進撃の巨人最終巻である34巻がこないだ発売されて、原作はこれで本当に完結したことになります。
ちょっと追加ページありました。
それとか進撃のスクールカーストの感想とか、この漫画そのものに思うこととか、ただ頭に浮かんだだけのことなどなどを書いてきたいです。
私は第1話からずっとリアルタイムで読み続けてました。
懐かしい。私は「みなみけ」が好きでその作者桜場コハルが別冊少年マガジン創刊に合わせて新作「そんな未来はウソである」の連載を始めるというのでチェックしたのがきっかけでした。
進撃は最初は意識して注目してなかったけど、軽く読みつつも読み飛ばすことは決してなくて楽しんでたのを記憶してます。
当時一番好きだったのは「マルドゥック・スクランブル」でした。
今「不滅のあなたへ」をマガジンで連載してる大今良時の初期作品。
「じょしらく」も好きだったなあー。
で、そん未来もマルドゥックもじょしらくも終わり、創刊時から連載してた最後の作品である進撃の巨人も終わりましたと。
別マガの今後はどうなるんだろう?
それは進撃の感想とはあまりに関係ないので省略。
進撃が「大作」として世の中でブレイクしたのは、アニメの1期が始まったころじゃないかなあーって気がします。
えーと。連載開始が2009年で、アニメ開始が2013年か。
原作は2010年に「このマンガがすごい!」の1位を受賞したのですが、普段漫画とかに興味無い人にまでこの作品が認識されるようになったのは、その後くらいな印象。
当時は電子書籍やスマホ漫画アプリもまだそんなに広まってませんでしたしね。漫画がヒットして広まる経路は当時と今とでは既に全然違う感じです。
で、そこから進撃は「漫画史に残る大作」となり、しまいには1億部、100ミリオンを突破しました。
「大作」と言えば、近年の超超超ヒット作の代表である「鬼滅の刃」が頭に浮かびますが、あれはあまりに特殊な別格としても、この漫画も歴史に残る「売れた漫画」の1柱となりました。
世の中売れる漫画と売れない漫画の相対的格差はこれからも広がっていくと、私はなんとなく予想してます。
そして漫画雑誌と漫画アプリの数は(今でさえ供給過多なのに)きっとこれからも増えていき、チャンネルが増えることが格差をより広げていくでしょう。
面白い漫画を読みたい人が、時間とお金をかけて無数の山から自力で発掘するのと、既に評判になってるのだけを読むのと、どっちを選ぶのがお手軽かって話です。
世の中の全ての漫画作品を売れた順に並べたとして、上位0.01%が、それ以下99.99%の売り上げを全部足した数よりも売れてる、って世の中にどんどんなっていく……というかとっくにそうなってるでしょうか。
って、これも関係ない話でした。
ただ、鬼滅と言えば、進撃最終巻の進撃のスクールカーストが、なんかちょっと鬼滅の最終回と似たような感じだと思ったのはちょっと書いておきたいところ。
それはちょっとどうしても思ってしまいますよね?ちょっとね?
進撃のスクールカーストは、単行本21巻から急に始まった巻末おまけページでした。
それまでは巻末おまけは基本単発ネタで、スクカーもそうかと思いきや、それ以降はずっとおまけはスクカーの「連載」となったという。
毎巻2ページだけですが、それだけで一つの世界観がきっちり完成されていったのは地味に超すごいことだと思います。たった2ページで。
そのスクカーが、なぜか本編の方で一度登場したことがありましたね。
これ。
(120話)
このシーンはつまりは、エレンと歴代進撃継承者とジークが見てきた、過去そして未来、の、記憶だったわけですね。そこに入ってますスクカーが。
最初は巻末おまけのただのネタが本編の重要情報にまで錬成されたんだと思います。
設定に若干の齟齬はありますけどね。
スクカー舞台のハイスクールは「アメリカン」らしいし、ギークボーイのアルミンは「日本」のアニメが好きだそうですし。ヒィズル国ではなく日本。
そしてそんな彼らが最終巻で見てた映画ってのは、おそらくは「劇場版 進撃の巨人 The animation 完結編」です。シンエヴァっぽいポジション。
彼らが生きているのは、現実のアメリカや日本ではなく、巨人が100年前実際に存在していた進撃本編の歴史の地球らしいです。
奇しくも、進撃本編のあの天と地の戦いの後「世界がどうなったか」が描かれてる重要シーンの一つとなってました。
そうなる予感は少しはありましたけど、スクカー最終回で3人が種明かしをしつつ、仲良く平和に暮らしてる光景は、結構なかなか心に沁みるものがありました。
これは鬼滅の最終回と同じ構造のものではあります。
非業の死を遂げた歴代の登場人物が平和な時代に輪廻転生し楽しく暮らしてるっぽい様子がその作品の結びとなっていて、このこと自体は「ネタかぶり」と言うよりも黄金パターンなのかも。過去の名作でそんな結末だった作品もありそうです。ぱっと思いつかないのですが。
ただ、世の中の0.01%級の超ヒットした「売れた作品」たる2作が近い時期に似た終わり方になって、内容がかぶっちゃった感はやっぱりどうしてもあります。偶然です。
言ってしまえばスクカーは鬼滅よりも先に何年も前から、この結末に向けて物語を進めてきてたわけですしね。
ここはしょうがないです!!!
