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「獅子の門 6雲竜編 7人狼編」感想 久我重明って携帯電話持ってるんだ!

光文社文庫 夢枕獏著「獅子の門6 雲竜編」「獅子の門7 人狼編」って本読みました。

 

読んでて不覚にも涙が浮かびました。芥菊千代の思いが描かれてるところとかマジで泣けてきました。

 

そして逆に、ここへきて新キャラ鹿久間源が登場してやたら大活躍するのは笑えて楽しめました。

 

久我重明は要所要所で相変わらずかっこいいです。

 

6巻の主役は芥菊千代と鳴海俊男。7巻の主役は鹿久間源ですね、これ。

 

で、芥がどんな思いで生きてきて戦うのかが念入りに語られてるんですけど、私は読んでて本当に涙がじわーっときました。

 

 

芥は元々ひょろひょろの中学生で弱くていじめられっ子で、親からも見捨てられ、みじめで悔しい思いをして生きてて、そんな時に鳴海や羽柴彦六と出会い「強くなりたい」と泣くところから彼の武闘家の人生が始まります。

 

さらに彼は頭も悪くて勉強も人とのコミュニケーションもできなかったというのですが、なんかもう、そんな彼が強くなりたい一心で空手の稽古して試合に臨む心境が、読んでてたまりません。

 

 

これ、作者夢枕獏がすごいんだと思います。

 

夢枕は当然ながら金持ちで頭がいい人なんですけど、そんな彼が「頭が悪くて不遇な人間の苦しみや悲しみ」をすごく真に迫った感じで描写するのが本当に見事なんだと思います。

 

もちろん小説なんだから当然空想のフィクションなわけですが、私は妙に「夢枕は知能とか価値観とか自分と全然違ういろんな人種の気持ちを想像して、そしてそれを文章にして伝える」ってことがめちゃくちゃ上手なんだと思います。

 

読んでて目をうるませながら「芥頑張れ」って思いました。

 

 

 

芥が空手の大会で対戦した相手は志村礼二

 

志村も志村でこれまでの人生でいろいろあって、こっちは泣くほどでは無いけども多少感情移入できる部分もあり、そんな二人が本当に死力を振り絞って、両者ズタボロになって(志村は睾丸ひとつ潰れて)でも戦い、そして両者とも戦いの中で幸せを感じて、終わったあと救急車で運ばれた病院でお互いに健闘を無言で讃え合ったりして、彼らの「こんな俺なんかに全力でぶつかってくる相手がいることが嬉しい」って気持ちはなんとなく分かる気もします。

 

 

 

そして6巻の後半から新キャラ鹿久間が登場します。全8巻なのにこんな終わりのほうでまさかの新キャラ。

 

こいつがまた、この作品のどの登場人物とも全然違うノリの男で、しかもあちこち(マジで日本全国を)飛び回ってやりたい放題するので、あっけにとられつつも、そのこと自体がなんか面白かったです。

 

それと、これまでにも鹿久間以外にも新キャラがどんどん出てきてたのですが、そいつらを鹿久間があっさり倒しちゃったりするので「ええ~」ってなるのも面白いです。

 

なんていうかこの作品では武術の道に生きる男達が大勢登場するわけですが、生まれ持って強靭な肉体を持っている者、持っていない者、そしてただのスポーツや試合ではなく本当に命を賭けた真剣勝負ができる者、できない者(しない者)、とが、いて、鹿久間は、生まれつき強くて、真剣勝負ができて、なおかつ武術の達人の老人天城六郎から技を学んで、マジで最強クラスです。

 

 

しかししかし。そんな鹿久間よりもさらに上がいます。

 

それが久我重明!そして羽柴彦六!

 

鹿久間とてこの二人には適わないという。

 

いいねえ~。このパワーバランス。作者の匙加減に感嘆しきりです。

 

 

でも重明と彦六の対決はこの6巻7巻でも実現しませんでした。

 

引っ張るねえ~。

 

たぶんそれが、この二人の最初で最後の激突が、この作品のラストバトルになるのだと思います。

 

 

久我重明は、彦六以外の相手だと、ちょっと戦っても全部楽勝で倒してしまいます。

 

そこは予定調和だと言えばそうなんですが、でも「だからこそ重明は強い!」って強調になって良い面もあると思いました。

 

 

あと関係無いけど、重明が携帯電話を使ってるシーンがあって、そんなの当たり前っちゃあ当たり前なんですけど、「あ。久我重明も携帯電話持ってるんだ!」となぜか意外な印象もしました。

 

 

(ちなみに彦六は絶対持ってないと思う!)

 

 

それに、超意外な展開として、重明が鹿久間に頼まれて、総合格闘技の大会に彼のセコンドになってあげてました。

 

え!?そんなの引き受けてくれるの!?

 

重明は裏世界ではもちろん有名人ですが、表世界では一度、マスコミの前でブラジル人格闘家をコテンパンにしたことがあるので、格闘マニアには顔が知れてるようで、「知る人ぞ知る存在」であるわけで、そんな彼が大きな大会にセコンドとして会場に姿を見せるわけですから、知ってる者が「なぜあの久我がこんな場所に!?」ってザワザワするシーンも面白かったです。

 

私もその会場に実際に観戦に行ってザワザワしたいと強く思いました!

 

 

で、鹿久間がその一回戦で楽勝して、試合後の控室で重明と彦六が再会するところで7巻は終わり。

 

ついに最終巻で二人が対決するわけですね

 

期待大です。

 

 

私は普段は読書のペースは遅いのですが、この「獅子の門」はひきこまれてどんどん読めてしまいます。

 

 

ただその理由として、文字が少ないページが多いことも、その一つだったりするかも。

 

 

さあ最後の8巻読むぞー。

 

 

あ、あと、的場香代竹智完と別れて志村のほうに行ったんですけど、これはなんとなく納得できました。

 

二人とも破滅型の男で正直どっちもどっちですが、志村は顔がいいし女を殴りはしないだろうから。

 

 

 

 

 

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