週刊少年チャンピオン連載中の安部真弘「あつまれ!ふしぎ研究部」は、もう185話にもなり、作品の世界観が完全に固まってきた感じかと思います。
この漫画は主人公の少年大祐と、ふしぎ研究部の部員のメインヒロイン3人(のちに4人に)と、多数のサブヒロインで構成されるハーレム漫画ですが、初期はハーレム感は皆無だったのが、途中から露骨になり、そして今ではそのまま奇妙な安定感を持つようになってきました。
で、私がこの漫画で珍しいと思う点は、ヒロイン達に主人公争奪戦をする意思が全く無いところです。
そこが奇妙な空気と安定感を醸し出してます。
ヒロイン達は主人公争奪戦をする気もないし、かと言って本当にハーレム状態一夫多妻状態を構築しようとも別に思ってなさそうだし、マジで現状維持を望んでそうな感じがします。
主人公が事実上の保留を続けるパターンはよく見かけますが、この漫画はヒロイン達の側がそれを望んでます。
特にメインヒロインズは、もう4人の間でみんな大祐に気があることを承知し合っていて、たまに微妙な空気になるのが、見てて「なんじゃこりゃ」と他ではなかなか見ない世界を味わえます。
例えば「誰が大祐の両隣で昼寝するか」の際、牽制し合うのでも奪い合うのでもなく、譲り合いとかします。淡々とした微妙なトーンで。
普通のハーレム漫画ならメインで扱うべきやりとりとか駆け引きとかが、めっちゃ淡々と流されます。
私自身は世の中のハーレム漫画を熟知してるわけではありませんが、この漫画はこのへんがすごく独特で個性的だなあ~って思ってます。
これはきっと、真面目に考えたら、ヒロイン達は大祐に気があると言っても、恋とは到底呼べるレベルではなくて、同性の仲間もそれ以上に大事で関係を壊したくないとも思ってるからこういう状態になってるのかな、と想像します。
ふしぎ研究部は事実上の「大祐ファンクラブ」の会員で、抜け駆け禁止で、同担のファンミを楽しんでいる、みたいな。
一定の一線を超えることは本当に望んでなさそうです。
個別のヒロイン回のぬるいことぬるいこと。
女同士で抜け駆け禁止の暗黙の了解が成り立ってそうなところに、妙なリアル感も感じたりして。
で、私はこういう空気感が嫌いじゃないです。
世の中には様々なタイプのハーレム漫画があるべきです。
こういうのはメインストリームにはならないのでしょうが、世の需要のスキマを縫うようなこんな選択肢もあっていいと思います。
また、この漫画の絵のほうは相変わらずさすがの高水準です。
緻密に描き込んでる感じはしないのに、素の筆力がマジですごいんだと思います。
絵柄の変化としては、なんか、ヒロイン達の肉付きが良くなってきた???
むっちりしてきたような。
そして、こういうシーンは、やっぱり非常に少ないです。
少ないからこそ貴重な価値があります。
純粋なヒロインのかわいさで言ったら、やっぱり二宮鈴が素晴らしいです。
最近またさらに表情豊かになったかな。
彼女は自分から大祐にくっつくことは平然とできるのに、大祐のほうからくっつかれると照れる女の子になりました。素敵です。
もうこの漫画は今後もこんな調子でいいかも。
でもひょっとしたらまた何かが変わるかもしれません。
もしそうなったとしても、鈴がかわいくて素敵な限り、私はなんだかんだ言いつつもこの漫画を楽しみ続けそうな気がします。