今月の進撃の巨人はエレンの薄っぺらい懺悔ごっこが見てられませんでした。
本当に彼は何がしたいのか?
いやそれ自体はしっかり説明されたから理解はしましたが、彼の心情には共感がこれっぽっちも湧きません。
なぜ人類皆殺しにしたい?なぜ泣く?そしてなぜ、その、なんだ、あれは。
その一方で今月号ではなんとアルミンとアニが何か変な感じになってて、まーこれは、今月号の感想ブログを順を追って書いていきます。
あと、別冊少年マガジン今月号には秋以降の進撃の巨人関連のイベント告知のページがありました。
無事に開催できることを願うばかりです。
さて。冒頭は、これまで度々出てきたマーレに住む難民の少年。
ラムジーという名前だそうで。
今回でようやく、彼が何のためにこの作品に登場したのか判明しました。
殺されるためでした。エレンに。地鳴らしの犠牲者として実際に踏みつぶされるところを読者に見せる役でした。
地鳴らし大行進がマーレ大陸に到着するころ、彼ら難民はそのニュースを全く知らないまま、ラムジーは盗んだ金を隠してるところでした。
マーレでも難民問題は深刻なようで、働き先を見つけるどころか生きていくのもかなり困難で、彼は盗みで生きていくしかありません。
もともとマーレは島外エルディア人を収容して差別して奴隷にしてますしね。彼らはさらに戦争では無垢の巨人兵として使い道がある便利な奴隷です。よその国の難民なんて無価値でどうでもいい扱いなんでしょうね。
というか、きっと、オニャンコポン達反マーレの義勇兵は大体こんな出自なのかもしれません。マーレに国を奪われたって言ってましたもんね。イェレナはそれを装ってるだけでしたが。
イェレナは裕福な国に生まれて育ったのに紛争国のテロ集団に自ら好んで加入して、現実世界のヨーロッパ白人でもそういう人いるらしいですが。
いや今はイェレナのことはいいや。ラムジーです。
しかし彼は仮にもう少し成長しても反マーレ組織の兵士とかにはもうなれません。右手を切り落とされちゃってるから。スリで捕まって制裁を受けたようで。
彼の人生は本当にもう詰んでて、この先はもうまた捕まって左手も切り落とされるような結末しか無さそう。
そして彼は自分でもそれを理解してそうです。
自分が死んだあとを仲間のハリルに託します。
不幸な少年です。
彼と比べたら、幼少時のエレンはまだましだったかもね。食うだけはできたし、兵士に志願するか自分で選べたし。
まーあの頃のパラディ島内政治もマーレと同じくらい腐ってはいましたけどね。
で、そんなラムジーにさらなる理不尽な不幸が襲い掛かります。些細な希望をも打ち砕くやつが。地鳴らし大行進が目前に迫ってようやく事態を理解します。
そして場面はエレンの回想に切り替わり、そこから、エレンの回想とラムジーが死ぬ顛末が交互に描かれていき、エレンのどういう思いで彼が犠牲になるのかがずっしり伝わってきます!
