2022年の「バキ道」はどうだったのかを今更ながらちょっと振り返りたいです。
正直に言って私は今のこの漫画を面白いとは思ってなく「中身(物語)が無いのではないか」と疑問なくらいなのですが、かと言って読むのやめてしまうこともできず今も読み続けてて、ってことは「読む価値はある???」と内心では思ってるのかもしれなくて複雑な気分なのですが、今日のブログはその「複雑な気持ちである」ってことをありのまま書こうと思います。
週刊少年チャンピオンで板垣恵介が連載してる「バキ道」。言わずと知れたバキシリーズの第5部にあたるような存在で、2022年(チャンピオンの1号~51号まで)を見るともう135話になり、バキ道だけでもそれなりの長さの連載になってます。
2022年次には24回掲載されました。やっぱり休載は多めです。しかも2022年は藤田勇利亜のバキ外伝「ゆうえんち」の月イチ連載が始まり、それが載る号には自動的にバキが休載になるシステムになってるようで、休載が多い印象はより強くなってしまいます。
ただ、アントニオ猪木が亡くなった時には「バキ道外伝 やっぱ猪狩完至は永遠だよネ!」を納めたり、自身の自衛隊時代の自伝漫画「我が青春の習志野第一空挺団」を発表したりなどなど他にも仕事はちゃんと精力的にやってて、特に自衛隊は純粋に面白く、決して「板垣は漫画家として衰えてる」とは思ってません。
しかし……それだけに、バキ道本編内容の希薄さが浮き彫りになってる印象もどうしても否めません。
で、振り返りますと。
1号では徳川邸で野見宿彌にジャック・ハンマーが挑戦するところで始まり、その後10話かけて二人の戦いが描かれました。
が、これがまた、少しやりとりしては実況やナレーションを挟んで仕切り直し、を繰り返す内容で、密度が薄かったです。
勝負はジャックの勝ちで、彼はその場で次にバキを指名しました。その続きはまだ描かれてません。
その後は勇次郎と、初登場した当麻蹴速が対面し、そのデモンストレーションや会話で9話。
この9話のうち、蹴速と愚地独歩とのマッチメイク「いよいよ二人の対決が始まる!」に3話も費やされてます……。
バトル自体は4話かけて描かれ、51号で独歩が退場するところで2022年次は終了となりました。
描かれたバトルは2戦、それ以外の大部分は、デモンストレーションや、比喩や、「男はただ歩いているだけなのになんかすごいオーラが周囲の人々の注目をひきつける」とかなんとかの描写に何ページも使ったりとか、そういうのが多くて、まとめて読むと本当に希薄に感じます。
以前にやってた「地下戦士 VS 大相撲の力士」編よりもさらに希釈度が下がってます。
で、この「希薄」なのですが、ある種の長期連載漫画において、そういう風に揶揄されることは珍しいことではありません。
かつての「BLEACH」とか「アカギ ~闇に降り立った天才~」とかでもそう言われてましたし、私も同感することもありますし。
ただ、それらとバキ道とでは印象が少し違い、それらは「物語を引き延ばしてる」というのに対し、バキ道は「物語自体が存在してない」ように見えてます。私には。
この世界の物語は、誰がどんな目標を持ってるのか?何がどうなったら物語のクライマックスとか完結になるのか?
というかそもそも宿彌や蹴速は何のために登場したのか?もし、彼らが地下戦士を次々と倒し凄まじく強いというふうに描写され、主人公バキが満を持して彼らを倒すとかいう物語だったら非常に腑に落ちるのですが、そうでもなく彼らはジャックや独歩に負けてしまいます。
2023年次には何やら宿彌が今度は復活したオリバと対峙して、今度は彼らが戦うっぽいのですが、でもそれ、仮にオリバが今度はリベンジして宿彌を打ち負かしたとしたら、宿彌は一体なんなのか私はますます理解に苦しむことになるんじゃないかって気がしてます。
ピクルはいいキャラでした。宮本武蔵は私は好きではないけど彼が大暴れした果てに最後に「退治」されたのは物語として納得しました。バキと勇次郎の親子喧嘩の決着もまた、まー、決着したことはいいことだと思います。
でも、今は、大相撲力士とのバトルも宿彌も蹴速も、彼らの存在というか、何がどうなれば物語の決着になるのかが読んでて全然見えなくて、なんか、非常にうまく言い表せられない複雑な気持ちになります。
かと言って私は「読む価値無い!」と思ってるわけでもなく、「ここが駄目だ」と明確に論理的に指摘したい点があるわけでもなく、現にこうして読み続けてるわけです。
結局私は続きやどう終わるのかが気になって見届けたくて読み続けてるんだと思います。ってことはこの漫画は「面白い」のではないのか……??????
それに私はしきりに「物語が無い」と言ってますが、そもそも漫画に「物語が存在しなくてはいけない」というルールなんて別にありません。
面白けりゃ何でもいいんです。物語だって無くても別にいいんです。いやいっそ面白くなくたっていいのかもしれません。
私はこの漫画を何だかんだ言って読み続けてて、たぶんこれからも読み続けるんだと思います。
そこに面白さとか物語とかなんて必要無いのかもしれません。本当に不思議な漫画と化したと思います。バキシリーズは。
あと余談。
勇次郎とバキは世界的な有名人になったって設定とか、勇次郎は実はバイセクシャルって設定とか、もう無かったことになったんでしょうか?