ハンス・ロスリング オーラ・ロスリング アンナ・ロスリング・ロンランド著 上杉周作 関美和訳 「FACT FULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」日経BR社 って本読みました。
感心しっぱなしでした。すごい本です。
私自身が日頃から漠然と思っていたけど、うまく言葉にできないし、その根拠も示せないようなこと、を、論理的に根拠をもとに説明してくれる本でした。
「そうだよ!そうだよね!やっぱりそうだったんだ!」と。見事な本。べた褒めです。
世の中には「この世はどんどん悪くなっていってる一方だ」と思いたがる人が多いです。
特にそれを強く唱える人ほど、良くなっている面を見ようとしてないって私は常々思ってます。
あるいは意図的に悪くなっていってることにしたがっています。
この本はそういう人達が思っている誤解を解こうと奮闘してる本です。
「地球では貧富の差が広がっている」
「治安が悪くなっていってる」
「男女差別は改善されてない」
「人口が増えすぎて地球はもうもたない」
みたいなことは、全部誤解や極端な拡大解釈であることをデータを根拠に示してくれます。
私自身も、この本で初めて自分の誤解に気づいたこともありました。
「アフリカとかの貧しい人々の命をどんどん救っていったら、それだけ人口が増えてしまい地球人口増加に荷担するマイナス行為なのではないか」って誤解。
これ私もそう思ってました。
そう思ってる人多くない?
でも違ってました。
ちゃんと根拠や理屈があって、救っていくことで、彼らの生活レベルを上げて極端な多産社会を解消させることになるって納得できました。
なるほどなあー。
この本ではまずこの世を「先進国」「途上国(後進国)」の二つに分けることが非常~に良くないと説いてます。
この本では貧富の差を2段階ではなく4段階で分類してます。
レベル1の極度の貧困の人の生活と、レベル2のまーまー貧困の人の生活は天と地ほどの差があります。
それが、レベル4の最も裕福な生活の人間からは全然見えてないのだと。
レベル4人は1~3の人をみんないっしょくたに考えてしまうのが良くないと。
それぞれのレベルには「今一番必要なもの」がそれぞれ違うのだと。
薬だったり歯ブラシだったり、生理用品だったり避妊具だったり。
で、正しく、というか、無駄なく世の中を見るためには、どうすればいいか、どういう物の見方をやめればいいかを10の思い込みと銘打って挙げています。
分類本能、ネガティブ本能、直線本能、恐怖本能、過大視本能、パターン化本能、宿命本能、単純化本能、犯人捜し本能、焦り本能。の10種類。
この名前だけでどんなのかだいたい想像つきますよね。そういうのが良くないと。
ところでこの本のメインの作者ハンス・ロスリングは執筆中に2017年に亡くなってます。68歳でガンで。
(その息子たちが遺志を継いでこの本を完成させました)
なので今パンデミ中のコロナについては当然ながら考慮されていません。
もし今も生きてたらコロナについて何を言うか聞きたかったですが、でもこの本では伝染病そのものについてはいくつか語られてて(そもそも作者は医者)、こんなときはどうしたらいいか、どういうのがまずいかも読んでて改めて勉強になります。
反ワクチンはあまりにも嘘だし、犯人捜しも建設的でもない。
やれることは冷静な対応と地道な努力と医療従事者へのリスペクト。
つうか作者は世界規模で活動して大活躍してきた医者なのですが、長年着実に築いてきた成果がなかなか世の中に認められない恨み節のようなものもちょっと感じたりもしました。
それと「遺書」って感じもやっぱり結構あります。
あと、私は普段自分が何かを鑑賞した時、他人の感想はあまり気にしないほうなのですが、この本はちょっと書評とかレビューとかも見て回りました。
そしたら悪評もそれなりにありました。
驚いたと同時に納得もしました。
あー、こういう本を認めないタイプの人も世の中にはいそうだよなあーって。
悪評を読んだら、一理あるのもあったけど、アレな感じなのもちらほらと。
この本を読んで感心するか反発するかが結構なリトマス試験紙になってそうな気もします。
FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
- 作者:ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド
- 発売日: 2019/01/01
- メディア: Kindle版