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「悪童日記」「ふたりの証拠」「第三の嘘」感想 読まなきゃ良かった9:読んで良かった1

「悪童日記」「ふたりの証拠」「第三の嘘」 アゴタ・クリストフ著 堀茂樹訳 早川書房 って3冊の本読みました。

 

嫌な本でした。マジで暗い気分になります。こんな陰鬱な本読むのに時間使うくらいなら何もせずボーッとしてたほうがずっと有意義だと思うほどでした。

 

しかし私は3冊最後まで読んでしまいました。そんなに嫌なら読むのやめりゃあ良かったのに。

 

それはなぜかと言うとこの三部作が他ではそうそう見ないすごい構成だったからだと思います。そこは読んで良かったと思いました。

 

読んだものの物語の全てがしっかり頭に入ってるとは言い難く、かと言って読み返そうとは微塵も思わないので、今も理解が曖昧なままなのですが、もうそのまま感想ブログ書きます。それもまたありのままの感想です。

 

 

 

さて。この三部作が完成したのは1992年でもう30年くらいも前の結構古い小説なんですね。

 

当時は大絶賛されてたっぽいです。

 

 

世の中なんか、暗くて性格が悪くて救いの無い物語が絶賛されること、たまにありますよね。文壇の人達がそういうのを高く評価することがあるのは、まー理解してます。

 

でも私はやっぱり私はそういうのわざわざ読みたいとは思わないかなあー。いや、私も「そういうのを読みたい気分」になることはあるような気もするし、これまでもあったような気もするけど、でも「読んで良かった嫌な本」の例が今思い浮かばないです。

 

「アルジャーノンに花束を」は悲しい結末だったけど嫌な本ではなかったし。

 

 

それにしても、この本は本当に嫌な本。登場人物が性格が悪いし、「なんでそんなことするの?」「なんでそんな生活をわざわざ続けるの?」と疑問なことが多いし、全然共感できませんでした。

 

性格が悪いってのは犯罪とか悪人とかいう意味ではないです。「生きるために犯罪する」なら理解できるし、「快楽や満足を得るために犯罪する」だとしても是非は別として行動原理は納得はできます。でもこの本の主人公、リュカとクラウスの双子は、やる意味の無い悪事をやったり、つく意味が分からない嘘をついたりしてばかりで、それが本当に共感を妨げます。

 

しまいには「理解できない人が理解できない末路を辿る様子を遠くから見物する」ような気分で読み終えました。

 

 

 

で。

 

この「嘘」というやつが、この本では難点であると同時に、超すごいところでもあります。

 

嘘だらけですこの本は。リュカもクラウスも嘘ばかりついてて、文中でどこが本当でどこが嘘か分からなくなってくるし、最悪今「私は」と言ってるのがどっちなのかすらよく分からなくなってきます。

 

私は熟読して正確に把握する意欲も湧かなかったこともあり、どこが本当でどこが嘘かマジで幻惑されまくりでした。ここまで嘘だらけだと逆にお見事です。

 

それはもちろん作者アゴタ・クリストフがわざとそうしてるからでその手腕は逆でもなんでもなく本当に見事だからです。だから読んでて不快になりつつも最後まで読み切れたんだと思います。

 

しっかり理解できてなくてもそれはそれでいいんだと思います。たぶん。

 

 

 

さて。まずは1作目の悪童日記。これは名前も不明な双子の少年が残した日記という形なのですが、それがまるまる嘘であったことが、続編のふたりの証拠で判明して驚きました。

 

そんなん小説でやっていいことなの~!?

 

小説ってやつはフィクションであり作り話であるのですが、でもその本の世界の中ではそこに記されたことはそこで起きたことじゃないですか。

 

でもこの三部作は違います。悪童日記はクラウスだかリュカだか(どっちかよく分からん)が書いた嘘の日記だったわけで、しかもそれは続編を読んで初めて分かることで、もし悪童日記しか読んでない人がいたとしたら、その人はこれが嘘の日記だったことを知らないまま終わるわけです。ひょえー。

 

そしてふたりの証拠の内容もまた嘘でした。どうも、双子が嘘の悪童日記を書くに至るまでの経緯、書いたあとどうなったかを手記にしたものっぽいのですが、そこもまた嘘嘘嘘の虚飾虚飾虚飾。

 

最後の第三の嘘でようやく双子が実際にどんな人生を送ってたのかが判明する感じでした。

 

(しつこいですが私は正しく理解してるのかは本当に自信はありません)(あくまで私はこう理解したってだけです)

 

こんなデタラメだらけの本を出版していいんだ、と唖然となりました。そこにおいてはこの三部作は私は絶賛の一言です。

 

でもこの本が出版された当時、1冊目も2冊目もそれだけで絶賛されてたようで、私が「この本すごい!」と思った要素は三部作が完結してから判明することなので、当時の文壇の絶賛と私が今感じてる絶賛はやっぱり全く別のものなんでしょうね。

 

 

 

あと、私は双子が嘘をつく理由が分からないと書きましたが、彼らは第二次世界大戦の戦地で生まれ育ち、家族関係にも問題があり、双子は長年離れ離れにさせられて、とても辛い人生だったので、現実逃避のために嘘で塗り固めた日記を書いて自分の精神を守ろうとしてたのかな、とかは思えなくもありませんでした。

 

うーむ、だとしても、双子のどっちもが、辛い環境から抜け出す努力も決断もせず人生を自ら切り開くこともせず、自分ができなかったことを嘘日記の中でだけ行動して心の慰みにしてたなんて小説は、私ににってはそんなん読んでても陰鬱なだけってのが大きかったです。

 

虚し過ぎます。そこはひどい小説でした。

 

 

 

あと余談。

 

私はリュカとクラウスという名前は、ゲームのMOTHER3で初めて見ました。

 

この本を読んで初めてゲームのほうがここから名前を貰ってたんだなと気付きました。

 

気付いてからは読んでてもMOTHER3が脳裏にちらついてしまって、そこもアレだったかも。これは完全に私の都合ですが。

 

 

 

 

 

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