で。改めてスクカーの過去14話全28ページを読み返してみたら、結末はこうであったものの、その途中の各話は、意味深で精巧なようでもあり、適当にその場その場のノリだけで描かれてるようでもあり、そのこと自体が私にはなんか笑えて面白かったです。好きです。
平凡な高校生エレンが、自分の平凡な日常にうんざりして病みそうになったところに、「唯一神ユミル」を信仰してる宗教団体が勧誘にきて、あろうことかその唯一神の姿がエレンには見えているという。
この団体、もしかして、壁内のウォール教か何かが、大戦後も細々と存続し続けて100年後のこのアメリカンの街で再興したみたいな感じなんでしょうかね。そうだとしたら、なんか「宗教あるある」というか、妙なリアル感というか、「うへぇ~」って思わせてくれて見事です。
さらに面白いのが、ユミルちゃん本人は、そんな宗教団体に関係なく、3人の娘さんを連れた普通のママさんとして最終回に登場してるところです。
じゃあ、エレンが見た唯一神ユミルは一体なんやねん!
正しいサウナの入り方を普及させるために生み出されたサウナの神格かなんかか?
あとマルコもなんだったんでしょう?
最初はアルミンのオタク仲間という校内カーストのいち生徒の筈の彼が、なぜか以前事故で死んだ幽霊になってました。
そしてそれが見えるのもまたエレンだけ???
あれか。オカルトに興味全くないけど霊が見えるタイプの少年か。
そう思うと彼がオカルト少女のミカサにまとわりつかれてるのがなんか完成度高く見えます。面白いです。
とまー、私はこの「進撃のスクールカースト」をかなり楽しめました。
で。で。最終巻はスクカーだけはなく、本編追加ページも見どころでした。
なんとミカサの余生。
誰か他の男と結婚して子や孫に恵まれて暮らしたようです。
この男はジャンっぽくもあります。私はジャンだと思います。
これはきっとアルミンがミカサに、エレンが「10年は喪に服してほしい」「でも幸せになってほしい」と言っていたことをばらしたんだと思います。
というかミカサは他の男と結婚しつつも、生涯喪に服してたようなものです。
ずっとマフラーして手首に包帯して。
そんな女でもいいと言う男なんてきっとジャンくらいですよ。
他の男のことをずっと自分の真ん中に置き続けてる女を妻にして生涯寄り添った男です。
で、その誰かの妻は生涯エレンの墓に花を供え続けます。家族を連れて。老いても。
と同時に、元は僻地であった筈の丘がどんどん都市化されていく様子も描かれます。
しまいには21世紀レベルの文明のビル街になり……。
空爆を受けてます!
ああ、作者諌山創、こういうの描いちゃいますか。
人類は絶滅寸前にまでいって、復興して近代化して、戦闘機の時代になり、パラディ島は結局大空爆を受けてしまいました。
これが地鳴らしの報復なのかは分かりませんが、アルミンが「争いは無くならない」と言った通りになりました。
「世界は平和になりました」とはなりませんでした。とってことをかなり強く描いた追加ページでした。
虚しさ倍増です!
そしてまたさらに年月を経て、空爆を免れたエレンの墓の木は大木となり、島の生き残りの子孫の子どもが、大木にできた洞を見つけたところで、改めて正式な「進撃の巨人 完」となりました。
まるで生前のユミルちゃんが巨人の素と遭遇した時のようです。
また巨人の歴史が繰り返されそうな雰囲気でもありますが、でもちょっと考えたらここに埋葬されたのはエレンの頭であり、巨人の素があるのは脊髄な筈ですから、ここに巨人の素が復活とか再生とかしてるとも思えません。あんまり。
ま、これは答えを明言しないタイプのラストってやつであり、諌山がこう終わらせると決めたのなら、私はこれはこれでいいと思います。
うん。
スクカーのミカサも「私はよかったと思う」って言ってますし!
