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ジョジョマガジン「無限の王」感想 リサリサ人生最後の戦い、そしてレクイエム

JOJOmagazine 真藤順丈著「無限の王」って小説読みました。

 

良かったです。私はジョジョの小説読むときはオリジナルスタンドを結構楽しみにしてます。今作は舞台が中南米なので登場するスタンド名もそれっぽいのが新鮮だったし、全体的な中南米の空気感や語彙も面白かったと思います。

 

そしてなによりリサリサがね!オクタビオホアキンがね!

 

さて。集英社ムックジョジョマガジンはこれまでに3冊出て(1号2号とか番号ついてないのね)、2022SPRING、2022WINTER、2023WINTERで「無限の王」が3回連載されて完結しました。

 

そういやジョジョマガジンって今後どうなるんだろ?これからも出るのかな?まーそこは今日のブログとは関係無いので省略。無限の王の感想に集中します。以下マジでネタバレあり。

 

(ちなみに扉絵のリサリサは毎回「若い頃の彼女」)

 

まずはネタバレの核心となる今作に出たオリジナルスタンド一覧。オリスタこそジョジョの奇妙な冒険ノベライズの華です。担当小説家の腕の見せ所です[要出展]。

 

スタンド:蠅の王(エル・シニヨル・デ・ラス・モスカス)

本体:フォビオ・ウーブフ

能力:蠅を操る。ロッズの蠅版。

 

スタンド:石蹴り遊び(ホップスコッチ)

本体:イザヘラ・メナ=メナ

能力:地面にチョークで輪を描くとそこが奈落の落とし穴になる。ケンケンパで回避できる。

 

スタンド:エクエ・ヤンバ・O

本体:名前不明のアルホーンの兵隊

能力:ネバネバの網を建物の壁とかに張り触れた者に攻撃する。たぶん自動遠隔操縦。

 

スタンド:緑の家(ラ・カサ・ヴェルデ)

本体:ドス・サントス

能力:植物を急成長させて実物の動く森を作り出す。すげえ。

 

スタンド:夜のみだらな鳥(エル・オブセノ・パハロ・デ・ラ・ノーチェ)

本体:サーシャ・ロギンズ

能力:無数の鳥の群体。バッドカンパニーの鳥版。

 

スタンド:血の祭り(ヤワル・フイエスタ)

本体:ピスコ

能力:自分の皮膚を傷つけた物体の複製を自分の皮下に作り出す。

 

スタンド:闇の奥(エル・コラソン・デ・ラス・ティニエブラス)

本体:フェルナンド・アルホーン

能力:殴った物の(人体のパーツすらも)配置を入れ替える。分解ではないところが怖い。

 

スタンド:ザ・ハウス・オブ・アース

本体:リサリサ

能力:熱風を吹き出し、風に波紋を流せる。全波紋使いの夢。

 

スタンド:無限の王(エル・アレフ)

本体:オクタビオ・ルナ・カン

能力:本体の友達となり、一人の完全な人間となる。

 

スタンド:無限の王レクイエム

本体:オクタビオ・ルナ・カン

能力:その場を夜にし、最終的には夜を凝縮した闇の最凶モンスターを生み出す。

 

 

 

最後三つはマジのネタバレです。

 

読んでて三段構えで「おお~」ってなりました。

 

なんとリサリサがスタンド使いになりました。98歳で自らの意志で矢を受け。

 

そしてスタンドを行使するのは人生でたった一度切りという。熱いです。太陽風のように。

 

 

ただ、ということは必然的に原作とは齟齬が生じることになります。

 

今作ではスピードワゴン財団は3部DIO復活以前の1970年代からスタンド(と名付けられる前の驚異の力(ラ・マラビジャス))弓と矢の存在を認識してたことになりますから。

 

ん?いや?齟齬ってほどではないか?

