週刊少年ジャンプで藤本タツキが連載してる「チェンソーマン」、今週の第90話が今まで読んでて一番面白かったです!
天才や!
パワーちゃん!
もともと私はチェンソーマンって漫画は「ちょっと好き」って程度です。でした。
好きで読んではいるものの、注目したりのめり込んだりするほどでもなく、物語がしっかり頭に入ってるわけでもなく、これまで感想ブログを書きたくなるような情動が湧き起こることは特にありませんでした。
しかし、今週のパワーちゃんは、本当に本当に素晴らしかったです。
前に車で事故る回をきっかけに彼女のことをいいキャラだと思うようになってたのですが、今週号でそんな彼女の魅力が一気に開花しました。爆発しました。
えーと今週号の感想を書く前に、まず「パワーちゃん」という呼び方についてちょっと語りたいです。
「パワー」ってすごい独特なネーミングセンスですよね。
その名前の由来は明かされてるんでしたっけ?
悪魔をテーマにした漫画でパワーって聞くとまず天使の階級第6位の能天使パワーを連想しますが、何か関係してるのかな?
あ、でも天使のキャラ他にもいましたよね確か。本当に私はこの漫画の物語の知識が全然おぼつかないです。
とにかく。この「パワー」って名前ですが、例え独特だろうが、キャラクターの名前には全く向かない単語です。
あまりに一般語すぎて、googleで「パワー」の1語だけで検索しても、このキャラが上位に出てくることは決して無いです。
「パワー チェンソーマン」とかの2語検索にするしかない。
こういうのは現代のネット社会ではかなり不利な命名です。
……と思いきや「パワーちゃん」なら1語検索でこのキャラが一発で出てくるんですよね。画像検索結果はこの子一色です。
現代では「検索しやすい言葉かどうか」「検索の上位に出るかどうか」はとても重要で、こういう「検索性」というか「ググりやすさ・ググられやすさ」のことを、英語では「googleability(ググラビリティー)」と言います。微妙なニュアンスを一言で表現できる便利な新語。
この子の名前は「パワー」だとググラビリティーは最低なのに「パワーちゃん」だと最強になります。
面白い現象だと思います。
余談ですが、こういう特殊なググラビリティーを持ったキャラを私は他に1例だけ知ってます。
魔法少女まどかマギカの美樹さやかです。
「さやか」というあまりに一般的すぎる人名で1語検索しても美樹さやかは全然出てきませんが「さやかちゃん」で検索するとトップに出てきます。
ちなみに「まどか」ならその1語だけでまどマギの主人公鹿目まどかがすぐ出てきます。これはググラビリティーが素で強力、つまり商売として非常に有利なことを意味します。
(あと「けものフレンズ」の「かばんちゃん」はこの例とは方向性が違うかなと思うので除外)
話を戻して、今週号のパワーちゃんです。この子はパワーちゃんと呼ぶのが本当に最適解です。
彼女の魅力はずばり、クズなところ。
でもクズが魅力だというキャラは、そう珍しくありません。
こち亀の両津とか、邪神ちゃんドロップキックの邪神ちゃんとか。ゲゲゲの鬼太郎のねずみ男みたいなのも当てはまるかな?
そんな中、今週号の彼女は、本当に今週の1話だけで、クズキャラの起承転結というか一部始終というか、落差を見事に描き切ってる完成度がすごいと思いました。
そこにこの作者の独特の間とか絵のセンスとかが最高に絶妙に絡んでて、例えるなら、ありふれた食材を使ってるのに見たこともない新しい料理を味わったような気持ちになりました。
パワーちゃんは読者人気1位なんですよね。人気キャラ。
なのにこないだあっさり死んでしまって、しかも彼女がマキマに殺される経緯があまりにも壮絶で、すごいショッキングでした。
しかし復活したのが今週の回。
これだけで大盛り上がりです。
しかもデンジを助けるために立ち上がるという超かっこいい復活。
本来ならこれだけで神回です。
なのにパワーちゃんマジパワーちゃん。
ポチタと合体してパワーアップして、マキマになんか狂わされたチェンソーマン(デンジ)を救うべく、復活して「超パワー」の姿となってマキマに挑むのに、自分の力が通用しなさそうと理解したら一瞬でポチタを裏切ってマキマにデンジを差し出して終了。
お前ほんまマジでアレやぞ。最低やぞ。
あまりにもクズすぎて逆に最高です。
マキマも面白かったです。マキマはなんかあらゆることを支配してて、それこそパワーちゃんの生殺与奪すらも掌握してたのに、なのにパワーちゃんの行動パターンだけは予測とか理解とかできてなさそうなのがすごいです。
「パワーちゃん大人しくチェンソーマンを渡しなさい」ってセリフ、本当に彼女がそうすると思って言ってないですよね。絶対。
こういうの、こち亀や邪神ちゃんみたいな単話ギャグ漫画でなら成立させやすいですが、ギャグじゃない漫画ではなかなかできることではないです。
あ、いや、チェンソーマンはギャグ漫画か?分かりません。
私は今週パワーちゃんには本当に期待を裏切られました。
見事に裏切られました。見事です。
彼女は本当に「期待を裏切る」ということに関しては期待を裏切らないキャラだということを思い知りました。
もうね、今後どんな展開になったとしても、もうどうでもいいです。
漫画のセオリーとしてはデンジは正気に返って復活するのでしょうけど、その時パワーちゃんはどういうポジションでどんなこと言うのか、マジでもうどうでもいいです。
もうどうなっても私はパワーちゃん大好きでいられそうな気がします。
繰り返しますが漫画界では「愛すべきクズキャラ」自体は珍しくはないです。
でも今回それを最高の料理の仕方で見せてくれた今週のチェンソーマンに拍手喝采です。
追記。91話の感想も書きました。書かずにはいられませんでした。