角川新書 小島寛之著「世界は素数でできている」って本読みました。
いや「読んだ」とは言えないかも。
本の内容の1/3くらいしか理解できなくて、ほとんど理解できないままただページを最後までめくっただけでした。
私はこれまで「難しくて途中で読むのをやめてしまった本」ってのはほとんどありません。
そもそも私には難しいと思った本は最初から読もうとしませんし。
しかしこの本はそれに当てはまる本となってしまいました。
ただ途中で読むのやめはせず一応最後までは読んだ(目を通した)のですが。
途中で分からなくなってきて、「分からないまま読む」というのがなんか面白いような気がして、半笑いで最後まで読んだようなもんでした。
手に取ったときは「分かるかも」って思ったんだけどなあ~。
数学の本です。
私は数学なんて全然分かりません。
高校の数1と数2と、あとなんだっけ、何習ったかも覚えてないくらいのレベルです。
この本は冒頭をパラ読みした感じでは、私のような数学に無知な素人でも分かるように素数とか数学の話をしてくれる本だと感じたのですが、違ってました。
多少の数学の知識が無いと太刀打ちできない本でした。
甘かった~。
いや、でも、なんつうか、著者は、素人でも分かるように書こうとしてるのは伝わってきます。
なんつうかなんつうか、例えば、まず虚数を説明して、はい虚数がわかりましたね、では次は複素数を教えます、次はガウス整数を教えます、次はガウス素数を教えます……みたいなノリで進むので、書いてること全部がしっかり頭に入ってないと先に進めない本でした。
ガウスの定理は実はフェルマーの2平方定理がガウス素数の研究の中で再発見されたものなんですよ。
これってすごいことらしいけど、私は前の方のページで読んだフェルマーの2平方定理すらも全然頭の中に残ってないので、どうすごいのか分からないという。
半笑いです。
ただでさえ私は読書は寝転がりながらダラダラ読むタイプで、本の内容をしっかり頭に入れることが苦手ですし。
しかし読んでて分かった部分もあります。
RSA暗号は理解できました。
というかこの本を読んでみようと思ったきっかけがRSA暗号です。
RSA暗号が「巨大な素数を使っている非常に強力な暗号」ってのは知ってました。
でもそれが具体的にどういうことかはあんまり分かってなかったので、この本読めば分かるかなあ~と。
ここは(私の頭でも)分かりやすく説明してくれてたと思います!
インターネットのセキュリティの根幹である公開鍵暗号方式とか電子署名とか。
それを可能にしてるのがRSA暗号。
1977年にリベストさんとシャミアさんとエーデルマンさんが発明してくれました。
それ以前の時代の暗号は単純なもので、例えばあなたが私に数字の「2」って情報を送るとして、暗号を作る方法が例えば「元の数字に2を足して3倍する」だとしたら、送る数字は「12」になり、暗号を解読するのはただ逆に「3で割って2を引く」って手順にすればよくて、暗号スパイにとっては「暗号を作る手順」を解明したらそれは同時に「暗号を解く手順」になるので、解読は楽なもんでした。
しかしRSA暗号はそういう概念を覆す画期的な発明でした。
「暗号を作る手順」を公開してしまっても全く困らないという不思議な暗号。
RSA暗号で「2」を送るには、例えば「2を7乗して33で割った余り」である「29」を送ります。
ここで「これはある数を7乗して33で割った余りです」と暗号にする手順を世間に公開しても、その29から元の数2を逆算して見つけ出すには、総当たりでちょっと面倒な作業が必要になるんだそうです。
だからネットで第三者が傍受してるかもしれない通信で、パスワードとかの秘密の言葉をどこかに送信しても、それを破られることはほぼ不可能だという。なるほどなあー。
この例の場合「33」が素数3と素数11の積です。
実際にはもっと巨大な桁の素数同士の積を使います。
パスワードは文字数が多いほど安全、と。
読んでてすごく感心しました。
このへんは私の知能でも理解できました。
ここを理解できただけでもこの本を読んだ収穫があったってもんです。
読書なんてこんないいかげんの適当でいいんですよ。
そうは思いませんか。
ところで余談ですが、巨大な数字がどの素数と素数の積なのかを見つける、つまり素因数分解するのは、普通のコンピュータでは解読に何万年もかかるというのですが、量子コンピューターならすぐできるって、他の本で読んだような記憶があります。
いつかはRSA暗号も使い物にならなくなる時代が訪れるんでしょうかねえ~???