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「エイリアン 科学者たちが語る地球外生命体」感想 宇宙人はやっぱりいないんだ!うわーん!

「エイリアン 科学者たちが語る地球外生命体」 紀伊国屋書店 ジム・アル=カリーリ編 斉藤隆央訳 って本読みました。

 

宇宙人の本は大好物です。私はUFOマニアなのかは自分では分かりませんけど。

 

この本は(も)結論というか総合的な読後感は「宇宙人なんて99.999%いません!」って感じで、今回もそれにがっかりすると同時に、そうであることに安心もします。

 

「いる」と信じ切ってる奴はやばくて近寄りたくなくて、この本を書いてる高名な科学者達がそうじゃないことにホッとします。でも私はこういう本をわざわざ読むのは、もしかしたら、その本が実はやばい本でやばい奴が「いる!」と大暴れするものだった、なんてのを期待してるのもあるのかもしれません。

 

宇宙人ってのはそれだけでエンタメです。

 

そして科学でもあり哲学でもあり宗教でもある、ってのもこの本は語ってくれます。

 

様々な分野の、心理学者とか分子遺伝学者とか宇宙物理学者とか19人の専門家が「地球外生命体を探す」をテーマに自分の専門分野の面からいろんなことを語ってくれる本です。めっちゃ科学的です。

 

 

「フェルミのパラドックス」「SETI」「ドレイクの方程式」「ダイソン球」などなどUFOマニアにとっての基礎知識もこの本はちゃんと網羅してます。「火星」「タイタン」「エウロパ」の研究もバッチリです。やっぱりUFOマニア?

 

あと「ケネス・アーノルド」「ロズウェル」「ヒル夫妻」とかのアメリカの定番要素も抑えられてて万全です。このへんはもはや民俗学ですね。

 

また私はこの本で新しく「LUCA」「シーガーの方程式」というものを初めて知りました。勉強になるぅ~。

 

ちなみにLUCAは40億年前の地球にいた全生物共通祖先の単細胞生物のことで、シーガーの方程式というのは1961年のドレイクの方程式を現代に合わせてバージョンアップした「宇宙人がいる可能性を計算する方程式」です。

 

 

Nは天の川銀河系の中にいる地球以外の文明の数で、昔はN=50000と言う人もいたのですが、今のこのシーガーの方程式ではN=1で、これでもかなり楽観視した数字だとか。

 

 

 

いや~地球外文明ってのは科学的な話を聞けば聞くほど、いる気がしなくなります。

 

そもそもまず無生物から生物が誕生することが超困難。どうやったらできるのか我々人類はいまださっぱり分かりません。

 

しかし大古の地球ではそれが1回だけ発生し(2回以上は発生しなかった)、そいつが増殖したわけですが、地球ができて6億年くらいでそれは達成したのに、単細胞生物から多細胞生物に進化するまでは30億年もかかったそうです。多細胞生物に進化するのもまた超困難と。

 

天の川銀河系内には地球と似たハピタブル星はもう何千個も発見されてるらしいのですが、たかが何千程度のサンプル数ではそんな超超超レア現象が都合よく起きるだなんてとても想像できません。

 

銀河系外の全宇宙の銀河団も含めたらひょっとしたらいるのかもしれませんが、そこまで遠い世界になるとまた別の問題が発生します。いたとしても見つけるのも見つけてもらうのすらもとても無理なレベル。電波とか光とか信号なんて届く気がしません。

 

もし何万光年程度の先に巨大文明があったとしたら、それは大きなエネルギーを放出してる筈だから地球からでも観測だけはできる筈なのですが、そういうのが見つかったことも無し、と。

 

 

 

さらに、宇宙人の概念を地球みたいな液体のH2Oベースからかけ離れた、なんか岩石生命体とかガス生命体とかのすごいSF的宇宙人がいるかもと想像を拡げても、今度は「じゃあそいつらはわざわざ地球に来る意味があんの?」って疑問が浮かびますし、「もしいるんならとっくに来てなきゃおかしい」って恒例の疑問もありますし。

 

この本はマジで説得力の塊です。

 

他にもフィクションや想像でよくある宇宙人が絶対にありえない根拠を見も蓋も無く語ってくれたり、良作SF映画と駄作SF映画を紹介してくれたり、人間とは全く違う生き物の例としてタコの生態をなぜか詳しく解説してくれたり、盛りだくさんの本でした。

 

宇宙人なんてまともに考えたらいるわけ無い。いたとしても地球が探知するのはめっちゃ無理。でも可能性は超低くても決してゼロでは無い。だから世界中の科学者は真剣に研究するし、やばい奴はいると信じ切ってしまうし、私はそういうのを見物するのが楽しいのです。

 

 

 

あとこの本からは離れる話ですが、去年読んで超面白かった小説「三体」にあった「暗黒森林理論」もこの本に並べてもいいくらいのネタだと思ってます。

 

あーでもこの理論は三体の核心的ネタバレになるから大っぴらに語るのは無理かあー。

 

 

 

 

 

 

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