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「人類の歴史をつくった17の大発見」感想 天才でないと「人類で初めて牡蛎を食べる」のは不可能

河出書房新社 「人類の歴史をつくった17の大発見 先史時代の名もなき天才たち」 コーディー・キャシディ著 梶山あゆみ訳 って本読みました。

 

面白かったです。超大昔の「人類で初めて何かをした人は誰?」の本で、その題材自体は珍しくないのですが、この本は歴史上に確かに存在したその人がどんな人でどんな生活しててどんな経緯でそれをしたのかを推測することに重点が置かれてて、それがかなり科学的な上に、その人生が伝わってきて感心する本でした。

 

ところで私は最近まで「天穂のサクナヒメ」ってゲームにはまってて、遊んでる間は読書なんか微塵もする気は起きないけど、クリアして落ち着くと自然と「なんか読もうかな」って気になります。それを繰り返して生きてます。漫画は一年中読んでます。ゲームと漫画と漫画じゃない本は人生の清涼剤です。

 

それで今回手に取ったのがこの本。当たりでした。

 

作者キャシディーは前に「とんでもない死に方の科学」も読んだことがあり、どっちも面白かったので注目の価値があるかも。

 

 

さて、この本はこんな↑感じで「人類で初めて何かをした人」の17のエピソードを語ってくれます。

 

火起こしとか弓矢とか車輪とか、人類の進化を語るに欠かせない発明発見は、それを最初にした人が必ずいるわけで、この本では作者がその人に勝手にあだ名をつけて、性別や職業や身分をかなりつっこんで推測します。

 

例えば高い位置に壁画を描いた人は背が高くてだぶん男性だとか、ビールを作った人は穀物を採取するのは主に女の仕事だからたぶん女性だとか。脳外科手術をした人はそれをしても周囲に反対されなかったのだからすごく身分の高い人だった筈だとか。

 

そういう人達にジャンとかオシリスとかドクターゼロとかあだ名をつけて彼らの人生を描いてるのが新鮮で面白かったです。

 

 

 

そんな中で特に面白かったのは、まずは第1章の「そもそも人類最初の発明は何か?」でした。

 

それは300万年前、ホモサピエンスでもないアウストラロピテクスのメス……いや女性。

 

彼女がそれを発明しなかったらアウストラロピテクスはホモサピエンスになるのは無理だったという。すごい説得力あります。

 

それは抱っこひもだという。ツタかなんかを結んで輪にするという発明。

 

それのおかげで彼女は我が子を抱っこしたまま二足歩行や木登りが楽にできるようになり、また子どもは産まれてから1年間以上一人では何もできない状態でも安全になり脳を大型化に進化できるようになり、母と子が常に密着して意思疎通するから脳を活性化できたと。そして彼女以外の周囲の母親たちも真似して社会的な進歩もできたと。なるほどなあああー。超感心しました。

 

 

 

あと面白かったのは「人類で初めて牡蛎を食べた人」。これは「勇気のある人」の比喩として有名ですよね。

 

しかし実際には必要なのは勇気だけでなく、潮の満ち引きを理解するような極めて天才な人でないととても無理な芸当なのだそうです。

 

 

その痕跡は16万年前の遺跡から発掘され、当時のホモサピはまだ全裸で、言葉を話してたかのかも不明な頃で、それなのに潮の満ち引きと月齢とで牡蛎が計画的に採取できる時期を予測して食べてた女性が確実にいたわけですから天才以外の何者でもないです。でも彼女は当時の平均寿命の30歳以上はたぶん生きなかったという。

 

 

 

殺人事件の犯人」も面白かったです。

 

世界最古の冷凍ミイラ「アイスマン(エッティ)」は殺人事件の被害者であることは有名ですが、この本では逆に殺した犯人のほうに迫ってます。

 

エッティは矢で射られて殺され、その矢が引き抜かれたこと、現場には当時超貴重品だった銅の斧が残されてたことから、ものとりの犯行ではなく、むしろ犯人は自分が疑われることを極力避けて「暗殺」したことから、かなりの顔見知りだったこと、また様々な遺留品からエッティ自身が別件の殺人犯で逃亡犯らしく、犯人の動機はその復讐だったのでは、と、ミュンヘンのアレクサンダー・ホルン刑事は捜査報告をあげてます。

 

 

などなど他にも面白い話盛りだくさんでした。

 

歴史に名を残すとかは無いけど、決して脚光を浴びることは無いけど、確かに存在した名も無き天才たち。なんかタイムスクープハンターとかプロジェクトXとかそういうノリもちょっと感じます。そういうの好きな人にはたまらんです。たぶん。

 

久しぶりに湧いた読書欲を十分に満たしてくれました。満足!

 

 

 

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