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「岸辺露伴は倒れない」感想 北國露伴の解像度

「岸辺露伴は倒れない」集英社JUMPjBOOKS 北國ばらっど著 って本読みました。

 

岸辺露伴ってキャラはキャラが固まってないことがキャラです。媒体によって、なんなら原作の個々の読み切り作品ごとによっても性格も設定も結構変わります。

 

では北國ばらっど版の露伴はというと、わりと「やめてよねェ~」とか「そうなのォ?」とかいう感じで喋る人で、私は読んでて「ああこういうノリもまた露伴だよね」と妙にしっくりきて、その解像度に感心しました。

 

現在岸辺露伴と言えばやっぱり高橋一生ドラマ版が真っ先に浮かびますね。私も全話すごく楽しみました。この露伴は当然高橋の露伴であって、「だよねェ~」みたいな軽い喋り方はしないタイプです。「おいおいおいおいおいおい」とかは言いますが。

 

これは優劣とかで無くどっちも面白くて、違ってるからこそ楽しいわけです。

 

 

 

もともと原作荒木飛呂彦の多数の読み切り作品が、長年時々描かれることもあって、露伴の口調も性格も世界観そのものも結構個体差があります。

 

例えば彼のスタンドヘブンズ・ドアー」。原作の原作「ジョジョの奇妙な冒険4部」でのそれは自分にかけることはできない能力でしたが、「岸辺露伴は動かない」ではできたりします。またある程度の知能がある動物という縛りも無く、植物にかけたりもできます。フライドチキンにかけてる作品もありました。スタンドとすら呼ばなかったりも。

 

これはもう媒体ごとに作品ごとに根本的に違うのだと認識するのが賢明です。

 

あとは彼の親友広瀬康一がいたりいなかったり、「東方一族」なる謎の一族が東方仗助とは別に存在したり。マジで自由過ぎる世界観です。年齢とかも。こういうのは「そういうもんだ」と認識して楽しみましょう。

 

あ、そう言えば全然関係無い話なのですが、私はジョジョ8部「ジョジョリオン」にいつか岸辺露伴が登場するかなーとか思ってたのですが、大外れでした。

 

 

 

いい加減話を戻して「倒れない」の感想。

 

北國はもう露伴小説の第一人者です。これまでに出た「岸辺露伴は叫ばない」「岸辺露伴は戯れない」はアンソロジーで最多作を上げ、「くしゃがら」が絶賛されてるし私は「オカミサマ」がすごく面白いと思ったし、そしてついにこの第3巻は彼の単独本となりました。

 

おかげでこの1冊は北國露伴の世界として一貫性をもって楽しめます。

 

収録されてるのは「黄金のメロディ」「原作者 岸辺露伴」「5LDK〇〇つき」の3編。どれも面白かったです。「この露伴の言動は私には合わないなあ~」とひっかかるところも無かったですし。

 

一番面白かったのは5LDKでした。この5LDKの賃貸に仕掛けられてる悪意が見事でした。

 

北國はきっと漫画ドラマアニメ様々な露伴を熟知してて理解力とか咀嚼力とかがすごい人なんだと思います。

 

それでいて彼は独自の設定をかなりガンガン創作してます。例えば今作では露伴は「ピンクダークの少年」の他に「異人館の紳士」という読み切りシリーズを執筆してるって設定を入れてます。

 

でも私はそういうノベオリ(アニオリの親戚)も肯定的に読めて楽しめました。そう思える理由として、たぶん、彼の独自創作の一つであるオリキャラに好感が湧くからではないでしょうかね。

 

彼のオリキャラの特徴として、元から露伴とは知己の間柄という設定なのが多いです。今作でも露伴の新人時代編集だった集英社の偉い人白原端午とか、以前からの知り合いの建築写真家高島麗水とか出ます。過去作にも同業者の志士十五とか、付き合いの長い税理士坂ノ上誠子とかいました。

 

で、そういう人々は露伴とは全然友達じゃあないんだけど、実は露伴の事を仕事のプロとしてはすっごくリスペクトしてる様子が描かれることが結構多くて、それがそのまま北國が露伴をリスペクトしてるって印象に繋がってます。

 

偏屈者で好奇心取材バカの露伴ちゃんは周囲の人々から結構愛されてて、そこに好感が湧くのかも。

 

あと今作では泉京香も登場してます。彼女もまた、生意気で失礼でむかつく女だけど、自分の編集者の仕事を真摯に考えてる描写もあって、なんつうか隙が無いです。見事です。

 

 

良かったです。まー全部が全部、例えば「原作者」で露伴がピンチを切り抜ける方法とかにはすごいとは思わなかったようなとこもあるのですが全体的に満足な本でした。

 

 

あと感想とはちょっとずれるのですが、読んでて「これは実写化しやすいかな」ってのもなんかついつい思ってしまうことでした。これはドラマ版の影響です。今回は3作とも異形のモンスターが出る話だから大変かも?

 

そういやドラマ版は今度なんとルーヴルが映画化とのことで、これたぶん私は劇場に行くと思います。楽しみです。

 

あと余談ですがアニメのほうは私は櫻井孝宏に失望した人なので、あれが続投するんならもう新作出ても見ないかも。

 

 

 

 

 

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