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絵本「せいめいのれきし」旧版と改訂版を比較 大きな違いは主に4点

私は「せいめいのれきし」という超古い絵本を持ってます。

 

第一刷が発行されたのはなんと1964年

 

で、この絵本は2015年改訂版が発行されました。

 

50年後に及んで何がどう改定されたのか、両者の実物で比較してみます。

 

 

 

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上の真っ黒のが私が持ってる「せいめいのれきし」です。

 

カバーだかケースだかはとっくの昔に逸失してます。

 

私が生まれる前から自宅にあったものらしく誰がいつ買ったのかいまいち不明。

 

絵本は30冊くらいあったような気がしますが、私が興味を失ったり引っ越しで持ち物の整理したりで他は処分してもこれはずっと保管してました。

 

好きな絵本だし、古いことに特別な価値があるような気がしたから。

 

 

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バージニア・リー・バートンっていう絵本業界では有名な作家の作品です。

 

内容はタイトルそのままで、ガチの古生物学の絵本。童話とかメルヘンとか一切無し!

 

でも絵がすごい芸術的で、世界的に評価が高い超ロングセラーです。

 

 

下の黄色いのが「改訂版」の「せいめいのれきし」。

 

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1964年から2015年までの間に古生物学の知見がかなり刷新されたので、そこを訂正したってわけです。

 

まず2009年にアメリカで改訂版が発行されてさらに2015年に日本語版が出て、初版から50年の間にどんなところが変更になったのか、前からちょっと気になってました。

 

 

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ちなみに昔は750円(消費税の概念無し)で、今は税込みで1870円

倍以上かあ~。

 

 

 

さて。まず細かい変更点は全ページ随所に見られます。

 

(以下の比較画像は、左もしくは上が旧版)

 

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外来語のカタカナ表記が昔っぽいのが現代的になったりとか。

 

水成岩堆積岩になったとかみたいな呼び方の変更とか。

 

 

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どの時代が何万年、何億年前なのか数字が改められたりとか。

 

 

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あとは、全体的な文章が、微妙に昔っぽい言葉遣いから現代っぽい言葉遣いになったりとか、より自然な訳文になったりとか。などなど。

 

ほとんどの部分はこういう「単語」と「数字」と「文章のニュアンス」の微調整って感じの変更でした。

 

 

カラー絵にはどこにも変更はないようです。

 

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こっちは作者バートンの芸術を最大限尊重されてるって感じです。

 

ティラノサイルスの体型とかも変更されずそのまま。

 

 

 

 

では大きく変わった部分はどこかというと、主に4箇所だと思います。

 

冥王星と、隕石と、プレシオサウルスと、アメリカ開拓民

 

この4箇所が特に「変えなきゃいけない」って要素っぽいです。

 

 

 

順を追って見ていきます。

 

一つ目、冥王星。

 

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冥王星が2006年に惑星から準惑星に格下げされちゃったことは有名な話ですが、この絵本でも存在が削除されてしまいました。とほほ。

 

でも仕方ない。私はこの変更自体には賛成よりですし、冥王星以外にも準惑星がいくつも見つかったのだから、正確性を重視するなら、彼らも全部追加するか、惑星だけに絞るのどちらかしかないです。

 

 

 

二つ目、隕石。

 

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地球になんかものすごくでかい隕石のクレーターがあるぞ!と発見されたのは1977年のことらしいです。

 

現在はそれが恐竜絶滅の原因の最有力説で、これも言及しないわけにはいかないと。

 

あと恐竜は完全に絶滅したわけでもないことも。生き残ったのもいて鳥に進化したのだと。

 

 

 

三つ目。プレシオサウルス。

 

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作中では「プレシオサウル」とありますが、これが改訂版では何故か削除されています。

 

なんでや?と思ってぐぐってみたところ、どうもこいつはジュラ紀の恐竜であって、白亜紀のページにいるのが現在では間違いなようです。

 

だったらこいつをジュラ紀のページに移動させればいいのではとも思いますが、これはさっきの冥王星にも言えることですが、一度完成された構成を改定するに、引くことは簡単でも足すことは難しいのでしょうかね。

 

 

 

四つ目、アメリカ開拓民。

 

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これは上三つにあった科学的見地の変更ではなく、人種がどうのこうのっていう社会的見地での変更かなと思いました。

 

 

旧版にはこうあります。

 

「開拓者たちのくらしは、けっしてらくではありませんでした。

 

しかし、うまれてはじめて、じぶんの土地をもつことの

 

できた、このひとたちは、くじけませんでした。」

 

このくだりが削除されています。

 

 

「白人」が「アメリカ大陸を発見」し「開拓者」が「自分の土地を持った」という。

 

さらに「くじけませんでした」と称賛的なニュアンスで語る文章で、アメリカ先住民の概念がすっぽり抜け落ちてて、はっきり言って現代の感覚では人種差別になっちゃいますね。

 

ちなみにアメリカ先住民のことは現代ではポリコレに則ると「ファーストピープル」とか「ファーストネーション」って呼ぶべきなんだそうです。

 

「ネイティブアメリカン」すらもちょっと良くないとか。

 

ましてや「インディアン」はもってのほか。

 

この絵本はその時代に作られたものですから。

 

このへんのデリケートなところを無難なものに変更しておくのも、さもありなん。むべなるかな。

 

ただ、だからって作者バートンがアメリカ60年代の人種差別問題に無関心だったとも限りません。

 

昔「インディアン」って呼んでた人に悪意があったわけでもないのと同じことかと。

 

例えば、私は左利きで幼い頃に「ぎっちょ」と呼ばれたことがたまにありましたが、当時はそれに別に悪意を感じませんでした。たぶんそんな感じ。

 

 

 

以上、私から見ての変更点はこんな感じでした。

 

絵本ってやつは何十年もロングセラーになることがたまにあるわけで、時代にそぐわなくなることも発生するわけで、そうなった際に改定することも選択肢なわけで(例えば「ちびくろさんぼ」は一度消えるという選択肢になりました)、で、この絵本はなんと50年目にして初の改定がなされたという珍しいケースだと思います。

 

 そしてこの絵本は、またいつの日か二度目の改定が行われるのでしょう。50年後?

 

せいめいのれきし 改訂版

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