ず~っと出張ってたキン肉マンスーパー・フェニックスがようやく戦線離脱しました。
「出張ってた」は決して「出しゃばってた」ではなく、物語上彼がマジで超重要な役割を担ってたので必然的に出番も増える状態でした。
そんな彼もついに電池切れになり、仕事の続きを託すに値するという相手にバトンタッチ。
それこそ主人公キン肉マン!
やっと活躍できる日が来たねスグル。
さて。フェニックスはマジで表舞台でも裏舞台でも大忙しでした。
彼の視点で物語を振り返って見ますと。
まず彼はかの王位継承戦でキン肉マンに負けたあと、和解はできたもののキン肉星の要職の誘いを蹴って辺境の星で開拓労働に勤しんでました。
そうした理由はおそらく罪滅ぼしで、それだけで彼が(高慢な性格ではありつつも)実は誠実で、また簡単に自分を許せなくてプライドが本当に高いことも窺えます。
そこへやってきたのが知性の神。
かつて自分が散々失態を演じた元凶と再会して、心穏やかではなかったでしょうねえ~。
しかし知性から聞かされた話は本当に「この世を揺るがす」ものであり、到底捨て置けるものではありませんでした。
この事情は最近の連載でようやく全貌が明かされて、オメガ編でこのシーンが描かれた時点ではまだまだ謎でした。
本人もキン肉マンに問われてもぼかしてました。
もしかしたら作者ゆでたまごも、この時にはまだ構想してなかったのかも。
でも後々振り返れば辻褄が合ってて、結構緻密だと思います。
このへんが昭和肉とは大きく違う平成肉令和肉の魅力の一つです。
で、知性が持ってきた話は二つ。「オメガ・ケンタウリの六鎗客の襲撃」と、「天上の神々による超人粛清」。
そしてオメガの民は「オメガの星の危機」と「ザ・マンへの積年の恨み」の二つの問題を抱えていました。
グロロの大将を殺されては非常にまずいし、オメガマン・アリステラにはそれが決して不可能ではない程の能力がありました。
オメガ問題も神問題も、どっちも大急ぎで(しかも立て続けで)対処しなくてはいけない超厄介問題!
そこでフェニックスは、六鎗客には自分自身とキン肉マンマリポーサ、キン肉マンゼブラ、キン肉マンビッグボディでもって迎え撃ち、神対策にはマンモスマン、プリズマン、サタンクロスをひそかに送る二つの作戦を同時に進行させました。
三人の部下にはカピラリアの欠片を預けて。
まーね、これは後から見れば送るチームが逆じゃね?とちょっと思いました。
六鎗客よりは神・超神のほうがより脅威の強敵なんですから。
ただこれは、一つ目の作戦も二つ目の作戦もどっちも絶対失敗できないとは言え、一つ目で失敗したら元も子もないのでそっちを優先した采配でもおかしくない、と思い直すようになりました。
それにこれは私の勝手な想像ですが、フェニックスはオメガを皆殺しにする作戦をとってはいても、脳内では「オメガと和解できる可能性」も考慮していたのかもしれません。
自分がかつてそうできたように。キン肉マンがそうしてくれる可能性を。
うまく和解ができれば、オメガ問題でかえって雨降って地固まる的なより強固な体制を築けた上で神問題に立ち向かえるから。
実際そうなりました。
まー、キン肉マンが和解してくれた相手はパイレートマンであり、直接アリステラと和解してくれたのはキン肉マンソルジャーではありましたが。
つってもキン肉マンが最初の最初に和解の道筋を作ってくれた功績は小さくないですけどね!
パイレートマンはピークアブーと同じポジションです。
それはともかく。フェニックスはそのアリステラと先に戦って完敗しました。
知性の神と融合しても勝てなかった!アリステラマジで強い!
でもなんとか生き延びて、その後も裏方として働き続けます。
「ソルジャー&ブロッケンJr vs アリステラ&マリキータマン」のリングをセッティングしたり、オメガ終戦の直後に超神の襲撃が始まってしまい、ビッグボディの部下4人が(何故かビッグボディに内緒で中国兵馬俑の中に潜伏して)ランペイジマンにコテンパンにやられる寸前で彼らの命を救ったり、超神と交渉してマンモスマン達と戦わせたり。
働きまくりです。
さらには自分自身もアリステラに殺されかけた直後だというのに、すぐに連戦です!
ビッグボディと組んで、ノトーリアス&イデアマンとタッグマッチで。
この一連の厄介事の調整は全部彼がやってくれたようなもんなのに、さらにまた戦いの舞台にも立つという。
しかもしかも、そのタッグマッチが彼の見せ場だらけです。
ビッグボディとのコンビネーション、リング前に駆けつけたキン肉マンとの友情。即興合体技。
私はこのへんで結構感嘆しました。
フェニックスって高慢で嫌な奴じゃないですか。王位編で散々やらかして。
でも今の彼の、この一連の大活躍の動機は「この世の危機を捨て置けない」「罪滅ぼしをしたい」「キン肉マン達の力になりたい」っていう本当に正義や誠実さによるものです。
そここそが彼(彼らゴッドセレクテッド)の勝因です!
