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マイホームヒーロー最終回感想 志野は死んでほしかった

ヤングマガジンで山川直輝と朝基まさしが連載してた「マイホームヒーロー」、私はずっと楽しんでてこのブログでも時々感想書いてました。

 

でも2024年7月に最終回になったのですが感想をずっと書きそびれてました。12月になって今更書きます。書くことが今年やり残してたことの一つだったので。

 

つうかここまで書く意欲が無かったこと自体がもう感想です。クライマックスや結末に私はどうもカタルシスを感じなくて、なんか火が消えてしまった感じでした。

(今日書きたい感想に関係ないんですがラストバトルの明砂のキャラと行動と表情はすごく良かったと思います)

 

さて。私が思うこの漫画の魅力は主人公鳥栖哲雄の巧妙な犯罪計画と実行力です。いつもあっと驚く計画を立ててそれを見事に成功させて、種明かしされたときに「なるほどなあ~」と感嘆するという。

 

一方で哲雄は完璧な犯罪を実行するたびに毎回毎回苦悩して「僕は殺人者なんだ」とかいう感傷に浸るシーンが必ずあって、そのたび「そこはもう分かったよ~」と食傷気味だったのですが、クライマックスに近づくにつれてそっちの感傷のほうの描写がさらに増えてしまい、まー、まー、それはこの漫画の初期から分かってたことなんですが、でもやっぱりその多さには本当おなかいっぱいになってしまい、逆に感嘆の感情は風船が萎むように小さくなっていったというのが、本当にありのままの感想としてあります。

 

 

あと最後の最後のラストバトルが哲雄と窪の直接対決じゃなかったことにも、残念だったって気持ちもあることはあります。でも「納得いかない」ってことは決してなく、窪が第3部開始の時点ですでに殺されてたってのには、物語の筋道として必要なことだったと思います。

 

うん、この漫画は本当に、物語に必要なものは過不足なくしっかり描かれてたと思います。まーそこにも、なんかどうでもよさげなことを長々とチマチマと描いててだるいって印象を持たれやすい側面はあったのでしょうが、でもトリックとかが伏線とかがどこにも破綻がなく緻密に高度に構想された漫画だったのは間違いないです。

 

かと言って、その納得は哲雄の「お父さんの罪と罰」系の食傷が気にならなくなるというところまではいきませんでした。

 

うーん、なんか自分が感じてることを全然うまく文章にできてる気がしませんが、なんて言えばいいのか、自分がこの漫画に期待してて重点を置いてほしかったポイントが合わなかったとでも言いましょうか。

 

 

 

また「お父さんの罪と罰」のほうに重点が寄ったのならそれはそれでそれが作者の意向なのだからいいのだとしても、だったら、最終回では、もっとつっこんだ描写があっても良かったんじゃないかなあ~とも思いました。

 

 

哲雄は志野を殺す寸前で零花に追いつかれて、納得のうえで彼女のお縄について、そして公判が始まるわけですが、私は彼がどんな罪状でどんな判決を受けたのかをしっかり描いてほしかったです。

 

複数の殺人や傷害、テロや凶器、すごい重罪ですが、情状酌量の余地は大いにあり、まー普通に考えたら無期懲役だろうなとは思いますけど。

 

その結果はなんでぼかしちゃったんでしょうね?

 

「罪と罰」はそここそが終点だと思うんですけどね。

 

 

最後の最後は息子が大人になって男泣きするところで完結となったのも、彼がそこに至るまでの経緯がちょっと物足りなく感じました。

 

いろいろと肝心なところがぼやかされてる結末だと感じました。

 

 

 

もう一つ、志野について。

 

私は志野には死んでほしかったです。というよりは哲雄の悲願が達成されてほしかった、というのが正確ですが。

 

 

この漫画のラスボス窪はとっくに死んでて、志野がラストバトルの相手となって、そのことには、前述の通り物足りないと思いつつも納得してるのですが、バトルの結果は消化不良の不満足でした。

 

私は復讐ものの物語では「復讐は完遂されてほしい」と思ってるタイプの人で、この作品で哲雄が志野にしたいことは、復讐かというと、少しは当てはまるものの本質的には違うんですが、そんな気分が結構ありました。

 

でもなんでか世の中の復讐ものは完遂されないものが結構あります。例えば復讐者が5人の悪党をターゲットにする物語で、4人まで殺せたけど、最後の最後で5人目を殺すギリギリの寸前で探偵役に阻止されて完結っていうパターンがちょいちょいあります。

 

私はそういう作品がどうも嫌いです。私の理想の復讐ものはきっちり完遂されて復讐者も死ぬ結末です。

 

これはまー私の完全な個人的好みなので、マイホームヒーローのこの結末が不満だというのも、本当にただの好みの問題です。

 

哲雄は零花が到着する前に志野を殺し終えて、それで捕まれば良かったのになあーって思いました。まーその場合零花の苦悩は上乗せされるんでしょうが、それで何も悪くないと思います。

 

 

と、いうわけで、この漫画、最初はすごく心惹かれたし、出来がいいというのも絶対間違いないと思うんですが、結末のいくつかは私としてはあんまり好きになれませんでした。

 

最終回、作者は読者に「あなたは鳥栖哲雄の犯した罪を許せますか?」「あなたは大切な人が危険な目に遭ったらどうしますか?」と問いますが、作者は問題提起はしてきますが、作者自身は作者なりの答えをぼやかしてしまったまま終わらせたような印象がどうもありました。

 

 

窪がラスボスじゃなかったことはいいし、「罪と罰」に重点を置いたこともいいけど、志野が生き延びたことと、この物語の答えがどうもぼやけていることは不満な最終回でした。

 

まー、こうやっていろいろと考えたことは有意義なのかもしれなくて、読んでよかったとは思ってます。

 

 

今更ながら、お疲れ様マイホームヒーロー。

 

 

 

 

 

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