大村大次郎 「お金の流れで見る戦国時代 戦国の武将も、そろばんには勝てない」KADOKAWA って本読みました。
元国税調査官が戦国時代の日本史を「お金」の視点で解説してくれる本です。
読んだ感想はひたすら「武田信玄は嫌だ!織田信長がいい!」でした。
日本史に疎い人にも理解できるようにかなり簡単に解説してくれてて、まさに私がその日本史に疎い人なので分かりやすくてよかったです。
内容はタイトルそのまま。
表紙が「元国税調査官が「戦国大名の懐」にガサ入れ」
「貯金が減っては戦もできぬ」
「楽しく読むだけで歴史の本質がつかめる」と
なんかすごいアピールしまくり。
そして折り返しもなかなかインパクトのある言葉が並んでます。
ここに載ってる、織田信長、明智光秀、比叡山フィナンシャルグループ、武田信玄、豊臣秀吉、徳川家康などなどが経済観点から見てどうだったのかをいろいろ身も蓋も無い解説してくれます。
で、武田信玄なのですが、もう、こいつが、もう、ひたすら重税!重税!増税!増税!で読んでてめっちゃうんざりします。
信玄の領地はもともとあんまり豊かとはいえない土地で実りが少ないのに、でも信長とかと戦わなきゃいけないから資金は必要。なので増税。
増税して戦争→戦争して資金がなくなりまた増税、の地獄の悪循環。
意味不明なのは、罰金を領民全員に課したところ。
本来ケンカとか障害とかをやらかした民に課していた「過料銭」っていう名前の罰金を何もしてない領民全員に課すなんていうあまりにも意味不明な法令を出して、当時の領民たちが何を思ったか想像に堪えません。
嫌すぎる。
最悪や!
なーにが風林火山の武田軍団かってなもんです。
こんな奴が領主だったら嫌だあああ!
一方で素晴らしいのが織田信長。
信長はまースタート時点でいろいろラッキーなところはあったにせよ、そのあとは、減税して誰でも商売しやすいルールを作って「住みたい」と思わせる町を作って領民を増やしていきます。
最高や!
楽市楽座ばんざい!関所なんてなくしちゃえ!
庶民大喜び。
でも旧体制の改革を急ぐあまりに旧体制の価値観で生きてきた武将からは反感を買います。
明智光秀に本能寺の変を起こされてしまいます。
麒麟がくるわけです。
そういやNHKのあの大河ドラマって、どうするんでしょうね?
光秀を主人公のヒーローの「いいもん」にして、信長を「わるもん」として描くんでしょうか?
話を戻して、光秀の謀反って「なんであんなことしたのか」は結構謎なんだそうです。
でもこの本の作者は「経済政策が原因ではないか」と推測します。
最初から信長の重臣だったら信長の政策の合理性とか効果を受け入れやすいけど、中途採用的な光秀にはいろいろ許しがたい政策が積み重なり堪忍袋の尾が切れたのではないかと。
なるほどねえ。
で、その光秀は豊臣秀吉にすぐ殺されて、秀吉の時代になりますが、秀吉は基本的に信長の政策を踏襲しただけで、さらには信長のようにうまくやるセンスもなくて、しわよせが石田三成とかにいって、怒らせて、関ヶ原。
そして関ヶ原のドサクサで天下を取った徳川家康。
家康は「うまいことやる」才能に関しては信長よりさらにずっと上手で、いろんな合戦のドサクサで楽しておいしいところをいただいて、最後にはトップに。
あとはずーっと安泰の江戸時代。
そして作者は最後に「徳川埋蔵金」がどうだったのかも論述します。
家康が莫大な財産を残したのは確か。
でも子孫の歴代将軍が使い潰して無くなっちゃったんですってさ!
とほほ。
身も蓋も無いオチでした。
この本は作者の推測がかなり多くて、決して「これが真相!」というわけではないのですが、かなり説得力があって「そうなのかもなあー」と思わせてくれます。
日本の歴史の謎とかミステリーとかは、結局はどれもお金の問題なのではないかと。
めっちゃ説得力があって、そしてめっちゃ身も蓋も無い本でした。