サンドラ・ヘルペル著 関谷冬華訳 「ビジュアル パンデミック・マップ 伝染病の期限・拡大・根絶の歴史」 日経ナショナルジオグラフィック社 って本読みました。
タイトルの通り、伝染病の歴史を解説してくれる本です。
最初は軽い好奇心で読み始めて、読んでるうちに怖くて暗い気分になって、でもなぜか最後まで読み切ってしまったという、めっちゃ内容が充実した伝染病本です。
読んでみようと思ったきっかけは、もちろんコロナ。
以前「サピエンス全史」って本を読んだときに、人類と伝染病は切っても切り離せないとあって「なるほど」と思い、その後コロナがこう実際に全世界でパンデミックになったわけですから、マジでそうなんだと思いました。
伝染病についてもうちょっとくわしく知っておくのも悪くないと。
読む前には面白半分な気分もあったのですが、それは読んでるうちに打ち砕かれました。とても笑えない本です。
第1版の発行日は今年の3月。ナショナルジオグラフィック社がまさにコロナに触発されて出た本です。
この本は20種類の伝染病を紹介してくれます。
どこでどう発生してどう被害が広がってどう終息したのか。
ジフテリア
インフルエンザ
ハンセン病
麻疹
猩紅熱
SARS
天然痘
結核
コレラ
赤痢
腸チフス
マラリア
ペスト
発疹チフス
黄熱
ジカ熱
ポリオ
エボラ出血熱
HIVとエイズ
梅毒
最恐のオールスターズです。
何が怖いって、これらで根絶したのは天然痘のみであとの19病は今でも、規模は小さいものの人類をおびやかし続けてるところです。
それらはコロナのようにいつまた世界中に広がっても全くおかしくないという。
本の題名が「マップ」なので、地図のページが全体の半分以上で、そっちがメインではあるのですが、私はそれぞれの病気の解説文のほうに読みいってしまいました。
写真や絵も豊富ですが、患者や患部そのものとかの写真は無いです。
ただ患者のスケッチの絵はあって、それだけでも見ててゾッとするものがあります。
なんつうか、本当に、読んでると暗い気分になります。
死者が出まくってた病気の本なんだから当然か。
それに私自身の病気とかに関する個人的な嫌な記憶が蘇ったりもして、本当に、楽しんで勉強できるみたいな要素はゼロで、最初はそんな気分で手を出したので大やけどした気分ではあります。
でも、なんか、最後まで読んでしまいました。
怖いもの見たさの気分もあったのかもしれません。
腸チフスのページでは、私も知ってる「腸チフスのメアリー」が紹介されて「お!」って思いました。
荒木飛呂彦の「変人偏屈列伝」で知りました。
彼女のあまりに変な人生については、ここでは語り切れないのでいつか別にブログ書いてみようかな。
本当に変な人なんですよね。メアリー・マローンって。
あと感心したのは、伝染病にもいろいろあって、同じ死ぬにしても全身にブツブツができるとか、下痢になるとか、結核はそういうのが一切なくてただ衰弱して死ぬだけだから「綺麗な死に方」だという価値観が存在するっていう話。
完全に盲点な考え方でした。なるほどな。そういう考え方もあるのか。
深刻な病気に綺麗も汚いも無いでしょとも思うけど、この価値観は分からなくもないです。
あとこの本の内容ではなく活字についてなのですが、「と」とか「が」とかの活字の形が妙な癖があってほんのちょっと読みづらかったです。
これなんていう活字フォントなんでしょうね?