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進撃の巨人アニメ最終回感想 この世で諌山創だけに許された史上の贅沢

アニメの進撃の巨人の最終回まで見届けました!たぶん全話残さず視聴したと思います。全何話なんでしょうね。

 

私は原作漫画のファンであり、アニメは当然ながら結末を知った上で「せっかくなのでみる」って程度のスタンスでした。それでも圧巻でした。

 

で、原作ファンとしては注目点はやっぱり原作版との相違点です。そこに「なるほどねぇ~」と感じ入った、ってのが、アニメ版の感想です。

 

 

さて。マジでアニメって全何話?wikipediaでは全94話とありましたが。ん?通常放送が87話までで完結編が5章仕立てだったから合計92話じゃねーの?

 

まーそこはどうでもいいですね。そもそも完結編がかなり変則的な形式でしたもんね。

 

2013年に1期、2017年に2期、2018年に3期が放送されて、4期はThe Final Seasonと銘打たれ2020年に前半、2022年に後半が放送され、それでも完結しませんでした。ここまでが通常放送。

 

で、2023年3月に完結編前編、そして2023年11月に完結編後編が放送されての、非常~~~に長い道のりを経ての完結でした。なんと全体の1/3以上がFinalの区分です。

 

長ぇ~!でもこれを「終わる終わる詐欺だった」とか揶揄したくはありません。

 

(Finalを名乗るのがちょっと早過ぎたってのはあるものの)ここまで長引いたことに製作スタッフに落ち度はありません。かつてアニメ制作会社がWIT STUDIOからMAPPAに変更されたってことはありましたが、これとて誰かの怠慢とか醜い争いとかがあったわけではないです。外部からは見えない水面下のトラブルはあったのかもしれませんが、そんな程度ならどこの社会でもあるのが普通です。

 

やっぱり原因は新型コロナウイルスとウクライナロシア戦争ですよね。あと地球温暖化も入れてこの三つはここ数年だけで世界のいろんな物事のあり方を根底から変えてて、アニメについてもその影響、特に一時期の大混乱はちょっとでもアニメをみる人なら実際に目の当たりにしたことでしょう。進撃の巨人製作委員会もまさにその直撃を食らいました。

 

今の世の中アニメを制作するのはどれほど大変なことか。そんな中で何年もかかってでも、完結させたこと自体がすごい偉業だと思います。マジで。

 

まーアニメ製作の大変さは規模や予算によってピンキリですけどね。進撃はきっとピンの中のピンです。

 

それにしても架空の戦争を描くアニメが現実に起こってる戦争の影響で苦労するって、皮肉にもほどがあります。

 

ただ。巨人とか鬼とか巨大ロボとか超常現象が存在する前提のフィクション戦争と現実の戦争とを比較することは私は無意味だと思ってる側の人間ですので、そういう戦争論については語る言葉を持ちません。

 

 

 

前置きが長くなり過ぎました。アニメの感想が本題です。

 

このアニメは原作者諌山創が結構密に製作に関わってるそうです。原作から改変されてる部分は彼の意向によるものが多いんだとか。

 

「原作者がアニメに関わる」ということがプラスに作用した珍しい例です。

 

「名探偵コナン」の青山剛昌や「ONE PIECE」の尾田栄一郎とかが映画を監修して成功させる例は多いですが、これは本放送をですから、本当に珍しい例じゃないかと思います。

 

(「原作者が実写に関わる」についてはマイナスに作用したようですが、これは私は詳しくは知りません)(知りたくない)

 

 

話を戻して、進撃アニメは諌山の監修が入っているので、改変はむしろ改訂とも言えると思います。

 

諌山は昔から自分の漫画に至らなさを感じてるという主旨の発言をよくしてて、さらに、アニメはそこが改良されててむしろアニメこそが進撃の巨人の完成形だみたいな発言もしてます。

 

それがこの完結編後編にもありました。原作最終回のエレンアルミンの会話が改訂されてたことがすごく印象的でした。

 

アルミンがエレンに「なぜ地鳴らししたかったの?」と問う場面。

 

原作ではエレンは「なんでかわかんねえけどどうしてもしたかった」と答えるのみでしたが、アニメではかなり深い描写が追加されました。

 

馬鹿だから」だと。馬鹿

 

巨人の呪縛を解くためとか、安楽死計画を阻止するためとか、アルミン達壁内人類を真の意味で守るためとか、自分が何よりも自由でいたかったからとか、そんな御大層なもんじゃなく、ただただエレンが馬鹿だから、強い力を持つような器じゃなかったから、力の使い方をなーんにも分からなかったから、だ、そうで。

 

 

私は原作の感想ブログではエレンを理解不能の怪物としきりに書きましたが、要はなんてことない、彼がひたすらに馬鹿だったから、という非常に単純明快な理由だったというわけでした。

 

それで人類大虐殺なんですから、もう馬鹿なんて表現では生ぬるいほど彼は愚かでした。馬鹿以下のもっと酷いなにかです。知能の低さとか精神の病とかとも全く違う次元の最悪のなにか。

 

で。このことに対して、私は「なるほどねぇ」と妙に平常心でしみじみと納得したのでした。

 

幻滅とか落胆とかは特に感じませんでした。それどころか少しすっきりしたかもしれません。

 

彼への理解が深まったと言っていいのかは自分でもよく分からないのですが「彼はそういう奴だ」ってことは視聴しててすんなりと受け入れることができました。

 

