はたしてこの漫画においてジェロニモってキャラはどうなのでしょう?
キン肉マンで注視してたバトル、ジェロニモ VS ジ・エクスキューショナー の決着がつきました。
正直に言って彼を見直したとか好きになったとまではいかないのですが、見ごたえのあるバトルそして物語で、満足感は高かったです。良かったと思います。意義もあったかと。
かつて昭和の時代に一度連載終了したキン肉マン1期。そこでは数々の人気キャラが生まれましたが、その対極として「情けないキャラ」「みっともないキャラ」もいくつか生まれてしまいました。
それが、カナディアンマン、ウルフマン、キン肉マンビッグボディ、レオパルドン、ジェロニモの5人だと思います。
とにかく戦績が悪く、また扱いも悪かった悲惨超人たちです。
「戦績がパッとしない」だけなら実はブロッケンJr.やザ・ニンジャも結構(キン肉マン2世時代を含めるとさらに)そうだったのですが、彼らは人気はあります。
「ネタキャラ」「雑魚キャラ」ならカニベースやキン骨マンみたいなのを指すと思います。
5人はそういうポジションですらない「弱い」「人気が無い」「扱いが悪い」の三重苦揃った最悪状態でした。
ネタ人気ならあったかもしれませんが、私はそのへんのは悪ふざけの域を出なかったと思います。
しかし平成が終わり令和が始まるこの世でキン肉マン2期の「オメガ・ケンタウリの六鎗客編」あたりから、彼ら5人の運命が再び動き出しました。運命の5悲惨。
六鎗客編と今編(未命名)は、彼ら悲惨超人の救済や汚名返上の意味合いも大きいシリーズです。
ジェロニモ以外の4人については私はすでに過去に感想ブログ書いたので長々と繰り返すことは避けますが、おおむね良かったという感想を持ちました。
カナディアンマンとレオパルドンは初勝利はなりませんでしたが、参戦しただけのそれなりの爪痕というか意義を残し、ウルフマンは念願の大勝利、ビッグボディは大活躍できました。
そんな頑張ってきた悲惨超人達の最後の最難関が、今回のジェロニモです。
始祖編の冒頭でも完璧超人無量大数軍にコテンパンにされてたあのジェロニモです。
そんな彼が無量大数軍よりも格上の超神に挑みました。
それがなんと、8人のリアル・ディーズとして、バベルの塔の試練の初戦!
しかも「初戦で負けたらその場で全員失格」という厳しいルールで。
まーね、この時点でジェロニモが勝つことが確定した予定調和であったことは否めません。どっちが勝つか最初から分かってるバトルです。
しかしその過程、説得力、そしてジェロニモではないですがサンシャインが活躍してくれたこと、またエクスキューショナーの正体などなどの演出によって、見ごたえのあるバトルになったと思います。
サンシャインが本当に良かったです。
初戦に立候補したジェロ。しかしアシュラマンが強く却下し、キン肉マンやネプチューンマンも反対気味。
意気込みは認めても、実績が無いというネプの指摘には何も反論できません。
しかしそれを押してなお彼を支持するのが、サンシャイン!
彼の熱弁は、もう説得力の塊です。超面白い。
サンシャいいなあ~。8人に立候補したときも面白かったけど。マジで最高です。
「ジェロニモの評価が下がれば自分の評価も下がる」という至極もっともな理屈です。
確かにそうだ。
ジェロが悲惨超人にまで落ちて一番被害を受けたのは確かに彼です。(ちなみに二番目はテリーマン)
しかしその愚痴の中にかすかにジェロへの思いやりが見え隠れするのが心憎いです。
アシュラもそれに折れてジェロの出陣を認めます。ここにも優しさがあるような気がしないでも無いです。
で、晴れて堂々と初戦に臨むジェロニモ。
そのバトルはどうだったでしょうか?
「ジェロごときが超神に勝てるのはおかしい」と思うような忖度試合にはならずに済んだと思いますけど、どうでしょうね?
丁寧に設定の説得力や演出を重ねてたと思います。
プリズマンから受け継いだカピラリアの欠片を得た状態なので、パワーアップの根拠はそれなりにあります。
また彼自身が「これまでの負け犬戦績が恥ずかしい」「だからこそ」「今度こそ」と非常に燃えてる状態です。
そういや先の悲惨超人4人にもそれが見て取れました。
そのおかげで、相手が超人強度数千万パワーが当たり前の強敵でも、一矢報いたり勝てたりしたわけで。
負けるにしろ勝つにしろ本当に丁寧に試合を描いてあったと思います。
今回もそう。
予定調和の印象はやっぱりありますし、ジェロニモを見直すくらい感動したってほどではありませんが、両者の因縁とか、ジェロを応援する先輩超人たちの声援とか、見どころ多い試合でした。
特にジェロにきつくあたってたアシュラマンが声援送るところは結構熱かったです。
で、テリーマンへのリスペクト(配慮)も含みつつ、ジェロニモが新技「ニュー・マシンガンズ・カウベル・スタンピード」で大勝利。
見事ジ・エクスキューショナーを打ち破りました。
そのエクス。元「進化の神」はやっぱりかつてジェロニモを人間から超人にしてくれた神様でした。
物語的にはそれはただの偶然の巡り合わせです。が、そこもこのバトルを退屈させないいい演出になったと思います。
そしてエクスはそこからは説明役へと役割を変化(進化?)。
彼が語る108体の神の話は、私も全然気づきませんでした。ネプの指摘もごもっとも。(言い方も面白いです)
欠片の数は108個。神の数はザ・マン入れても106体。なるほどな!!!
