などなどブログログ

漫画の感想や日記などなどを。

「完全無欠の賭け」感想 素人はギャンブルに絶対勝てない

草思社 アダム・チャルスキー著 柴田裕之訳「完全無欠の賭け 科学がギャンブルを征服する」って本読みました。

 

感想は「今の時代、素人はどんなギャンブルに手を出したって勝てる見込みはない」ってことに尽きます。

 

この世の全てのギャンブルは、知能が高くてコンピューターを使いこなせて組織力があって資金が豊富なプロ集団が有利なように出来ていて、また主催者の側も同等にハイレベルで、彼らは日進月歩で攻防を繰り返していて、そして、その両者が稼ぐお金はどこから来てるかというと、我々アホで素人で非科学的なカモからなわけです。

 

f:id:mogmogfirst:20210106141344j:plain

 

年末年始はこの本読んで過ごしました。

 

久しぶりの「字がいっぱいある本」。

 

この本を初めて見かけた瞬間は、「もしかしてギャンブル必勝法が載ってるの?」と思って、手に取って冒頭をチラ読みしたところ、そういうわけではないことはすぐに理解したのですが、私はそこで「なーんだ」とは思わず、「じゃあどういう本なわけ?」と中身に興味を持ちました。

 

あと訳者は「サピエンス全史」を翻訳した人だったのでそこにもちょっとひかれました。

 

 

 

で、何の本かというと、つまりは科学者達が世の中の様々なギャンブルの攻略に挑んだ歴史のレポートでした。

 

世の中には実際にギャンブルを科学的に攻略して大金を稼いだ人が存在するわけです。

 

数学、統計学、物理学、ゲーム理論、カオス理論、プログラミングなどなどで。

 

 というかむしろ逆にギャンブルを攻略するために様々な学問が生まれたり発達したりしてきたわけです。

 

この本では、カジノのルーレット宝くじ競馬ブラックジャックスポーツ賭博ポーカー金融市場なんかに挑んだ科学者の記録とかが書かれていました。

 

「ルーレットで玉が落ちる場所は本当にランダムなのか?」「ブラックジャックは場に出たカードを全部記憶すれば有利になるのではないか?」「人は滅多に起こらないことを実際の発生確率より多く見積もって予想するらしいぞ?」とかを、ケンブリッジ大学やプリンストン大学の優秀な学生が本気で研究して攻略したエピソードとかが。

 

あとオンラインカジノとボットのテクノロジーの凄まじい発達の歴史も。

 

 

賭けそのもののルールとか規模とかはここ10年くらいで、それ以前とは完全に別物になったみたいです。

 

「トトカルチョ(サッカーくじ)では、とあるチームが勝つ方にも負ける方にも両方賭けて損失を防ぐ方法がある」なんて、信じられないようなことが現実の世の中では発生してるそうです。

 

f:id:mogmogfirst:20210106141408j:plain

 

これはベッティングエクスチェンジという新世代の賭けシステムが可能にさせてて、要するに、試合開始前にそのチームが勝つ方に賭けて、もしそのチームが負けそうになったら、今度は試合の途中でそのチームが負けるほうに賭ける別の新規の賭けを組む……なんてことを成立させるシステムです。2つの賭けを同時にやってその差で損失を回避すると。

 

あるいは、一つの試合でも賭けを主催する会社が別々に2つあって、その2社が同じ試合なのに極端に違うオッズで賭けを開催するなんてことが世の中にはありうるわけで、その差が「期待利益」という数値を大きく変えて、つまり「得することはあっても損をすることがありえなくなる瞬間」になって、そういう瞬間が世界中の賭け会社で発生するのをボットに24時間自動で見張らせる、なんてのもあるそうです。

 

そんなのを、世の中の知能が高くてコンピューターを使いこなせて組織力があって資金が豊富なプロ集団がありとあらゆるギャンブルで本気でやっとるわけです。

 

この本はそういう人らや事例を紹介してくれます。

 

 

 

私がこの本で一番驚いたエピソード。

 

2011年にアメリカのハイパーニア・アトランティック社が3億ドルをかけて新しい大西洋横断の海底ケーブルを設置しました。

 

従来のケーブルでは何かの通信が大西洋を横断するのに0.065秒かかってたのが、この工事で0.059秒に短縮されたそうです。

 

つまり、ボットがギャンブルや金融の「勝てる瞬間」を察知して一番乗りするためには、その0.006秒の差が勝敗を分けるってことです。そのためには3億ドルなんか安い費用。

 

 

 

 

こんなエピソードを読んでると、思うのはつくづく「素人には太刀打ちできない」だけです。

 

なんか、例えば競馬とかで、単純計算で、素人が、当たると配当が5倍になる馬に賭けたとしても、そういうのは往々にして実際に当たる確率は20%よりはるかに低くて、プロ集団はそれが逆に30%や40%になる瞬間だけを計算で見極めて賭けてるわけです。

 

(「外れ馬券は経費か」裁判の被告の人がそういうプロ)

 

もしたまたまその素人馬券が当たったとしても、それはプロ集団が巻き上げてる賞金の隙間のおこぼれみたいなもんです。

 

ギャンブルなんてするもんじゃないです。

 

 

 

素人とプロで勝てる確率に差が無いギャンブルと言ったら、日本の宝くじくらいでしょうかね。

 

開封くじという「12組123456」みたいな数字のやつで、自分で数字を選ばないタイプのやつ。

 

でもあれはそもそも当選する確率がおそろしく低いですしね。

 

やっぱギャンブルなんてするもんじゃないです。

 

 

天使の欲望

天使の欲望

  • メディア: Prime Video
 

 

 

 

スポンサーリンク