 

この独自設定でも原作が狂う点は特に無いですかね。

 

まー、ジョセフとアヴドゥルが全世界のスタンド使いの数がタロットの22だと思って(てエジプト九栄神とかに驚いて)た描写、4部承太郎が矢が複数あって驚いてた描写、とかと相違はしますけど、その程度ですかね。

 

むしろ、この設定のおかげで、原作にも今作にも描かれてない部分である、「ジョセフとアヴドゥルの出会いはどんなだったか」とかの想像が膨らんでいい感じだと思いました。

 

 

 

そして今作の矢の設定も私の中にある矢のイメージと噛み合ってて腑に落ちました。

 

全世界に6個あるという鏃は機能に違いがあると思います。

 

矢を誰かに射って発動させる際に、もし不適合者だったら致命傷になるほどに深く刺さないといけなくて、さらに射る前に適合者と不適合者の区別ができない矢A

 

皮膚を軽く傷つけるだけで発動できて、矢自身が適合者を探してくれる矢B

 

レクイエムを発動できる矢C

 

レクイエム発動できない矢D

 

形兆→音石→財団保護となった矢はAD。ディアボロ→ポルポが持ってたのもAD

 

吉良のおやじが持ってた矢はBC。ポルナレフが持ってたのもBC

 

承太郎が徐倫のペンダントに入れてた破片はたぶんBD

 

そして今作に出たエンヤ婆→アルホーン→オクタビオの矢はACです。

 

なんか非常に納得がいきました。

 

ジョルノはかつてブラックサバスの矢が自分のゴールドEに刺さったことがあるけど、そこでレクイエムは生まれませんでしたし。

 

4部吉良(川尻)はおやじの矢に人生で2度目刺されてバイツァ・ダストというスタンド進化が発生したのはなんかちょっとレクイエムっぽい感じだったし。

 

たぶん矢Cは、スタンドに刺すとレクイエムが発生して、スタンド使い本体に刺すとレクイエムほどじゃないけどなんらかの進化や暴走を促すんだと思います。

 

 

そうこれこそが本作の肝であり、スタンド使いオクタビオと彼のスタンド「無限の王」がアルホーンにまとめて矢で射られてしまい、レクイエム&レクイエムっぽいものの相乗効果が発生して、超越的な闇の空間がアマゾン地域にできてしまったという。

 

そしてオクタビオのスタンド「無限の王」は自分がスタンドであることを全く自覚してなかったから、自分は人間でありスタンド使いになって「無限の王レクイエム」は自分のスタンド能力だと誤解してたという。

 

なるほどなあああ!

 

ちなみに作中で「レクイエム」という単語は一度も登場してなくて、ぶっちゃけ「無限の王レクイエム」も私の勝手な造語です。

 

でも私は読んでて「これレクイエムだ!」と思ったのでもうそう呼んでしまいます。

 

そんなこんなで私はこの作品で「リサリサがスタンドを身に付ける」「ホアキンは人間ではなくスタンドだった」「彼がレクイエムになった」ってことに三回感嘆したのでした。面白かったです。

 

 

 

それにこの作品は3部の前日譚、2部と3部の幕間劇として良質だと感じました。

 

あの、他の作品と比較してしまうんですが、私は、最近の他作品、4部の前日譚、3部と4部の幕間劇であった「クレイジー・Dの悪霊的失恋」が全然しっくりきませんでした。

 

「仗助が承太郎と出会う前にホル・ホースと出会って共闘した」って設定を嚥下することは全然できませんでした。

 

今作はそれの直後だったので見事に咀嚼して嚥下できたことに一際感嘆したって面があるかもしれません。こんな比較の仕方はあんまり良くないとは分かってるのですが。

 

 

リサリサが2部のあの戦いのあとどんな人生を送って、どんな最期を迎えたのか。

 

財団はスタンドの存在にいつ気づいてどんな研究をしてたのか。

 

丁寧にじっくり描いてると思いました。

 

今作ではリサリサは100歳近くまで3部開始直前まで生きたことになります。もしかしたら彼女は幼い曾孫承太郎と実際に対面したこともあるかもしれませんね。そういう想像もまたロマンです。

 

満足できる作品でした。

 

ジョジョマガジンは値段お高めのファンブックって感じなのですが、いい作品もいくつかあるので買って損は無かったです。

 

 

ただ実は一点不満点もあって、麻薬売買に手を染めた奴が許されるのはどうなの?って思いはちょっとありました。

 

これは9部ジョジョランズのジョディオに一点感じてる不安と共通してることでもあります。

 

5部でブチャラティやジョルノがあれほど麻薬を否定してたのにさあー。

 

ジョディオの言う「大富豪」は今作のオクタビオのようなただの麻薬王のことじゃないんですよね。まさか。

 

 

 

 

欲望の怪物

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  • 加藤万里奈
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