でもアルミンの「不満が解消されるわけじゃない」ってのにも同意しますけどね。
でもでもエレンの「一緒に映画を見たこと自体が楽しかった」ってのには、もっと同意します。
私は本誌の結末を最初に読んだときに「素晴らしかった」とも「ひどかった」とも思わず、「そういう終わり方なのだな」と納得しました。
その納得があるから、今回これを見ても特に動じず、「ああ、そうなのね」とフラットに受け入れてるって感じです。
繰り返しますがこの結末がいいとは言いません。でもこの結末でいいと思います私は。
ユミルちゃんが始めた物語でした。
そして145代カール・フリッツ王が島に壁を作り。
ライナーとベルトルトとアニが壁を壊し。
最後はエレンが地球を滅茶苦茶にし。
エレンが死んだ後も世界は相変わらずろくでもないことや不穏だらけでしたという話。
でも、ろくでもない世界でも人は何かを幸せを得たり、何かをやり遂げて悔いの無い人生を満足して終えることもできるんじゃないか、って気もします。ね。
以上。最終巻の感想はこんなところです。
あとは他に書きたいと思ったこと書きます。
他にもあった追加ページでは、ユミルちゃんがミカサの前に姿を見せるシーンがありました。
ここにあった超不可解な絵が気になります。
初代フリッツ王が槍で討たれて死に、彼女とその娘たちが生きている絵。
これは、かつて「ユミルちゃんができなかった選択」の絵でしょうかね???
だとしたら私は結構納得がいきます。
やっぱり「ミカサの選択」は「愛する男を殺すことができるか」なんですよ。たぶん。かつてユミルちゃんができなかった選択。
最終巻の広告がふざけてました。
【今週人気だった記事】1位は[エレンが異世界転生?諫山創描き下ろし「進撃の巨人」最終34巻の広告が朝日新聞に]https://t.co/Oqi3QCFb0T pic.twitter.com/Ri3ldrllC0
— コミックナタリー (@comic_natalie) June 11, 2021
スクカー以前によくあった単発ネタ嘘予告!
異世界転生のパロディギャグはいいとして、「一瞬日本に転生した」のが、意味がまるでないところが面白かったです。
本編でミカサに首をはねられたあとのエレンが本当にこうなってたとしたら……それもいいかもね!烈海王みたいでね!
ちょっと私事も書きたいです。
こないだGoogleサーチコンソールからメールが届きました。
私のこのブログの、本誌最終回の感想を書いたページが急上昇したってメール。こんなの初めて届きました。
なんとクリック数が「1000%超増加しました」という。
34巻が発売されて数日後に発生してました。
すごいなあー。
私のような個人の弱小ブログでもこんなに伸びるってことは、世の中の反響はもう計り知れません。
きっと賛否両論で大盛り上がりなのでしょうね。世界中で。
私は、そもそも、先にも書きましたが、この作品を最初はさほど注目していませんでした。「大作」になってからも。原作購読続けてアニメも視聴しつつも。
「この漫画すごいな」と思ったのはエレンが大人になってからでした。
エレンがマーレに単独で潜入してライナーと再会するあたりは本当に本当に素晴らしかったです。
ちょうどブログを始めたこともあって、その感想を書けばいいんじゃね?と思って、100話から毎回感想を書くようにしました。
途中からでしたが、感想ブログ書くってのはめっちゃ楽しい作業でした。
進撃ではもうそれができなくなるのは寂しい限りです。
大人のエレンは最初は大好きでした。
私は少年エレンの血気盛んなところとかいまいち好きではなかったのに、大人になった彼は別人のようになってて、その理由は分からないものの、彼の変化が面白くて仕方なかったです。
そして彼は一体何を考えてるのかは、結局のところ最後の最後まで分からないままで、私は途中の随所で騙されて振り回されてばかりでした。
ミカサに「お前が嫌いだ」って言ったのを本心だと思っちゃったし、ジークのエルディア安楽死計画に乗ったときにも、本当にそれを望んでると思っちゃったし。
それは彼は、進撃の巨人が有する未来を見て歴史に干渉する能力が発現したせいで人が変わってしまったからで、それは納得いきましたが、彼の「地鳴らしをしたい」って気持ちは今でも理解できずにいます。
エレンは、最初は熱血なだけのガキ、そして面白くてかっこいい大人になり、最後は理解不能な怪物となりました。
とにかく何かを「一匹残らず駆逐する」ことが好きなのかなあー。
この主人公、好きか嫌いかとか理解できるかできないかとは別に、歴史に残る存在になったと思います。
本当にそこがこの作品で一番すごいところだと、思います。
さ。終わりです。
でもないか。まだアニメの最終章があります。
それも楽しみです。
あるいは進撃の巨人の続編が連載開始されたりして。
それとか、「諌山創の新作!」と大々的に銘打ってるけど作画は別の人で「原作」だけ担当の作品が始まるとか。
世の中の0.01%級の売れた漫画家で、一度大ヒット作を生み出し、それが終わった後にも精力的に執筆活動を続けて、かつ大ヒットを出し続けてる例は、今ぱっと思いつくのは高橋留美子くらいです。
あ、井上雄彦、あだち充、「暗殺教室」とかの松井優征もそうかな。
諌山創はどうなるか?
これも楽しみ。