週刊少年サンデーで高橋留美子が連載を始めた「MAO」、様子見って感じで現在13話まで読んでますが、面白そうです。
これから何年も連載続くとして13話程度ではまだ冒頭も冒頭なのでしょうが、この間だけでもなんか結構印象が上下してて、ようやく私の中で「期待できそう」とイメージが固まってきました。
そもそも。高橋留美子って実績も実力もある漫画家だってことに異論はないのですが、大好きな漫画家かというとそういうわけでもなくて、ノリとかギャグとかが肌に合わないと感じることも少なくないです。
しっかり読んだのは「らんま1/2」と「犬夜叉」と短編群くらいなのですが。
ギャグでは、みみっちいというかせせこましいというか、なんか貧乏人が小銭稼ごうとドタバタ苦労するけど最後は徒労に終わるみたいなパターンが多いって印象で、私はそういうの面白いとは全く感じません。
真面目な漫画では戦国時代とかタイムスリップとか妖怪とかが多いなあ~って印象。
MAOもどうやら「それ系」で、今回は大正時代なようです。
で、このMAOはワンパターンとかテンプレな漫画なのでしょうか?
「そんなことはない」とは言いません。テンプレ臭はやっぱり感じなくはないです。
でもそれを踏まえても「面白いかも」「続きが気になる」「読み応えある」とじわじわ感じてきた、ってのが13話まで読んだ私の感想です。
新連載第1話を読んだときの感想は「うさんくさい」「怪しい(妖しい?)」と言ったものでしたが、それは意図的にそう演出されてて、うさんくさいところこそがこの漫画の面白さなんだと思うようになりました。
一番うさんくさいのは菜花が飲まされる魚住さんのスムージーですけどね。
あれマジでなんなん?
ちょくちょく出てくるし。
ネタに見せかけた伏線なのか、伏線に見せかけたネタなのかすら分かりません。
いっぺん断れよ、菜花よ。
さて。物語そのものの全体像は早いうちから提示されました。もちろん真相の全てである筈はないのでしょうが。
令和元年(2019年)、中3女子の菜花は、8年前、2011年に謎の大物妖怪猫鬼に呪われて実は人間ではなくなってて、大正12年(1923年)関東大震災の直前の世界にタイムスリップ。した理由は不明。
そこで「猫鬼に呪われ大先輩」の陰陽師摩緒と出会う。
摩緒はそのさらに900年前平安時代で陰陽師やってたときに猫鬼に呪われた。
猫鬼を見つけて退治して呪いを解くのが二人の大目標と。
呪いを解くとどうなるのかもまだまだ全くの謎。
それに菜花が来ている大正時代が本当の実際の過去の世界なのかどうかもなんか怪しい!気がします!
摩緒はお付きの小さい少年、式神の乙弥を連れています。
高橋留美子漫画はこのポジションのキャラよくいますね。
テンや七宝や六文はなんか好きになれなかったのですが、こいつはなぜか悪印象が湧きません。
ついでに言うと摩緒のほうも、「見てて疲れる感」がなくて感触がいい主人公です。
この二人は具体的にどこが好印象なのかは私自身もよく分からなくて、「なんとなく」です。
菜花のほうはまだ未知数。
(白羽くんへの扱いはちょっと不愉快だけど)
これからレギュラーキャラ増えるでしょうか。
疲れるキャラが来ないことを願ってます。
菜花と摩緒に横恋慕する男と女とか、来るでしょうかね……。
この作品で特徴的だなと思ったのが、タイムスリップの時間の流れが滅茶苦茶になってるところです。
菜花は現代2019年5月ごろと1923年5月ごろを行き来するわけですが、自分で細かい日時を指定できない上に、片方の世界にいる間の向こうの世界の時間の流れが一瞬だったり何日も経ってたりしてて滅茶苦茶です。
タイムスリップものでは珍しいタイプ。
何か意味があるんでしょうね。そのへんの謎も楽しみです。
令和元年の世界に摩緒は生きて存在してないんでしょうか。
ってことは1923年関東大震災直前から2011年の事故までのどこかで、目的を果たして成仏でもするか、道半ばで朽ち果てるか。
あと、菜花が過去の時代でなにか行動を起こして歴史が変わって現代の様子も変わる、っていうのは、特に気にしなくてもよさそう?
高橋留美子タイムスリップ漫画では歴史改変やタイムパラドックスとかまでつっこむことはあんまりありませんでしたっけ。
この漫画は「猫鬼を追う」という大目標の合間に小さな事件を随時解決していく形式っぽいです今のとこ。
13話だけでもう3件の事件と遭遇しました。
私は最初はそれらの小事件がつまんなくてダルいなあーと思ったのですが、それは思い直しました。
犬夜叉のときに、「奈落を倒す」ってゴールが決まってて見えてもいるのに、チマチマイベントが発生してダルい印象があったのでそれを連想したのでしたが、MAOのは決してそんな感じではなくて小事件は結構テンポよく進んで「猫鬼を追ってる」感じもしっかりあります。
うん、テンポよくて面白いです。
(これからダルくなっていく不安がないというわけでもありません)
時代が関東大震災の直前というのも「これから大災害が起きることが確定している」緊張感あります。
「震災のシーンをどこまで少年漫画で描写できるのか」っていうデリケートな緊張感も。
続きや結末が気になります。
最初は様子見だったのが楽しく読んでいけそうで期待が湧いてきてます。
ラストの真相は「実は菜花自身が猫鬼だった!」でしょうか?
まさか。そんな誰でも思いつくオチなわけはないかあー。