この勝敗、まず単純に言えば、アリステラは8600万パワーで、超神らマイティハーキュリーズはそれぞれ9999万パワー。しかもフェニックスはアリステラに負けて死にかけた直後の連戦で、どう考えてもフェニックスがアリステラに負けて超神らに勝てたのはおかしい。
いえいえ全然おかしくありません。
そう!勝因は友情パワー!慈悲の心の第二段階です!
フェミックスはビッグボディとの共闘の中でお互いを思いやる心に目覚め、息を合わせて出せた力がそれに他なりませんて。
だから勝てたのです!たぶん!
今のフェニックスなら、邪悪神の力を借りなくても、持ち前のあふれる知性と慈悲の心とで、少し前のキン肉マンに匹敵するほどの力を持ってるんだと思います。
あと私個人のイメージでは、フェニックスってなんかネメシスとキャラが被ってると思ってたんですが、見事に差別化できたと思います。大喝采です。
で、超神の襲撃を受けても何人かを倒せたことによって、戦いは「バベルの塔の試練」へと移り、ここまでが知性の神とフェニックスの計画だったってことになります。
以上。もうホンットに仕事しまくりだったと思います。
そして始まった、塔に行く8人を決める「超人リモート会議」。
ナイスネーミングです。
これはかつてティーパックマンとヘイルマンが戦ったときの「スペイン茶会事件」に匹敵するナイスセンス。
でも、私としては超人血盟軍の活躍をずっと期待してたので、せっかく5人が集結してもこの展開で5人チームで戦う機会が失われたのは正直残念でした。
まー仕方無いかな、それは。
会議では次々に立候補者が表れます。
【WEBキン肉マン352話読了後に活用ください!】原作打ち合わせのために担当が作った資料です。今後の展開予想に役立ててくださいね!#キン肉マン pic.twitter.com/ccWaGl3iSa
— ゆでたまご嶋田 (@yude_shimada) 2021年7月4日
連載時にはゆでたまご嶋田がまとめを発表してくれて、読者達は予想に盛り上がったようです。
(シングマン生きてたのね!)
私は血盟軍欠席だし予想はしませんでした。
ジェロニモ、アシュラマン、サンシャイン、バッファローマン、ウォーズマン、ネプチューンマンの6人がすぐに決まりました。(予想的中した人いる?)
テリーマンが自分は辞退してジェロニモ参加をアシュラに説得するシーンはなかなか説得力ありました。
(ジェロニモについてはまた別の機会で感想ブログ書きたいです)
サンシャインの立候補演説は面白かったです。
でもラーメンマンやマリポーサなどなど他の不参加者が黙ってたのはちょっと物足りなかったです。
で、残り二人。うち一人はロビンマスクで、最後の一人。
そこにフェニックスが立候補した時点で、彼の疲労とダメージが限界に達したようです。
休めと説得するスグル。それに意外なほど素直に従うフェニ。
なぜならそのスグルにこそ、自分の仕事の続きを安心して託せるから。
いや本当マジでフェニックスはキン肉マンのこと好きですよね。
タッグマッチ中も節々でそれを感じました。
今回の仕事は彼への罪滅ぼしのようなもので始め、最後にその彼から認められてうれしそうなこの様子。
ようやく無事に生き残って戦線離脱できました。お疲れ!
キン肉マンもキン肉マンで、いつもならビビッて逃げて1,2話は使いそうなものなのに、今回だけはすんなりと指名を承諾しました。
ここで逃げたらさすがにフェニックスに申し訳なさ過ぎますもんね。
そしてメンバーは確定し、ザ・マンの宣言のもと集結する7人。と、復活するロビンマスク!
ロビンの復活の経緯も、超人墓場システムが崩壊したあとどうするのかと思いましたが、筋道が通ってて見事でした。
フェニックスの部下は3人とも死んでしまいましたが、マンモスマンはロビンに、プリズマンはジェロニモに、サタンクロスはアシュラマンに、遺志を継がせることができたのも良かったと思います。
フェニックスの仕事はホンマに丁寧やで。
そして彼がキン肉マンやあとビッグボディを認めてリスペクトする姿勢をめっちゃ素直に示すところも結構熱かったです。
天才だけど高慢だった男が一度やらかして罪悪感と恥で辺境に隠居してたら、この世の危機を聞きつけ、再起して奮闘して思いやりを持つ男に成長したって話だと思います。これこそ本当の捲土重来。
と。彼に感心したってことを、私はこうブログ書きたくなったのでした。
さ。続きもいろいろ楽しみです。
ジェロニモ。