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「富士山大噴火と阿蘇山大爆発」感想 中身はまっとう過ぎるほどまっとうな本だった

幻冬舎新書 巽好幸著 「富士山大噴火と阿蘇山大爆発」って本読みました。

 

とにかくタイトルのインパクトだけで手に取った本でした。

 

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マジでインパクトあります。

 

「新幹線大爆破」や「日本沈没」みたいな。

 

しかし実際に読んでみると、中身は全くの逆。

 

むしろ作者は、根拠の薄いいい加減な論理で火山噴火の危機を煽るようなエセ科学者やマスコミにイラっとしてるようで、それへの反論や苦言を挟みつつ、火山噴火の解説をしています。

 

自然災害の警戒や危機管理はするに越したことはないけど、いい加減な論理に釣られるのはダメ!という。

 

理屈っぽいじいさんの説教って感じもしますが、言ってることはすごく理にかなってる本でした。

 

極めて論理的。

 

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あと、このタイトルは、初見では「なんで富士山は大噴火で阿蘇山は大爆発なの?」とひっかかりました。

 

「富士山大爆発」「阿蘇山大噴火」ではなんか違うんでしょうか。

 

違いました。

 

それも本を読んだら理解できました。

 

 

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富士山と阿蘇山は全然違う種類の火山

 

ということが解説してありました。

 

富士山が噴火するとすると「山体噴火」。阿蘇山のは「巨大カルデラ噴火」です。

 

どれくらい違うかっつうと、阿蘇山のは1000倍ですって。富士山の。総エネルギーが。

 

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もし富士山がフルパワーで噴火したら、近隣に住む数万人は即死します。

 

そして阿蘇山が爆発したら、即死するのは数百万人の規模だそうです。

 

さらに日本にはつねに西から東に吹く偏西風ってやつがあるので、どこかで火山が噴火したら火山灰はそこから東にまき散らされます。

 

富士山だったら、そこからちょっと東の首都圏を直撃し、阿蘇山ならそこから東の広範囲つまり日本全体を覆うレベルに。というか全地球の空にばらまかれます。

 

作者は阿蘇山が爆発したら日本全体で1億人死んでもおかしくないと言います。

 

おそろしい。

 

 

実際に7000年前に鬼界カルデラが噴火したときには、九州にいた縄文人は一度絶滅したそうです。

 

これは知りませんでした。

 

遺跡で高度な土器が発掘されるのはどれも特定の火山灰層の下だそうで。上には、無い。

 

 

おそろしい。

 

そんな事態は、いつか絶対に必ずまた起こります。

 

 

 

で。一番肝心の「いつ噴火するの?」についてですが、これは「分からない」に尽きます。

 

そこが作者が一番言いたいことっぽいです。

 

つまり「分かる」と安易に言う人を信用してはいけないのだという。

 

火山の噴火、そしてそれと密接に繋がってる地震は、予知は不可能です。

 

せいぜいできるのは噴火の始まりを観測して、噴火1日前に警報を出すくらい。(これこそ超重要です)

 

 

しかし「今年起きる!」「来年起きる!」みたいなのはエセ科学です。

 

特に火山は実際に噴火した記録の数自体があまりに少なすぎて「周期性」とかを統計で見出すのは数学的にもエセです。

 

 

この本の結論はありきたりです。

 

富士山も阿蘇山も明日噴火するかもしれないし、1000年後かもしれない。でもいつかは必ず起きる。って感じ。

 

そばに住んでる人は即死します。

 

死にたくないのなら、1日前の警報なら出るかもしれないので、それが出たらスムーズに逃げる準備をしとくこと。

 

離れた地域の人は火山灰やインフラ崩壊でかなり厳しい世界になる覚悟をしとくこと。

 

日々の用心が大事だという超ありきたりな結論。

 

ですが、その用心は、エセ科学を根拠にするのはダメっていうのがこの本の特色かなと思いました。

 

用心そのものは科学だろうがエセだろうがしとくに越したことは無いのですが、例えばどこかの誰か(大学教授とか肩書がある人だったりする)が「今年は危ない!」って予言して、もしたまたま的中しても、それは単なる当てずっぽうです。

 

私もそれに強く同意します。エセ科学者は死ね!

 

 

タイトルだけにひかれて読んだ本でしたが、結構読み甲斐がありました。

 

 

 

 

 

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