などなどブログログ

漫画の感想や日記などなどを。

「50(フィフティ) いまの経済をつくったモノ」感想 50の発明の悲喜交々

日本経済新聞出版社 ティム・ハーフォード「50(フィフティ) いまの経済をつくったモノ」って本読みました。

 

作者が独断と偏見で選んだ50の発明品を、それが発明される前と後で世界は何がどう変わったのかとか、またそれぞれの発明と発明が密接に関わってることとかが分かったりして、すごい感心する本でした。

 

作者は物事を分析とかする能力がすごい人なんだと思います。

 

f:id:mogmogfirst:20210601184400j:plain

 

50種類の発明品に関する、小話というかコラムというか短い話が50編あって、めっちゃ読みやすいです。

 

しかもそのほとんどが「なるほどなあー」ってなります。

 

その50のチョイスは、世界を変えた影響力の大きさとかを基準に選んでるわけではなくて、作者が「これについてちょっと語りたい」って思ってるっぽいのを集めてる感じです。

 

 その50の発明とは!?

 

  1. プラウ (鋤(すき)のこと)
  2. 蓄音機
  3. 有刺鉄線
  4. セラーフィードバック  (出品者を評価するシステムのこと)
  5. Google検索
  6. パスポート
  7. ロボット
  8. 福祉国家
  9. 育児用粉ミルク
  10. 冷凍食品
  11. ビル
  12. ビデオゲーム
  13. マーケットリサーチ
  14. 空調
  15. デパート
  16. 発電機
  17. 輸送用コンテナ
  18. バーコード
  19. コールドチェーン (冷凍輸送のこと)
  20. 取引できる債務とタリースティック (木の割符の民間小切手のこと)
  21. ビリーブックケース (客が自分で組み立てる家具キットのこと)
  22. エレベーター
  23. 楔形文字
  24. 公開鍵暗号方式
  25. 複式簿記
  26. 有限責任株式会社
  27. 経営コンサルティング
  28. 知的財産
  29. コンパイラ
  30. iPhone
  31. ディーゼルエンジン
  32. 時計
  33. ハーバー=ボッシュ法 (化学肥料を生産する方法のこと)
  34. レーダー
  35. 電子
  36. プラスティック
  37. 銀行
  38. カミソリと替え刃
  39. タックスヘイブン
  40. 有鉛ガソリン
  41. 農業用抗生物質
  42. モバイル送金
  43. 不動産登記
  44. インデックス・ファンド
  45. S字トラップ (下水管が曲がってるやつのこと)
  46. 紙幣
  47. コンクリート
  48. 保険
  49. 電球

 

 私は「セラーフィードバック」とか「ビリーブックケース」とかは初めて名前を知りました。

 

タックスヘイブン」とか「インデックス・ファンド」は名前だけは見覚えがあるけど意味はよく知らなくて今回初めて勉強しました。

 

f:id:mogmogfirst:20210601184632j:plain

 

ラインナップを見ると、「ああ、これは確かに歴史を変えただろうな」って発明品が多いですが、中には「それがそんなにすごいの?」って思うのもあります、「モバイル送金」とか「S字トラップ」とか。

 

アフガニスタンとかの治安の悪い国では、スマホ決算は、現金を持ち歩かずに済むことはとてつもないメリットなんだそうです。

 

でも反面、透明化し過ぎちゃって賄賂やピンハネや脱税が困難になって嫌がる人も多いそうで。

 

なるほどなあー。みたいな話。

 

 

 

中でも一番感心したのは、「カミソリと替え刃」です。

 

カミソリ売ってるジレット社は、カミソリ本体は安く売って、替え刃はかなり高い値段で売るっていうビジネスを始めた会社でした。

 

そうそう。

 

プリンターの本体は安いのにインクカートリッジが高いのとか、コーヒーマシン本体は安いのに、替えのコーヒーポッドが高いのとか、そういうビジネス。

 

こういうビジネスが「二段階価格設定方式」という名前であることも初めて知りました。

 

そして「レーザー・アンド・ブレード」とも呼ばれてると。

 

なるほど。そういう商売の元祖はカミソリだったのね。

 

こういうのってなんか不愉快なビジネスモデルですが、なぜ消費者が受け入れているのかは結構謎なんだそうです。

 

 

 

 

あと面白かった話は「蓄音機」でした。

 

2015年に世界で一番稼いだ歌手はエルトン・ジョンで1億ドル。

 

一方1801年に世界で一番稼いだのはエリザベス・ビリントンって舞台歌手なんだけど、稼いだのは今の物価で見ても100万ドル。エルトン・ジョンのたった1%。

 

こんなにも差があるのは、蓄音機が発明されたからでした。

 

昔は歌手の歌を聴きたかったらその本人が実際に歌う舞台に足を運ばなくてはいけませんでした。

 

遠い。値段高い。歌手の身は一つ

 

妥協して、そのへんを公演して回ってる無名の歌手に依頼するって手もあります。それでもそれなりに聴いてて楽しいと。

 

しかし蓄音機のレコードが発明されたら、世界最高の歌を自宅で何度も聴くのと、それなりの歌手の生歌を聴くのと、どっちを選ぶかなんて、もう考えるまでもありません。

 

そうしてレコードやCDなどなどが普及すればするほど、売れる歌手と売れない歌手の稼ぎの差は広がっていくと。

 

で、面白いと思ったのはここからで、今はCDも時代遅れで音楽はネットで無料で聴けてしまう時代にまでなってしまいました。

 

すると歌手達は、舞台で稼ぐほうがメインになってきたのだそうです。

 

時代が一巡したというか逆転したというか、エリザベス・ビリントンのように舞台での稼ぎが重要になったのだという。

 

なのに、売れる歌手と売れない歌手の格差は、むしろ拡大しているという。

 

そりゃそうですね。

 

売れる歌手のライブと売れない歌手のライブ、どっちに行くのかは、これまた決まってます。自分の身は一つ

 

読んでてめっちゃ感心しました。

 

 

こんな感じで「言われてみりゃそうだよなあー」って話を理路整然と語ってくれるので飽きませんでした。

 

こういう話がたくさん載ってる面白い本でした。

 

 

 

 

 

 

スポンサーリンク