伊井野が主人公な回って今回が初めてですね。ですよね?
初登場の55話から通算212話目にして、もう完結しようという今、初の事態です。
週刊ヤングジャンプ44号 赤坂アカ かぐや様は告らせたい267話 「伊井野ミコと石上優の最終回 前編」
「主人公な回」ってのは単に「そのキャラを最も大きく扱う回」ではなく、文字通りそいつの視点で描かれる回のことです。ゲームで例えるならプレイヤーが操作するキャラが主人公です。
しかし伊井野は、これまで語られた伊井野は、全部が、彼女自身の視点ではなく、必ず石上とか大仏とかナレーションとかを介した「誰かから見た伊井野」だけでした。マジです。
ついでに藤原もそうでした。具体的に言うとこの二人はセリフ(ダイアローグ)に出ない「私はこう思う」というモノローグを読者に語ってくれることが全く無かったんです。
(ナレーションが「彼女はこう思ってる」と代弁することはありました。モノローグと代弁は大きく違うものです)
これはこの作品で途中まではかなり強固に守られてた表現技巧でした。でも「終盤戦」あたりからなぜか崩れてしまい、せっかくあった特別感も消えて、今ではもう特に意味も無くなった技巧ではあるんですけどね。
とまー、なし崩しになった感はあるのですが、それでも、今週の話が「初めて伊井野が主人公になった回」であることに変わりはないです。
では、そんな、初の、そして恐らく最後の、主人公を務める彼女はどうだったかというと、なんか連載初期のかぐやみたいでした。
彼女がこんな風に、かぐやみたいに、内心の葛藤を読者に披露するシーン、新鮮ですよね?それは現に初めてだからです。
でも今週の彼女は初期のかぐやとは大違いで、こういう葛藤を、言いたいけど素直に言えない気持ちを、かぐやがず~っとできなかったことを、今週だけでクリアして言うことができてしまいました。
「私には 石上が必要 ……なの」と!
これに関しては言えたことはとてつもなく良かったことです。言えて良かったなああ。立派だぞおおお。
ただ。本来なら感無量な筈のせっかくのこのシーンですが、今の私はそれほど感情移入して鑑賞してるわけでもありません。
この作品はこれまでがこれまでなので、身も蓋も無い言い方ですが「冷めてしまった」という感覚が頭の片隅に確かに存在することは、やっぱり否定できません。
それに、今週の伊井野がかぐやとは違いあっさりと葛藤を克服できた印象ですが、実際にはそんなことはなく、彼女は作中時間で9ヶ月以上の間、読者に見えない心の中ではずっと苦しんで葛藤してたわけで、「あっさり」に見えたのは、彼女にあった筈の物語のほとんどが完結にあたり徹底的に削られてしまってるからです。
本当に、伊井野のこの場面が、かつてこの漫画が持ってた白銀とかぐやの物語の頃と同じ熱量と積み重ねで描かれてたらどんなに良かっただろうと、本当に本当に今心の底から思ってます。
ま。それはそうと、今週の本編そのものへの感想は、こりゃ前編だけでは言えることはほとんど無さそうです。次回の後編を読んでからまとめて感想書きたいです。胡麻の助や靴を隠された一年生についても。
細かいところでは、伊井野は白銀から金の飾緒をまだ受け継いでないのでしょうかね。あるいは身に付けるのは生徒会役員が揃って正式に発足してから?
あと石上の一人称が「僕」と「俺」がやたらと混在してるのは、彼は基本は僕なのに伊井野の前でだけは混在するのかなあーって気もするけど、過度に願望を投影するのはやめときます。
うーむやっぱり語れることは今は少ないです。
前編読んだ限りでは私は石上に「お前のほうから生徒会に入れてくれって頼めよ!!!」って感じたんですが、これも後編を読まないことには何とも言えません。「お前がこれまで多くの人から受けた恩や優しさをペイフォワードしたいのなら、なおのこと生徒会にいたほうがいいだろうが!!!」って。「勉強頑張りたい動機はよく分かるけどそれは生徒会に入ってでもできるだろ!!!」って。
来週も休載。はい。
そうだ、ちょっとだけ次回の予想をしてみます。私は、再来週の後編では、ステラの押し花とハートのキーホルダーについては、語られない、あるいはほんの一瞬描かれるだけの消化不良状態で完結する、と予想しておきます。
これは予想というよりは心の準備に近いです。
「もう無くて当然、あったら儲けもの」でいたほうが気が楽です。
あと余談。
アニメの劇場版の情報がありました。
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— アニメ「かぐや様は告らせたい」公式 / 10.29-30 奉心祭 in AKIHABARA (@anime_kaguya) 2022年9月28日
かぐや様は告らせたい
-ファーストキッスは終わらない-
*・°: 。 :・。 :゚・*•.¸¸♡•*¨
❄2022.WINTER❄
ティザービジュアル公開
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───┘#かぐや様 pic.twitter.com/yd5T5PRWud
ふむ。これは、仮に(縁起でもない仮定ですが)かぐや様の原作の終わり方が大不評の総スカンになったとしても、この映画の興行への影響は小さくてむしろ逆に映画でブーストする可能性もあるんじゃないかって気もします。
それについての話は公開の時期が近付いたらいずれ。