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「ヨルガオ殺人事件」感想 悪意があり過ぎて逆に清々しい!

ヨルガオ殺人事件 上下 アンソニー・ホロヴィッツ著 山田蘭訳 創元推理文庫 って本読みました。

 

先日読んで超面白かった「カササギ殺人事件」の続編を続けて読みました。年末年始はこれ読んで過ごしました。

 

私としては前作よりこっちのほうがより感嘆しました。構成もトリックも地獄のような世界観も。

 

まず前作はどういう世界観なのかすらも全く知らずに読んだので、それが分かるまでは混乱や疑心暗鬼があったのですが、今作はもう分かってたので安心して読めたことが大きいです。

 

以下ネタバレあり感想。

 

 

前作は書いてあることをどこまで信用していいのか分からなくて、私は「ひょっとして語り手の主人公スーザンが犯人なのでは」とか思っちゃったりもして、用心と言うか警戒してたのですが、今回はもうそれが無い分安心感が高かったわけです。

 

(いやしかしこのシリーズはさらに続編が出るかもしれなくて、そのときには「スーザンが犯人」も絶対無いとは言い切れないと思ってたりもしてますが)

 

で、今作は、この小説の世界が、主人公スーザンが直接関わった事件と作中の小説アティカス・ピュントシリーズの二重構造になってることを知った上で読んだので変に気を揉まずにすんなりと没頭できました。

 

それで読むと本当にすごいです。この本。超天才です。こんな物語を考え付く人がこの世にいることに感嘆します。

 

しかも、前作は完全に完成されてて続編作る余地なんか無さそうなのに「こんな続編の作り方があったのか!!!」ってことにも驚きます。すごいわー。

 

 

 

さて。私は今回も「犯人を当てるぞ!」なんてことは考えず、書かれてることをひたすら覚えて、結末で真相が明かされるときに「なるほど~」と感嘆できる態勢を維持することを全力で意識して読みました。私のおつむではそれが精一杯です。

 

この本はそれすらも大変です。なんせミステリー小説を2作並行して頭に入れなくちゃいけないわけですから。

 

 

今回は前作とは少し違い、スーザンの物語をある程度進めて、途中から作中小説「愚行の代償」が始まり、スーザンの途中までを覚えておきながら別の小説を読み終えなきゃいけなくて、めちゃくちゃ脳が大変です。まーそれが楽しいのですが。

 

そして「愚行の代償」を読み終えたら今度はそれを頭に入れた上で再びスーザンの物語を追いかけなきゃいけないわけですから超大変。超楽しい。

 

 

 

さて。私は探偵小説系は好きではあるけど、そういう世界観のお約束事を何の疑問も無く全部受け入れてるかというとそんなわけでも無くて、例えばなんつうか、犯人がやたらと奇想天外な偽装工作して殺人して、平然と無関係者のふりをして探偵と会話する、とかいうのに、無理を感じることも無くは無いです。

 

この小説にも若干そういう無理はあります。真犯人のエイデンは最初は善良な被害者遺族って様子だったのが、本性はかなりの悪党だったことがラストで判明して、トリックとかよりも、その善人を演じた演技力とかのほうに異次元を感じたりもしました。

 

さらに言うとエイデンはそんな知能が高いわけでも無く、わりと行き当たりばったりで殺人を2回やらかすのですが、その真相が謎になってるのは、彼が巧妙なトリックを作り上げたからではなく、周囲の人々の関係性や全く別の悪事が超複雑に絡み合ってて超ややこしくなってたからで、それも「なんだかなあ」って感じます。

 

いやマジで、スーザンの周囲も、ピュントの周囲も、嫌な奴殺人とは無関係に別の犯罪やらかす悪人とで満ち溢れてて、マジで地獄です。

 

で、この「なんだかなあ」感なんですが、この本ではむしろ徹底的なレベルにまで極まってて、そこが逆に面白さの一つになってる奇妙な状態です。

 

トリックの凄さと登場人物が嫌な奴だらけというこの2点がこの本の超凄いところだと思います。

 

汚職、いじめ、差別、偏見、不貞、そして殺人が二重構造で蔓延する世界です。

 

 

 

作者アンソニー・ホロヴィッツは今は年に1作くらいミステリー小説を発表してる感じでしょうか。

 

最近は全く別のホーソーン&ホロヴィッツシリーズがメインらしいのですが、またアティカスピュントシリーズの新作が出ることを気長に楽しみにしてます。

 

私はスーザンとそのダーリンのアンドレアスに全然好感を持ってないので、彼女らがまた何か痛い目を見ればいいなと思ってます。そんなこと思う私自身も嫌な奴です。

 

 

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