立東舎 伊藤工真著「賭けずに楽しむ 日本の賭博ゲーム」って本読みました。
将棋とかトランプの様々なゲームとか麻雀とかでよくある入門書の一種です。
しかしこの本はその題材が「賭博」です。
はあ?賭博?賭博のやり方を教える本なの?
まさのその通りで、日本の様々な賭博のルールを説明し「みんなでやってみよう!」という本です。
なんつうか身も蓋も無い感じが妙に笑えます。いやまー古い文化を保存しようという意義も大きいとは思いますが。
もちろんタイトルに「賭けずに楽しむ」とある通り、現金を賭けることは前提とせず本文中では終始チップとしてあるのですが、でもやっぱり「現金を使うとしたら」の知識が網羅してあって、この本さえあれば実際にお金を賭けての日本の伝統的な賭博ができるようになってしまうのが本当に面白いです。
「お前は賭博をさせたいのか」「いやいやあくまで現金を伴わないゲームですよお」みたいな。
時代劇や昭和仁侠映画に出てきそうな博打が、具体的にどんなルールなのか、自分達で遊ぶとしたらどんな風にやればいいのか、を、よくある入門書の形式で解説してくれます。
さらに言うとイラストが、本当にそういう入門書にありそうな、かわいくて癖が無い絵柄なのがまたいい味を出しています。
で。実際に本を読んでみますと、マジで勉強になります。
まずは賭博とはどういう仕組みなのかを基礎から教えてくれます。
親と子と胴金というシステムで成立してるのね。とか。大きな資本の胴元ってのはそんなに必要じゃないのね。とか。
そしてこの本では30種類の賭博ゲームの遊び方を解説してくれるのですが、栄えある一つ目は、チンリロリン。
どうしても「小学生がレクリエーションでチンチロリンをやってる絵」が頭に浮かび、何とも言えません。
そこから「丁半」「こいこい」「どぼん」「手本引き」と言った有名で私でも大体のルールが分かるやつとか、「ちょぼいち」「六百間」「ブー麻雀」などなどの聞いたことも無いような賭博も網羅してあります。
中でも興味深かったのは「地方札」の解説を結構詳しくしてくれるところでした。
そういうものの存在は知ってたしカードに見覚えもちょっとあるけど、ちゃんと見たのは初めてかも。
カードの絵を(小さいですが)じっくり見れるのがいいです。
昭和にほぼ滅んだような古い遊戯にノスタルジーのようなものを感じることもあります。民俗学みたいな。
「おいちょかぶ」は本来はそういう地方札で遊ぶ遊戯なんでしょうかね。
トランプでの「ブラックジャックの親戚」のような認識でした。
なんか、「この地方札欲しい」「本格的に遊んでみたい」ってちょっと思いました。
これは「賭博をしたい」って感情なのかどうかは、私自身分かりませんけど。
他には、使う道具が「マッチ棒」とか「タバコの空き箱」とか、まさに「昭和のおっさん」って感じの賭博も紹介してくれて、なんつうか、言っちゃ悪いけど、「不衛生で半分酔ってて前歯が無さそうな昭和のおっさん同士が路地裏で伝介賭博やってる絵」がどうしても頭に浮かびます。
「子ども同士でやる遊戯」&「ガチでいかがわしいおっさん賭博」の両方の匂いを感じられる独特な味わいのある本でした。
面白かったです!
私は最近はゲームはスイッチの「真・女神転生if」遊んで一区切りついた感じになってて、また読書でもしようかなって気分だったのですが、最初は「絵が多くて気軽に読める本」でも読もうと思って探したらこの本を発見して、「賭博ゲーム」というインパクトに引かれて読みましたが。大満足でした。
うろ覚えだった賭博ゲームのルールを再確認できたのも収穫でした。