その空席が今回のこの戦乱の根源だったわけですね。超納得です。物語の整合性も高いし、なにより面白い。すごいなゆでたまご!
この戦いは超神との戦いでもあると同時に、リアル・ディーズ同士でもその席を争う争奪戦となりました。
で、今空いてるのは3席なんでしょうかね。
だったらザ・マンとゴールドマンとシルバーマンでいいじゃん。駄目?
あ、いや、そのへんを考えるのは気が早すぎます。まずは試練です。
事の真相を知りまずやる気満々になったのは、アシュラとサンシャのはぐれ悪魔超人コンビ。
そしてアシュラはバッファローマンにも「俺達と組むか」と誘いますが断られます。そのときのアシュラの表情が素晴らしかったです。
彼は血盟軍の仲間よりも、サンシャとの“友情”や悪魔超人の矜持をとった、って気もします。
そのへんとか、「そもそも悪魔超人は悪党なのか問題」とかについては、いつか別にブログ書きたいです。
何にせよ、はぐれ悪魔コンビの今後に期待です。
ぜひタッグマッチで!
そしてロビンマスクもあえてキン肉マンとは別行動すると宣言し、ネプチューンマンと組むことに。
お、こっちもタッグか!?
かつて地元ロンドンでは喧嘩男として、王位争奪戦ではザ・サムライとして、何かとロビンとは縁の深い彼ですが。
でも今週号ではタッグにならないことが判明しましたね。
でもこっちもいろいろ楽しみなバトルですね。「武道」が。
あとオメガマン・アリステラも参戦して欲しいです。
そのへんは置いといて、話を5人の悲惨超人に戻します。
登場人物数が多い漫画になれば、キャラクターごとに、人気、強さ、扱いに差が出てしまうことはどうしても避けられないことです。
バトル漫画に限らず、美少女たくさんのラブコメとかでも、人気が低いヒロインは露骨に出番が減り「登場人物集合の扉絵」からいなくなったりしますもんね。弱肉強食。
弱肉強食であること自体は全く悪いことではないです。適度な競争はむしろあるべきです。
でもキン肉マンでの彼ら5人の場合は、悲惨の度合いが極まってました。
その要因は複合的です。古い作品でありネタ扱いがあまりに定番化されたことや、「いじられキャラはとことんいじり(いじめ)尽くす」という時代の風潮や、作者もファンも(ファンでないレベルの読者も)(私も)が全員一丸で「こいつらはいくらでもひどい扱いしてもいい」って空気にしてきた歴史があります。二世とかでもカナディアンマンの扱いはひどいものでした。
こういうレッテルは一度ついたら払拭するのはとても困難です。他で例えるなら「戦隊の黄色はカレー好きのデブ」とか「(聖闘士星矢ネタで)かに座は不遇」とか。
しかしこのたびのオメガ編以降での彼ら5人の登場そして戦いは、その払拭に真正面から挑んだ意義があり、そして結構成功したんじゃないかと思います。捲土重来。
私自身も「カナディアンマン散々バカにしてごめんな」って気持ちがちょっとあります。
「特定のキャラならいくらでもバカにしていい」って風潮に一石を投じた意義があったんじゃないかって気がしてます。
こういうのはキン肉マンが今の時代の価値観にアップデートされて、いいことだと思います。
まーしょせんは架空の人物ですから、彼らをこれからもバカにしたい人がするの勝手だとも思いますけどね。
実在の人物なら絶対NGですけど架空の人物ならOKです。
とま、そんな感じのことを今回のジェロニモの奮闘を見て、ちょっと思ったのでした。
ただ話がずれますが、悲惨度と言えば、彼ら5人とは別に、他の超人が新たに悲惨超人に仲間入りしてしまいそうな黄信号もちょっと感じたりもします。
ミスターカーメンとかプラネットマンとか。あまりに活躍出来なさ過ぎなキャラも生まれています。
スプリングマンとかティーパックマンとかキン肉マンゼブラとかサタンクロスとかなら、負けはしたものの彼らなりの思いが伝わるとか爪痕を残すとかはあったのですが、それすら無いちょっと危険な状態。
ネタ扱いすらもさせず忘れられて完全な空気になることもまた悲惨です。
でもまーそれもしょうがないのかもしれませんね。これも弱肉強食でしょうかね。
あと余談。
バベルの塔のデザインがちょっとフリューゲルみがあってナイスです。