「違う違う、そうじゃ、そうじゃない。違う違う、そうじゃない。君を逃がせない。跪きそうさ。」
週刊少年ジャンプ 冨樫義博 ハンターハンター No.410 「交渉4」
なんで今鈴木雅之の名曲「違う、そうじゃない」の歌詞が出てきたんでしょうね。脈絡なさすぎてパロディなのかどうかも謎。まー笑ったので謎でも別に全く構いませんね。
さて。この交渉ゲームでボークセンは勝利し、あとはXを選んで離脱すればそれで終わる筈だったのに彼女はYESを選択して自分自身も「それで間違いない」と答えましたが、実はそれは彼女の本心ではなく操作されたものでした。
「違う、そうじゃない」の歌詞になぞらえて内心で苦しみます。「唇ふさいで何も言わせない」と。「ため息が首筋にしびれた夜の街角」と。
「跪きそうさ」と。そして実際に跪きます。
案の定ボークセンはイカサマをしてて、そのペナルティとして念能力で操作されたというわけでした。モレナのほうが一枚も二枚も上手でした。
これはモレナのほうがより狡猾でした。ゲーム開始時に「イカサマしたら厳しい罰があるわよ」という一番肝心なルールをわざわざ伏せてたことになります。
しかしモレナが狡猾であればあるほどボークセンのほうが迂闊ってことでもあります。ボークセンはモレナに「イカサマしない?してない?」と散々警戒して質問して「してない」の言質を取ることは念入りにやったのに「私のほうがイカサマしたらどうなる?」ってことを確認しなかったのですから。確認しなかった彼女が悪いです。イカサマしたのはもっと悪い。
ただ、ちょっと都合良すぎかなと思ったのは、モレナ自身がボークセンのイカサマを見破ったわけではないところです。前回彼女はボークセンがカードを握り潰したときに「?」ってなったので、その時点では気づいてませんでした。
ってことは発動条件はモレナがイカサマを見破るか見破れないかではなく、ボークセンがイカサマがばれずに成功させようが、イカサマしただけで問答無用で能力が自動で発動したわけで、あまりにも能力が強力すぎます。
まーこれはモレナの特質系能力が超凄いからと解釈したらそんなに不自然でもないかな。あと人生経験の差。エリート処女では壮絶な人生を送った元奴隷に太刀打ちできませんでしたと。
で、モレナは完全敗北しエイ=イ一家の軍門に下り、しかしそれでもまだ諦めてないようで何か抗う意志があるようです。はたして一矢報いることはできるのか。というところでこの交渉ゲームの場面はここで一区切り。
次ページからは第一王子ベンジャミンの特殊戒厳令の様子が描かれますが。
この「戒厳令」なのですが。
前回のジャンプ発売日2024年12月2日に発令のシーンが掲載されて、その翌日2024年12月3日になんと韓国で本当に非常戒厳令が発令されるというニュースがありました。めちゃくちゃ驚きました。
この現実のニュースそのものや尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領については私はここで何か語る気はないのですが、「漫画で描かれた架空の大事件が現実でも起きる」ことに対してはヒヤヒヤしたことはちょっと語りたいです。
その例として有名なのはワンピースのグラグラの実です。作中で「地震を起こす能力」が出たあとに現実で東日本大震災が発生して、アニメではセンシティブな表現の問題が露骨に放送に影響し、原作漫画でも以降になんらかの予定変更が生じたのかもしれません。
本当に、フィクションで犯罪・政治・災害の大事件のシーンを描くことはデリケートです。ことと次第によっては放送休止・連載休止になっても何もおかしくないです。邪神ちゃんドロップキックのWEB連載では通り魔を登場させたギャグ回がすぐに掲載終了になったこととかありました。
それにこの類の話は、一度何かあったら以降フィクションで「地震や津波のシーン」とか「日本の総理大臣が暗殺されるシーン」とかを新しく描いて発表するのはもう不可能になる、みたいな問題も存在します。描いてはいけないものは増える一方です。マジでヒヤヒヤします。
しかし、自主規制がある程度必要なのも分かりますが、果敢に描くことも必要であると私は強く思います。
ハンターハンターがセンシティブなシーンを描くことを私は強く支持します。
話を戻して。戒厳令を発令したのはベンジャミン本人っぽいです。憑依したハルケンブルグとかではなく。この二人の対決がどうなったのかはよう分かりませんが、とにかく彼は生物兵器TSK-17に感染し、もう余命いくばくもないことを自覚した状態なようです。
なので自分が死ぬ前に我が子に王位を継承させるがために戒厳令を強行したと。
子どもいたのね。非嫡出子と言ってるけど継承させようがあるってことは二線者ではない様子。でもなんにせよどうせろくでもない経緯で生まれた子なんでしょ(偏見)。
あと「残る王子はあと4人」と言ってます。えええ~、じゃあ誰か分からないけどあとの5人の王子はもう制圧したの~???
いや、下位王子は後回しつってるからまだ制圧完了はしてない段階なのかな。異次元部屋のマラヤームを捕まえるのは無理でしょうね。念獣カチョウは……もう死んでる扱いですが。それに第14王子ワブルはクラピカをなんとかしないといけませんし。
結局残る4人とは、カーミラ、チョウライ、ツェリードニヒ、ルズールスでしょうかね。
そして司法省に乗り込むベンジャ。対峙するのはミザイストムとボトバイとカイゼルの3人。
そういや戒厳令という司法の危機なわけですが、最高裁判官だというクレアパトロはこの件で出番とか無いんでしょうかね。まー今ふと思い出しただけなんですが。
(371話)
まーそこはいいや。
えー、で、ベンジャのあまりに強硬なやり方にミザイはでっちあげだと分かりつつもなすすべがなさそうで。規格外れに巨漢なベンジャとタッパが同じボトバイは気おくれもせず顔色の悪さにつっこむけど、そこも流され。ベンジャ覚悟決まってるぅ~。
残るカイゼルはベンジャが生物兵器に感染してることを察してるので、一日逃げ切ればなんとかなり、その策があると言います。はたしてどんな。ちなみに彼は念能力者なのかどうかは不明なまま。センリツは「彼は味方ではない」と思ってますが。
しかしここで次回に続く。次回がいつかは未定。
今週の410話が連載再開して10話目であることをすっかり忘れてました。結局今回の連載もいつもの通り単行本1冊ぶんの10話連続で載せて終わったってことになるようです。
今回の連載再開時にはジャンプ編集部から「ハンターはもう週刊連載の形態ではなくなる」という公式見解が発表されて、私達読者にはそれは具体的にどういうことなのかは分からなかったのですが、なんか実態はこれまでと変わらないってことなんでしょうかね??????????
作者冨樫義博はXでは410話以降はネームは何話も先まで完成したことは発表してます。彼の創作魂の炎は消えてないことを感じます。次の掲載がいつになるのかは分かりませんが私はそんな遠くならないのではないかと思ってます。
しかし仮にまた2年も3年も読めなくなったとしても、私は彼を責める気は全く起きません。休めるときにいくらでも休んでくれ!って思います。
一番あってはならないことは彼が健康を(これ以上)害することです。それが起きることに比べたら漫画が何年か読めなくなることなんて、いかほどのこともないです。
タコほどのことはあるかもしれません。でもやっぱりタコよりはイカです。タコは不細工だ。イカはイカしている。オレにはイカのフォルムが神なのさ。
がんばれイカルゴ。がんばれ冨樫。
続きを楽しみに待ってます。