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「獅子の門 8鬼神編 」感想 久我重明をバキ本編に出しちゃおうよ!

光文社カッパノベルス 夢枕獏著「獅子の門8 鬼神編」って本読みました。

 

良かったです。

 

え?何?あなた獅子の門読んだこと無いの?マジでぇ~?

 

って言いたくなる本でした。素晴らしかったです。

 

全8巻読破しました。

 

ひきこまれて一気に読めてしまいました。

 

感想は「面白かった」「読んで良かった」に尽きます。

 

 

最終巻は、まーね、駆け足というか端折ってるというか、特定の登場人物があっさりケガでドクターストップになったり、バトルシーン省略されたり、「あともう一冊分あれば良かったのに」みたいな、物足りない部分があることは確かです。

 

でもそれを「納得いかない」とは決して思わなかったし、その分念入りに描かれたバトルシーンなどなどはじゅうぶん読み応えがあったので私はとても満足してます。

 

これが私が久我重明が好きだからそう思えるのだと思います。

 

 

 

鹿久間源がなんか破天荒なキャラで、重明に対してもふざけた絡みをしてくるのですが、それ自体も重明のかっこよさや面白さを引き立てるいい効果があったと私は思いました。

 

 

鹿久間は自分が重明には敵わないことを理解しつつも、もし戦っても負けたとしても彼にそれなりの深いダメージ与えるくらいはできる自信があり、重明もそれを、多少なりとも鹿久間を認めてて、だから鹿久間のセコンドとかもやってあげたのかな、と。

 

そんな鹿久間は終盤になってから登場したキャラですが、彼と、1巻から登場した5人、芥菊千代加倉文平志村礼二室戸武志竹智完、と、あと芥の師匠の鳴海俊男、以上7人の若者が久我重明そして羽柴彦六に影響されてそれぞれの武の道を目指していく物語、という感じでした。

 

7人は、重明と彦六が持つ「人を殺すための古武術」そして二人の人柄を見て、それぞれが「彦六さんのようになりたい」「久我さんのようになりたい」「久我重明みたいになってはいけない」と思い、それぞれが目指す武の道の違いがなんか分かるような気がして、しみじみと染み渡ってきて読んでて熱かったです。

 

とは言え、やっぱりこの作品の実質上の主役は久我重明ですよ。

 

 

 

この最終巻では重明は、まず過去の回想で、水上喜左衛門っていう強敵と戦うシーンが描かれました。

 

そこで重明は右手と両足を負傷するほどダメージを追いましたが、水上を見事に仕留めて、やっぱり最強っぷりを見せつけてくれて痛快です。

 

そして、ついにラストバトルでは、これまで7巻分引っ張りに引っ張った彦六との対決が実現します。

 

この二人は、「恐竜」だと作中で比喩されていて、私はそれに非常に納得しました。

 

人を殺してナンボの古流の武術の達人なんて、もうこの世に必要無くて、その頂点にいる二人は尚更そうだという。

 

二人とも結局くすぶってて、自分の身に付けた技術を持て余してて、重明はヤクザの用心棒という割り切った悪人として生きてて、彦六は全国を放浪して徹底した無頼として生きてきたって感じで。

 

それで両者は出会ってしまった、と。

 

おそらくは初めての「自分と互角で、全身全霊で、身に付けた技術を思いっきり使えて戦える相手」、と。

 

 

なので両者は、お互いに何の恨みもなくむしろ尊敬しあってる感もあるのに、相手の肉体を徹底的に破壊するまで戦う、と。

 

なるほどなあ~。

 

この作品では登場人物が「強すぎる悲しみ」とか「強くなって何の意味がある?」とかをみんな悩んでて、それに答えは出てないけど、でも武の道で生きていく心はよく描かれてて感心しました。

 

 

 

で、ラストバトルは、重明の勝利。

 

重明は満身創痍になりつつも自力で歩いて、彼を追う鹿久間と志村とともに去っていきました。

 

彼らがどうなったのかは描かれませんでした。

 

そして彦六のほうは、命をとりとめて、鳴海と芥のいる道場で保護を受けて車椅子生活をしてて、もし歩けるようになったら鳴海の道場で教えてほしいと熱望されますが、彼はそれに返事をせず、やっぱりこっちも彦六がどうしたか描かれずに終わり。

 

そのシーンで完結しました。風が吹いてゆく。風が吹いてゆく。風が吹いてゆく。風が吹いてゆく。

 

ジーンとしました。

 

 

私はこれまで世の中の格闘技漫画や格闘ゲームを少しは楽しんできたのですが、それらはこの獅子の門の影響を受けてるってことを、今回ようやく逆説的に知りました。

 

ずっと昔からこんな源流のような作品が世の中にあったのか~。

 

いや、あったことは知ってはいましたが、私は今回初めて実際に読んでそれを感じることができました。

 

読んで良かったです。

 

 

 

さて、久我重明ですが、現在週刊少年チャンピオンで連載中の「ゆうえんち」に登場してます!

 

(つまり獅子の門のその後がここで薄っすら描かれてるようなもの)

 

これで彼は、原作の「獅子の門」「新餓狼伝」、漫画版「餓狼伝」、バキ外伝「ゆうえんち」原作小説&「ゆうえんち」漫画版、に登場したことになります。

 

本当に、板垣惠介の手によって、そして夢枕獏もノリノリで、重明が、両作家の作品にどんどん登場してしまうという、未曾有の状態になってます。

 

 

 

ならば。だったら。やっぱりバキ本編にも重明に登場してほしいです。

 

(ちなみにバキ本編では餓狼伝に出た技、虎王が登場したことはあります)

 

ここまで両作家のバースに溶け込んだキャラクターなら、やっぱり出てほしい!

 

ってことを、思いました!!!

 

久我重明最高。

 

はあ~、本当に読んで良かった。獅子の門。全8巻なので読みやすいと思います。お薦めです。最初は残虐描写に忌避感がありますけど。

 

 

 

 

 

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