「かぐや様は告らせたい」読んでますか?私は読んでます。
「この漫画変わったな」って思ってますか?私は思ってます。
私はかぐや様の毎週の感想ブログを書いてるのですが、今回はそういうのでは書き切れないことや、ただ頭に浮かんだことなどなどを書いていきます。
結論を先に言うと、この漫画は変わって、それで悪くなった点があることを決して否定しませんが、必要性や有意義な点もあり私はけっこう肯定的に受け止めてる、って話です。だいたい。
さて。かぐや様は「次に来るマンガ大賞1位」「小学館漫画賞」などなどを受賞し、アニメも次は3期で、実写映画化も2度され、本当に評価されてて人気があって売れてる漫画です。
特に実写映画が当たったのはすごいことです。
漫画の実写化ってのは実は世間でイメージされてるよりは爆死率は低くて、だいたいの作品はそこそこ成功して最低限黒字にはなるものなのですが、10億円とかいくのはそうそうなく、これはその数少ない例の一つでした。1期23億、2期10億。
(私の個人的感覚では10億超えれば当たり。鬼滅が400億だからそれと比較すると低く見えるけど10億だってそうとうなんですよ。)
ジャニとかの人気アイドルを出せば当たるとも限らなくて、「どうすれば当たるのか」の法則はたぶんこの世の誰にも解き明かせないでしょうね。
そういや、King&Prince永瀬廉と橋本環奈の主演の「弱虫ペダル」実写映画は6億だったとか。
話を戻して、つまり、この漫画は映画とかアニメとかをきっかけに原作知らなかった人が読んでみるって機会が非常に多かったわけで、またそれで実際面白いと思って続きを買う人も増えた作品ってことです。
人気あるし面白い。
しかしそこで私が常々思うことは、そういうアニメや映画で当たった部分が描かれてた連載初期と、現在とではもう原形をとどめてないくらいに別物ってことです。
これは私に言われるまでもなく多くの人が思ってることでしょうかね。
もしかして「昔は面白かったけど今はつまらん」と、読むのをやめた人も多いのでしょうか?
そういう数字が存在するのかは私には分かりませんけど。
この漫画は初期、中期、現在の三つの時期で、ノリというかコンセプトというか空気がそれぞれ大きく違ってて、大きな変化を二回遂げた作品だと思います。急速ではなく緩やかな変化でしたが、激変しました。
さて、まず、私が勝手に決める「初期」とは、伊井野が登場するまで、のあたりです。
白銀、かぐや、藤原の三人が生徒会室でワチャワチャ恋愛頭脳戦をやってて、石上が追加メンバーとなり、花火編が最大の盛り上げどころだったあたり。
アニメ1期も映画1期もだいたいこのへんが描かれて大人気になり、「原作初めて読んでみたけど面白い」って人が求めるような面白さが凝縮されてる頃でした。
この頃のノリはほぼギャグ。たまに「四宮家は厳しくてかぐやは不遇らしい」「石上にはなんか過去があるらしい」って匂わせがあった程度。この漫画が世に最もうけたのはおそらくそういうノリ。
私自身はこの頃からリアルタイムで連載読んでて楽しんではいたけど特別注目はしてませんでした。
私ががぜん注目するようになりこんな感想ブログまで書くようになったのは、伊井野ミコが登場してから!
