかな、なんてことを思いました。20年越しの。

 

 

 

ところで私は実はハンターの単行本を持ってません。あるのはジャンプを電子で買うようにしてからのバックナンバーと、昔子どものころに紙のジャンプで読んだ記憶のみです。

 

昔の単行本を読み直すためだけに今買うことは躊躇いがあります。迷った末に買わないことに決めました。

 

無料で合法的に読む手段としては、ジャンプラとかの無料公開を待つか、あとネカフェか古本屋立ち読みは合法だけど店にあるとは限らないし、あるいは海賊版を一切ダウンロードせずに閲覧だけをするのは違法ではないんでしたっけ。いや、これは自信無いしそもそもあまりに道義に悖るしどこで出来るかも知りませんし、さすがにパスです。

 

結局私は「昔の話の記憶が朧げな読者」のまま今のハンターを読んで感想をありのまま書くことにします。旅団への印象も。そういう視点があってもいいでしょ。きっと。

 

 

またもう一つ、シーラは2016年ごろ描かれた「クラピカ追憶編」にも登場し、また、クルタ族虐殺事件になんらかの形で関わる重要人物でもあるのですが、これも私は確か当時のジャンプに載ったのを一度読んだきりの知識しかありません。というか忘れてます。

 

 

本当に旅団とクルタ族の物語はずっと昔から構想されてたんだなあー、とか思うと同時に、かなり昔の話や外伝まで細部を熟知してないとついていけなくなりそうで不安だとも思います。でもまーもしそうなったらしょうがない。その時は「熟知してない読者」として鑑賞すればいいだけです。

 

 

 

さて。その回想、まずはVHSビデオテープ。現実世界では2012年ごろから廃れた記録メディアですが、ヨークシン編連載時2000年ごろは当然まだ現役でした。

 

あとついでに幽白の黒の章をなんか連想してしまいます。そこからさらにクロロと仙水のイメージも繋がってくのですが、それは別の話。

 

 

ハンターは世界観自体が22年間の連載中にガラケーからスマホになったり時代の変遷があるのですが、これはいわゆるドラえもん時空の亜種なので、矛盾には当たらないです。

 

この回想は、今のクロロの年齢が26,7歳とのことで作中で15年ほど前のものであり、この世界観ではVHSは当時ゴミとして増えてきた存在だと認識すればいいだけのことです。

 

 

 

で、後に旅団となるメンバーの若き日々。シズクコルトピボノレノフ以外の。

 

彼らは幼少時からの付き合いで、子どもなりにいくつかの派閥に別れて無邪気に「ヤンチャ」してた様子が描かれます。うーむ。

 

そして流星街は、どうやら数年前まではまだ国家として機能してた国だったようで、教会や電子機器設備が残ってます。

 

ここは何らかの(どうせろくでも無い)理由で無政府になり、世界のゴミ捨て場になり、自治組織ができ、そんな頃にクロロ達はここで生まれたのでしょう。

 

ついでに言うとここは人種のゴミ捨て場でもあり、元は様々な国籍だった棄民もここに集まってるから、旅団創立メンバーも同郷なのに多国籍っぽい状態なのでしょう。

 

 

 

そこでのクロロとパクノダ(超ベリショ!)は、貧しく治安の低い社会でもまっすぐに、恋の気配がするほど健全に育ってて、さらに天才児なことが明かされます。しかしクロロの悲しき過去。しゃあっ。

 

 

彼はもし何も大きな悲劇がなければ流星街の希望になれてただろうし、もし犠牲になってたのがパクノダだったら壊れて再起不能になってたのでしょう。

 

そのどちらでもなかったので彼は幻影旅団の頭にこれからなっていく、という話。

 

 

 

彼らが「清掃戦隊カタヅケンジャー」のビデオの上映会を楽しそうに企画してる合間にも、流星街のあまりに不穏な様子が描かれます。

 

 

流星街には国家法も無く国際法も当たらないから、中の人を攫おうが殺そうがやり放題で、実際に子供が車で攫われてます。

 

395話はそこで続く。初めて読んだときはこれだけでどんな展開になるか予想できて、実際その通りの悲劇が待ってたわけですが。

 

 

 

さて。人身売買です。

 

幽白でもレベルEでもありましたよね。人身売買組織。子どもの妖怪や宇宙人が攫われて売られて、ときに徹底的に虐殺されてました。

 

ハンターでもこれまで残酷描写はありましたが、虐殺が商売として成立してて、金持ちや上流階級のそういう趣味の人間のために子どもが商品として売られてる世界観がこの漫画でも登場してしまいました。

 

(「顧客」にツェリードニヒは関わってるんでしょうかね?彼はクロロと同世代だと思いますが)

 

 

 

現実でも、強姦とか殺人とかいうレベルを通り越したあまりにも残虐な犯罪ってのは実際に起こりえます。

 

私は近年ではカナダの古い寄宿学校で215人の子どもの無記録遺骨が発見されたってニュースが印象に残ってます。

 

 

あとウクライナでロシア兵がウクライナ一般人をとてつもない拷問で殺したってニュースも聞きます。日本でも惨殺事件はゼロではありませんし。

 

 

ただ冨樫の作品に出るそれは「人身売買が組織的なビジネスになってるところ」「顧客が金持ち上流階級であるところ」が大きな特徴だと思います。なんていうか、現実ではIQの低い粗暴な人間が突発的に惨殺事件を起こすのが多いけどそれよりも、IQの高い社会的成功者が「上手に」それを行ってる世界を描くことに重点を置いてそうな感じ。

 

でもそれが何を意味するのかは、私には分かりません。冨樫の心の内は冨樫にしか分かりません。

 

 

ふう。それにしても、現実世界でもやっぱりあるんでしょうかね。華々しい社会的成功者が実は子どもを殴って薬打って斬り刻んで焼いてレイプして殺すのを趣味にしてて、そしてその欲を満たす商売の存在。

 

 

 

 

 

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