こないだのジャンプでアンデッドアンラック連載1周年記念のキャラクター人気投票の結果発表がありました。
私はリップが1位かなーとか予想したんですが、彼は7位。
大外れ!
(なんかカラー絵が以前よりもずっと綺麗になってる)
私って見る目無いなあー。
でも私は「自分が投票するならアンディ」と思ってて、実際1回だけ彼に投票しました。
その彼が1位だったので、やっぱり私は見る目あります!
で、風子が2位で、主人公がワンツーで、すごい「順当だな」「明快だな」って思う結果です。この漫画らしいって気もします。
作者も読者も「こうでなくっちゃ!」「そうこなくっちゃ!」が好きなんです。きっと。私も。
私はアンディを他ではなかなか見れないタイプの「好感が持てる主人公」だと思ってて、でも外見は全然いいとは思わなくて、「私は好きなだけど人気は無さそうだなー」とか思ってましたが、ありました。
なんか「アンディいいよね」って気持ちが多く共有されたような気がして嬉しくもあります。
私が思うアンディの一番いいところは、風子を大切にしてて、かつ、「俺は風子が大切だ」と日頃からしっかり言葉にするような有言実行なところ。
この姿勢って、逆な主人公が多いんです。「いざという決め時以外、普段は誰かへの特別な愛を無意味に隠そうとする系主人公」が特にジャンプでは多い印象で、これに全然好感持たないんですよね。でもそういう主人公割と人気ある……。
ひどいときには「人を愛して求める感情が欠落してるの?」ってレベルの主人公もいます。
いやこの話は今はいいや。
話を戻して。
今回の人気投票は完全WEB方式で、しかも別に一人一票と決まってもいないから、一票の価値はかなり軽くなります。
また、例えば「単行本帯の応募券をハガキに」みたいな方式なら、投票層が「その作品に実際にお金を払う熱心なファン」だけになったりするので、軽く読んでる人を含めたときとは結果が変わりそうではあります。
熱心なファンだけできる投票か、誰でもできる投票か、これはどっちが真実だとか言うものは無いです。
それと、「人気投票の結果がその作品の今後に影響を与えるのか問題」ってのも存在します。
昔とある漫画で人気投票があって、主人公が憧れてる女性キャラ(つまりメインヒロイン)よりも脇役の女性キャラが大差で1位を取ったことがあり、その作品の界隈では大盛り上がりになった、ってことがありました。
しかしその漫画はその後、脇役女性が主人公への恋を諦めるシーンがわざわざ描かれ、メインヒロインとくっつくような感じで完結して、騒然となってました。ちなみに恋愛が主軸の漫画ではありません。
私は当時その騒動を目の当たりにして、「作者が自分の描きたいものを描くか、多くの読者が求めているものを描くか、どっちを取るか難しい判断なんだろうなあ~」なんて呑気に思ったものでした。
今回のアンデラの結果、安野雲が3位なのを見てそのことをふと思い出しました。
彼は古代遺物を失ったけど、彼自身は死んだわけでもなく、再登場させようと思ったらできなくもない状態です。
というか今回人気キャラだと判明したのですから、再登場したほうが盛り上がるわけです。私も安野嫌いじゃないから、その展開の内容次第によっては盛り上がれそうな予感します。
では作者戸塚慶文は、はたしてどっちのタイプでしょうね?
読者の人気や要望に合わせるタイプか?そういうのに左右されないタイプか?
安野は再登場するのか?
するとしたら、人気結果を受けてそうするのか?それに関係なく元々再登場させる予定でのことか?
……みたいなことを勘ぐるのも、私のようなひねくれ者にとっては、漫画を読む楽しみのひとつです。
これも、別にどっちのタイプがいいと言うものでは無いです。
あ、そういえば、キン肉マンで、ロビンマスクが人気あるんだけど、彼は死んでしまい再登場の余地がもう無くなってたんですが(作品中でキャラが復活できる「超人墓場」ってシステムが崩壊した)、ちょっと前に彼が復活する展開になって、しかもその経緯が結構自然で、見事だと思ったことがありました。
安野もそうです。
再登場しても大いに結構だし、その裏事情も結局どうでもいいです。
重要なのはその経緯に無理が無くて熱いものであるか、に尽きます。
ちょっと期待してます。
さて。アンデラの本編については、今はサマー編の終盤っぽいです。
そのメインはシェン。
少しずつレギュラーメンバーの背景が明かされていくという、黄金パターンです。
今後予定されてるスプリング編でも、不感のフィルとか不壊の一心とか誰かの物語になりそうですね。今の時点では思い入れのない脇役キャラですが、熱い物語を見たら心動くこともありそうで楽しみです。
一方でこの「熱い物語」ってのは「寒い物語」になる危険があります。
作者が「どうです!感動の涙でしょ!」と描いてても、読者がしらけて冷めてしまうような事態は、大いにありえる危険です。
実は私はシェンについては、彼の回想の舞台が、21世紀の中国の筈なのに、社会文明度が低くてみんなチャイナ服で異様にステレオタイプの漫画中国だったことに、「いやいや今時こんな中国観は無いんじゃね?」と思いました。
しらけるってほどでは無いですけど。
あ、いや、中国は都市部はともかく内陸の辺境は今でもとても貧しいって聞きますから、そうおかしい世界観でもないんでしょうかね?
とま、このへんは一瞬ちょっとやばかったですが。
シェンの妹メイと、そのメイによく似た現在の彼の部下のムイ、の、エピソードはなるほどと感心しました。
ファンが指摘した通り、シェンは本当に、死んだ妹とよく似た少女を拾ってただ疑似兄妹ごっこをしていただけだと思います。
しかし実はそこに愛はしっかり存在してて、シェンは一度死んだことでそれに気づいたと。
なるほどなるほどー。
よく考えられてて、そして熱くくさい物語を、出し惜しみせずさくさくと進めていくスタイルは本当にこの漫画の個性です。
ムイのキャラデザが糸目キャラだったのも、不真実の能力を受け継いで開眼したときの演出のためだったわけですね。ここも感心しました。
というわけで私はこんな感じで、かなりこの漫画を肯定的に受け止めて楽しんで読んでます。
引き続き今後も楽しみです。