そこから白銀とかぐやが正式に交際始めるあたりまでが「中期」だと思います。
伊井野は本当にいいキャラですよねー。伊井野はいいのよねー。
伊井野は初登場時はただの「風紀委員のテンプレ」キャラでした。
意図的にテンプレで描かれ続け、それが破られるのは選挙編の演説会で彼女が喋れなくなるシーン。
私はそこでやられました。
まー。伊井野がいかにいいキャラか、私は伊井野のどこが好きかは、このブログで何度も何度も何度も書いてきたので今回は省略しますが、彼女の生徒会メンバー追加のあたりが、この漫画そのものの空気が変わり始めた頃かと思います。
登場人物が一気に増えて、群像劇の度合いが強くなって、舞台が生徒会室からこの学校全体に広がったような感じとなります。
そして、伊井野が受けていたいじめや石上が不登校になった事件などなど、暗い話が増えていきました。
これが第一の変化。
この漫画に初期のギャグを求めてた人にとっては歓迎しない変化だったのかもしれません。
私自身も体育祭編は好きではありませんし。暗いから嫌いなのではないですが。
しかし暗い話が増えたこと自体は私は良い変化だったと思います。
世の中的にも好評だったと思います。アニメ2期や映画2期がそのあたり。
暗くて苦しい物語があっても、各キャラがそれを乗り越えたり、白銀が誰かのために頑張ったりする姿はまさに学園青春ものです。
そういえば作者赤坂アカ自身がこのあたりで時々「この漫画が恋愛頭脳戦ではなくなった」ってことを自虐ギャグしてた気がします。
かぐや様は告らせたいちゃんや天才たちの恋愛頭脳戦ちゃんが死んだりとかね。
ギャグとシリアス、甘さと苦さが半々くらいにブレンドされてたいい時期だったと思います。
しかしそんな時期もいつの間にか終わっていました。
文化祭編以降くらいからかな、とにかく暗さと、人の生苦や歪みの描写がどんどん増えていきました。
氷かぐやなる極端なペルソナとか、白銀の強迫観念とか、子安の自己満足的な置き土産とか、石上と伊井野を見てきた大仏の強引なキャラ変化とか、読んでてこっちまで暗くなったり、解決しても何かひっかかったり、時にははっきりと「ここはおかしい」と思うようなこともありました。
極めつけは「四宮家の闇」です。
連載初期にはボンヤリ漠然と冷酷でかぐやに厳しいって程度の様子だった四宮家がそのディティールが明らかになるたびに、呆れるほどに悪辣で封建的でかぐやを超~抑圧してきたことが判明していき、本当唖然としました。
今やこのあたりがこの漫画のメインです。
初期とはギャグとシリアスの比率がすっかり逆転しました。
これが第二の変化。
こんなの望んでる読者が多いとはちょっと思えません。
私はついつい「この漫画って人気落ちたのかな」ってちょっと気になったりします。
単行本売り上げは下降してるんでしょうか?
長期連載漫画の売り上げは緩やかに下降するのが普通らしいですが、この漫画は急だったりするでしょうか?
私は各巻の売り上げ推移とかは全然分からないので、ちょっと気になってモヤモヤしてます。
アニメ3期が始まればまたブーストするでしょうか?
いや、売り上げはどうでもいいです。読者にとっては。
自分がいい漫画だと感じるかどうかに、売り上げは関係ないですもんね。
では、この変化は果たして良いことなのか???
私は良いと思います。いや、「良い」と断言するほど強い気持ちではないです。
確かに、この漫画がこう変わって悪くなった点や不自然になった点はあります。
例えば……欠点の列挙とかするのは気が引けるのですが……大仏の「実は美人→実は難題女子→実は元アイドル→実は石上が好きだった→実は伊井野に不満を持ってた」って設定の変化はあまりにも無理があるように思いましたし。
また、かぐやの父雁庵が「秋ごろに倒れてた」ってのも、文化祭の前におうちがそんなことになってた最中に、かぐやが激エモだのアメリカ留学に一緒に行くことを一度は同意するだのとか、ちょっと呑気すぎますし。
この漫画の粗探しが好きな人だったら、きっとおかしな点をいくつも指摘できるのでしょう。
そういう悪い点があるのはその通りです。そこは否定しません。
しかし私はそれでもなお「この漫画は駄目になった」とは思いません。
それどころかこの変化は物語がしっかり完結するためには必要なことだと思ってます。
とは言えこれもやっぱりそんなに強い気持ちでは思ってないんですけどもね。
なので「この漫画はもう駄目だ」と思う人を批判しません。
でも私は以前5ちゃんねる(2ちゃんねる)のログをちょっと閲覧してみたときに「この人らはなんなんや」と思ったことがありました。
作品の悪評や作者赤坂の悪口をひたすら毎日投稿してる人らがいました。珍しくない光景ですけどね。
何かの作品を「つまんない」と思うことは何もおかしくないですし、悪評の一つも言いたくなる気持ちも大いに理解はします。
実際私も何かの作品を「これはひどい」と思うことは多いし、「どうしてもおかしいと言いたい!」と思った作品は悪評の感想ブログを書くこともあります。
