ヤングジャンプの今週のゴールデンカムイは衝撃でした。
かわいい小鳥として有名なシマエナガが登場して、この漫画の特色としてかわいい動物は食べちゃうわけで、今回もそれに則って結局シマエナガも食べられちゃうわけですが。
読んでて「食べるのかな」って予感は薄々してたものの、その経緯とオチがショッキングでした!
今までで一番すごかった話かもしれません。
えぐいと感じた点が2点。
杉元とシマエナガが意思の疎通をしてるような描写が何度もあって、さらには「ウパシちゃん」という名前も与えられ、かなりの精神的な擬人化がされているところ。
杉元役の声優の小林親弘繋がりでBEASTARSをちょっと連想させる観念です。
そしてウパシちゃんは食べなくても何とかなったんじゃないか、殺して食べようとしたことが無駄だったんじゃないかと思わせるようなところ。
でもこの2点は、初めて読んだ瞬間には強くショックを受けたことですが、よく考えたらどっちも人間のエゴっぽいのかもしれないと思えるようなことでした。
前者は、普段我々が普通に食べている牛や豚などなどのいろんな家畜だってウパシちゃんに劣らない知性や精神を持っている生き物です。
ウパシちゃんは可哀想なのに牛さんや豚さんは可哀想じゃないのかよって話になってしまいます。
(現代社会の「希少動物」と「経済動物」の違いについては省略!今は明治!)
後者は、普段の日常生活上なら食用として見れない生き物でも、緊急事態の極限状態にはその子を殺して食べて自分の命を守るってことは、大いに理解できます。
でも今回はそうしようとした矢先にアシリパの救出が来てしまって、極限の判断が無駄になってしまったかのような最悪の間の悪さを感じてしまいます。
でもこれもやっぱり、日常で食べる生き物と緊急時でなら食べていい生き物に違いなんてあんのかよって話になります。
それに救助を待つ側の杉元からしたら、アシリパがいつ救助に来てくれるか分かるわけがないので、「いつ食べるべきか」の判断なんてしようがありませんし。
いやー、今週のゴルカムは衝撃を受けるとともにかなりいろいろと考えさせられました。
すごいです!作者野田サトル!
で、いろいろ考えたことのひとつが、リュウです。
今はもうチカパシと樺太に残ってお別れしてしまったキャラですが、リュウもウパシちゃんと変わらない存在だと、なんかふと思いました。
「仲間」と断言できるくらいの人格を持ったキャラクターですが、リュウも動物なわけで、今回の話の価値観で言うなら、世界には「食べるべき動物」「食べるべきではない動物」に区別なんかないわけで、リュウだっていざというときには躊躇わず殺して食べることをしても何もおかしくない筈の存在です。
しかし、かと言って、実際にそんなことは心情的になかなか受け入れがたいことです。今回のウパシちゃんの件を踏まえてもなお。
野田サトルはどう思うでしょうね?
まー漫画の展開的にこれからリュウの出番はほぼ無いとは思うから、ほとんど空論なのですが、リュウを殺して食べるシーン、野田なら躊躇わず執筆できるでしょうか?
なんか、できそうな気がする……。
あ、でもさすがにそういうのは編集部がストップするかな。
今回の話ももしかしたら載せていいのかどうか悩んだ末の決断だったかもしれません。
最終ページには、「ウパシは死んで杉元を暖めた。生きた価値は消えたりしない。」とかなり真面目なフォローを入れてますし。
まー、ぶっちゃけ、シマエナガとリュウは別に直接的には何も関係ないのですが、私がただ単に思い浮かべただけの話です。今日のブログは。
あ、でもこれはウェンカムイにも言えることだなあ。
人を殺したことがある動物をアシリパは忌避しますが、彼女は他に食べるものがない極限状態でもウェンカムイを決して食べないのでしょうか?
ところで、救助を待つ杉下とウパシちゃんの絵はドラえもんのパロディでしたね。
ここも意表を突かれて驚いて笑いました。