梶裕貴井上麻里奈の演技が良かったからなのも大きいと思います。特に井上は少年ならともかく20歳以上の男の役を演じ続けてきたわけですから、大変だったことでしょう。声が幼く聞こえる印象はどうしてもありましたが、アルミンって人間に限っては結果的にそれで合ってたと思います。

 

 

で、そのアルミンの、エレンのこの真意に対するリアクションもまたアニオリになってました。

 

原作の「殺戮者になってくれてありがとう」はカットで、「君に自由を教えたのは僕だから僕も同罪であり、ともに地獄へ落ちよう」って主旨の発言に変更されてました。

 

原作のここは当時世の中では結構物議の種になってたそうな。「虐殺への感謝なのかよ」的な。私は原作読んだときはそうは感じなくて拒否感もなかったような気はしますが。確か諌山はここについても「自分の表現不足だった」と言ってた記憶があります。

 

その前提ならこのアニオリは表現の補足になってて良かったんじゃないかと思います。

 

 

私自身は、この作品の世界観に神とか創造主とかあの世の地獄があるとはちょっと思えないし、あったとしても「なー神様よ、こんな徹底的過酷異常世界をあんたが創造しておいて、なのにそこで殺人したら罪として裁くのかよ」って疑問もあって、アルミンの言ってることには全面的な同意はしないけど、彼の心意気は強く肯定したい気持ちです。

 

 

あとはエピローグのヒストリアの手紙とか和平大使となったアルミン達の会話とかリヴァイ達のその後の様子もちょっと変更されてました。

 

原作では描かれなかったイェレナのその後も描かれてて、オニャンコポン達と一緒に復興活動を、めそめそしながらもなんとかやってるようで、決して好きなキャラではなかったけど、こういう描写が追加されたことは素直に良かったと思いました。

 

 

本当に今回はアニオリ要素をどれも肯定的に受け止めることができました。自分で気づけた限り。

 

 

 

ね。

 

これ、諌山創は本当に幸せ者だと思うんです。私はそんなことをしみじみ思いました。

 

漫画家が、自分が一度作り終えた作品を、後から改訂する機会って、少ないです。

 

そのチャンスは雑誌連載原稿を単行本にする作業のときにはありますが、ほとんど時間の猶予はないです。あと完結から数年後に「完全版」とかが発売されるときにもできますが、完全版が出せる漫画は少ないです。

 

さらにそれよりも少ないチャンスが、「アニメにするときに改訂する」なわけです。今回はそれが見事に達成されたわけです。

 

しかもNHKやMAPPAやスタッフキャスト各位が大規模に全力でやってくれてです。

 

漫画家としてとてつもない贅沢じゃないでしょうかね、これって。この世でこれを味わえるのは諌山創くらいしかいないんじゃないですか?

 

今回そういうものを目の当たりにできたことも、「珍しいもん見れた」と非常に楽しめたことでした。

 

 

 

お見事なアニメでした。

 

エンディングのLinked Horizonの曲も良かったです。

 

Revoが一度進撃の主題歌の担当から外れてもこう戻ってきてくれて、彼の曲で締めくくったのも感慨深いです。

 

 

 

あとこれは完全に個人的なことなのですが、私は原作を読んでるときにリヴァイがジークを殺したい気持ちって、報復とかエルヴィンへの弔いとかからくる殺意が強いのかなと思ってたのですが、今回アニメをみて「ジークを殺さないと地鳴らしが止まらない」設定を失念してたことに気付きました。

 

 

「リヴァイってちょっと、この作品で言う森から出られない状態になりすぎなんじゃねーの?」という印象を今回拭うことができました。私リヴァイちょっと誤解してたわー。拭えて良かったー。

 

彼にとってジークを殺すことは、自分の私怨とも今すべきこととも合致してるんだけど、だからってジークが自ら首を差し出してきたとき、ただ嬉しかっただけな筈はないんですねえ。

 

 

とま。以上、アニメ最終回、いろいろと堪能できました。初期は注目してたわけじゃなかったけどそれでも決して退屈しなかった記憶はあるし全体的にもいいアニメだったと思います。私自身がもともと「粗探ししよう」と思って視聴してなかったから粗に気付けてない面もあるのかもしれませんが、それで全く構いませんしね。

 

ありがとうございました!

 

 

 

あとは余談。進撃のスクールカーストがアニメにならなかったことは心残りかもしれません。

 

でもどこでどういう形でアニメにすれば良かったというのか、私にもいまいち分かりません。あれって本編とじわじわ並行してたから面白かったわけですから。

 

でももしかしたらこれからするかも?したらしたで結局楽しむかも?

 

 

 

余談その2。上で「完全版」と書きましたが、この進撃の巨人の原作漫画版もこれから数年後に完全版のようなものが発売されるでしょうかね?

 

そのときにはさらなる加筆修正がされたりして。もしそうなったらそれが進撃の巨人の「真の完成形」になりますね。

 

そうなってほしいような、ほしくないような。

 

 

 

余談その3。諌山創ってもう新作漫画を執筆することはないの?

 

そりゃーもう全く働かなくても一生豪遊できるほど稼いだんでしょうけど。

 

それに彼はどう考えても長距離走タイプで、ここからまた大作を長期連載するなんて非現実的であるのも確かですし。

 

でも無いのもなんか寂しいですね。ね。

 

 

 

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