でも私なら言いたいことを一度しっかり言い終えたらそれで終わりです。あとは黙るか作品を鑑賞すること自体やめます。
漫画に限らず人間は何かに文句とか難癖とかつけたくなるのは自然なことであり、するなとは言わないけど、するときこそしっかりとした姿勢で臨むべきです。
もしあなたが「かぐや様はもう終わってる」とか思ってて、ちまちま悪口言うことや他人の感想を読み歩くことが日課と化してる人だったら、もうかぐや様を読むの自体やめることを私は強く薦めます。
そういう人はすでに心の病気になってます。治療法は依存を断つことです。
心の見切りをつけられない人が辿る末路は人生の悲劇しかないので、ぜひ読むのをやめましょう。
しかし、そうでない人。
「今のかぐや様には齟齬や気に入らない点があることを認めた上で、それでもこの作品は好きだ」と言えるような人。
そういう人ならこれからも読む価値はあると思います。
私もそれです。
例えば大仏の言動はおかしいとは思ったけど、彼女が伊井野と和解できたことは良かったと思うし、これが伊井野がわだかまりを残さず石上に向き合えるようになるのに必要な過程だったことは理解できます。結果論的だとしても。
四宮家の闇もそんな感じなんじゃないかなと現時点で思ってます。
白銀とかぐやはどうなればハッピーエンドになるのか、それは結婚することなのか、とかは分かりませんが、それを目指すのに四宮家の問題は避けて通れないことは誰でも理解できることだと思います。
それに関して、は、私は赤坂は読者の期待を裏切ることは無いだろうと信じてます。
もちろん不安もあります。
例えば不知火ころもや大林ヒカル教諭は初登場したのはもう随分前ですが、まだ何も役割を果たしてないに等しいです。
大丈夫なのか?語られるのはいつになるのか?と思ってしまいます。
不知火なんてApex Legendsを絡めて「新たな波乱が伊井野に降りかかる」とまで大々的に煽ってきたのに、まだミスリード要員くらいにしかなってなく、彼女の真意や目的も不明。
阿倍ひふみは登場すらしてません。
「全部の布石を完璧に消化しろ」とかは今更言いませんけどね、一抹の不安はやっぱりあります。
しかしそれでもなお私はこの漫画に注目をし、期待をし、結末をしっかり見届けたいと思ってます。
まー私がそう思うのも自分が入れ込んでるのは伊井野であり、白かぐには一歩引いた視点で見れてるからなのかもしれませんけど。
ともかく私はこの漫画が好きであり、続きを期待してて、時に批判しつつも基本は楽しむ姿勢でい続けます。そうしたほうが心身の健康にも一番です。
ってことを言いたかったブログでした。今日は。
ふう。長々書きましたが、長々ついでにもうちょっと、日頃書き切れない余談も書きたいです。
まずは【推しの子】との同時連載について。
私は始まったときは正直に言って歓迎しませんでした。
ただでさえ休載多いかぐや様が他の仕事増やしてますます疎かになったらたまったものではないので。
実際一時期は両方とも休載がめっちゃ増えたりしました。
しかし現在はどちらもヤングジャンプの他の作品に比べて特段休載が多いわけではない状態に持ち直してるように見えます。
また【推しの子】も人気があって評価を得てます。
かぐや様と同じく「次に来るマンガ大賞」1位とってたし、世の中の数々の漫画賞で上位になってて。
私自身も結構注目しててときどき感想ブログ書いてます。
結局この同時連載は両方ともで結果を出してます。本当にすごいです。
今後も同時連載が維持できるのかの不安は全く無くなったわけではありませんけどね。
両方ともが無事に物語の完結を迎えることを心から願ってます。
あと最後にやっぱり伊井野について。
彼女と石上は現在もう告るだの告らせるだのの次元になく、お互いに好意があることを暗黙で確認し合ってる状態なわけで、いつ正式に交際を始めようが全く問題無い状態です。
しかし彼らが敬愛する白銀四宮両先輩が今大変なことになってしまい、こんなときに自分らが恋愛にうつつを抜かしてる場合じゃないってなりそうで、石ミコの物語はこれからかなり長い間お預けになるのではと心配です。
またステラの押し花やハートのキーホルダーが漫画的にどういう意味を持つのかがまだ不完全です。
そして、何より忘れてはいけないこととして伊井野はかつて生徒会長に立候補した際に「男女交際を禁止する」ってマニフェストを挙げていました。
なのに今の彼女は教室で堂々と(不知火にあてられ)石上にアピールして、仮に付き合うとか親密になろうものなら、校内での伊井野の評価はかなり落ちるのではないかと思います。
しかも伊井野も石上ももともと悪い意味での校内の有名人で、それは過去形になりつつありますが、伊井野はかつて自分が禁止しようとした男女交際を自分がすることに対して、対外的な何らかのけじめを示さないと、次の生徒会長にはなれないんじゃないでしょうかね?
ところで伊井野は坊主頭の男が好きだそうです。さて?
以上、これが今年最後のブログ更新です。5516文字になりました。
読んでくださった方ありがとうございます。来年もまた良ければ読んでください。