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「殺しへのライン」感想 私はクイズを解く気が無いのにクイズ本を読んでるのだろうか?

創元推理文庫「殺しへのライン」 アンソニー・ホロヴィッツ著 山田蘭訳 って本読みました。

 

これまでホロヴィッツのミステリー小説を何冊も読んできて、相変わらず彼の作風というかそういうノリが今回も全開バリバリであり、なんかそういうのを「ホロヴィッツ節」とでも呼びたくなります。

 

私が思うボロヴィッツ節とは。

 

登場人物に嫌な奴が多い!嫌な奴の嫌なところの描写が妙に巧み!って感じです。

 

なんかもう出る奴出る奴が、最初に登場したときにはいい感じの人、でも微かに嫌なところがある様子を絶妙な表現で描かれて、結末が近づくとやっぱり実はかなりの嫌な奴であったことが判明する、というパターン。

 

カササギ殺人事件」「ヨルガオ殺人事件」「メインテーマは殺人」を読んだときにも「嫌な奴ばっかりだなあ~」と思ったのですが本作もそんな感じでした!もうお見事です。

 

以下ネタバレあり。

 

 

 

「メインテーマは殺人」のプロモーションのためにイギリスのオルダニー島で開催される文芸フェスに参加することとなったホロヴィッツとホーソーンのコンビ。

 

他にも5人の作家が参加してて、うち4人が嫌な奴でした。最悪です。地獄です。地獄の島。地獄の舞台。いやまー何人かは同情の余地があるのですが。

 

で、殺人事件が起きます。殺されたのも当然嫌な奴。

 

その事件の前後にはいろいろと不可解な出来事が発生して、読者は(私は)何が何やら一体全体どういうこと?と頭の中がはてなだらけになります。

 

その大部分が事件とは直接関係のない他の嫌な奴らが他の嫌なことをやってたってのが真相で、マジでもう、殺人事件自体はそう複雑怪奇でもないのに、他の奴らが余計なことばっかしてて事件の真相を突き止めるののすっごい邪魔になってて、もしかしたらこれもホロヴィッツ節なんでしょうかね?

 

例えば殺人現場で被害者の手首から高価な腕時計がなくなってたのは、実はその前に別の奴が殺人とは全く関係なく盗んでたみたいなの。

 

私はミステリー小説を読むことは読むけどマニアではなく、世の多くのミステリー作家もこんなもんなのかどうかあんまり比較ができません。レッドヘリングの一種なのかも分かりません。

 

でもやっぱりなんとなくホロヴィッツミステリーでは「事件をややこしくしてる登場人物」の多さが目立つような気がします。

 

でも彼の小説にすっかり慣れてきたのもあって、この辺にもひっかからずに読めるようになってきました。これはこれで面白いと思うようになってきた気すらします。

 

 

 

で。フーダニットのミステリー小説を読む人って、読みながら自分も犯人当てに挑戦する人ってどれくらいいるんでしょうか。私はそういうことは全然しないです。

 

これって例えるならクイズの本を読んでて、問題が出てきても自分で考えずに答えのページをさっさと読むものなんでしょうかね?

 

私はクイズ本を読むときならちゃんと考えてから答え合わせをするのですが。推理小説ではそういうこと本当にしないです。

 

する人は怪しい箇所にラインマーカー引いたりふせんを貼ったりするんでしょうかね?

 

それで言うのなら私は本当にただ漫然と読んでるだけなのかもしれません。

 

しかしそれでも真相が明かされたときには素直に「なるほどなあー」と感心するから、私はこれでもちゃんと楽しめてると思います。ま、どんな読み方で楽しもうが人の勝手ですね。

 

 

ただまー決して100%の絶賛というわけでもありませんでいた。これは以前の感想ブログにも書いたことですが、英語の小説を和訳する過程で重要な言葉の情報がなんだかボンヤリしてしまうことが、やっぱりどうしてもあります。

 

今回は例えばアンキャスリンが実は親子だったということを暗示する情報の一つが「口癖が共通してた」ということだったのですが、その「ぱあっと暑い」という言い回しが、彼女らの独特の語彙なのか、一般的なネイティブな英会話の和訳なのか、読んでて全然判別ができませんでした。

 

これはまー仕方ないかなあー。ホロヴィッツ小説を今後も読んでいくのならここにも慣れていったほうがよさそうですね。

 

 

 

で、ミステリー要素とは別の「ホーソーンという男の謎」についてはこっちは文句無しに面白くて「続きが気になる」と思わせるものでした。

 

これまで読んできた情報からすぐに思いつくのは、リースに住んでた少年時代に同性愛者から性的虐待を受けてたのだろうか、って感じなのですが、本当にその通りの真相なのか、いつかちゃんと見届けたいものです。

 

とりあえず次の「ナイフをひねれば」を読めば現行に追いつけます。追いつくぞー。

 

 

 

あと余談。

 

この本の裏表紙にある内容紹介、いわゆるうらすじに「シリーズ最新刊!」という言葉がありました。

 

 

これ書いた奴は何考えてるんでしょう。本は出たときは最新刊に決まってるし、続刊が出たら最新刊じゃなくなるんだし、こう書く意味が無いです。むしろ邪魔。知らない奴がいつ読んでも正確な情報が伝わるように「シリーズ第3弾!」って書いとけよって思いました。

 

 

 

 

 

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