123話で、4年前マーレに初めて潜入調査した調査兵団の様子が描かれたときに、エレンは、リヴァイがラムジーを捕まえた際に彼の事を初めて知り、その後エレンは抜け出して街を歩き、そこで彼がまた捕まってるのを見かけてたのが今回で、会うのはこれで2度目の筈です。
でも今月号でエレンが彼を初めて認知したように言ってるのはちょっと変かな。細かいことですが。
それにしてもエレンの感情はマジで分かりません。
彼は島以外の全世界の何の罪も無い人々を皆殺しにしなきゃ気が済まないらしいです。でもここまでは分かります。
そうしなきゃ島内の自分の大切な人々の未来が無いですから。
全世界の1%の人々を救うために99%の人々を殺すことに、その99%に申し訳なくて、エレンにとってのその代表者ラムジーに「ごめん」と泣いて謝りたい気持ちはまだ理解できます。
でもそこから先が今月号で初めて公開されたエレンの意味不明な真意でした。
エレンは路地裏で街の商人からリンチを受けてるラムジーを助け、自分の半端な正義感をライナー以下だと卑下。ライナーに思わぬ流れ弾が被弾してちょっと笑ってしまいましたが。
そして言葉の通じない彼にエレンは心の奥底を打ち明けて懺悔を気取ります。
それが、もう、なんか。
要するに壁の外に他の人類が生きてることが嫌だったと。
前人未踏の地じゃなかったことにがっかりしたと。
自分が未知の世界に足を踏み入れる最初の人間じゃないと嫌だと。
まー、なんつうか、病的で歪んだ自由への固執。壁内に生まれた狂気。他人の足跡を踏みつぶして回りたい人間。巨人の力を一番持ってはいけない人間。と言った感じでしょうか。
例えるなら、腹が減ってて、その場に一番好きな食べ物は無いけどそれなりにおいしい物はあるのに、好きな物が食べられないことを許せずに暴れるみたいな感じ。
なんて不自由な男だい。
そして今エレンの精神状態はどうなってるのか、何も知らなかった幼い頃の姿で、自分が踏みつぶしてる人々の姿が見えてるのか見えてないのか、今この瞬間が、かつてアルミンが持ち出した本を見て思った夢を叶えた瞬間なんでしょうか。
ラムジーは踏みつぶされて死亡。
実は私は死ぬ瞬間まで「もしかしたら助かる展開もあるのか?」と少しだけ思ってましたが、無理でした。
その瞬間を始祖ユミルちゃんの幻影がなぜか見つめています。
ユミルちゃんは今エレンとジークとで3人一緒に合体してるのかと思ったけど、彼女がなぜ今ここに姿を見せるのか超謎です。
一方エレンはご満悦。少年の姿で。
足元ではラムジー達難民もマーレ人も島外エルディア人もみーんな踏みつぶしつつ、上空から眺める素晴らしい景色の感激を、アルミンと一瞬だけ、謎砂漠空間「座標」で共有したみたいです。
さっきまで(回想で)メソメソ泣いてた大人エレンと、無邪気に喜ぶ少年エレンの表情のギャップが本当に気持ち悪くて素晴らしい演出だと思います。今月は。
アルミンのほうは、エレンとの座標での一瞬はよく感知できなかったようで、すぐに現実に引き戻されました。アニの呼び声で。
世界の終わりの大惨事が始まっているこの時に、アルミンとアニは、都合よく周囲に誰もいない船の甲板上で、静かな「二人だけの世界」になります。
なんじゃこりゃ。
私は先月号の感想ブログで「セカイ系」作品について触れましたが、今月号のこの二人は、まるでセカイ系作品で、無人の世界に二人だけになった主人公とヒロインみたいになってます。
話すこともなんかセカイ系。
この期に及んでアルミンはとうとう自分の素直な気持ちを、会話できる状態のアニに伝えることが出来ました。
いや、「こんな時だからこそ」かな。
ちゃんと言えたこと自体は男として立派でいいことだと思います。
アニのほうは男から好意を向けられることが初めてで戸惑ってるって感じなんでしょうかね???
(童貞&処女っぽさがこれまたいかにもセカイ系)
候補兵時代からベルトルトに好意を寄せられてたことは、全く自覚してませんでしたし。
そしてアルミンの好意は、そのベルトルトの記憶に影響されてアニに惚れてるだけなのかもしれません。
でもそれが何だってんだって私は思います。
きっかけや経緯なんて、本人が気にしないでいられるなら、マジでどうでもいいことです。
だからその意味でも今アニへの気持ちに素直になれてるアルミンは立派だと思いますよ。
アニのほうは、今世界はこんなんだし義父はもう助からなくて失意の底にいたわけですけど、彼女が義父を思う気持ちと今アルミンから向けられてる気持ちは、似て非なるものではありますが、人としての純粋な愛であることは同じで、そういう気持ちで心動かされて戸惑うアニは、バケモノなんかではなく心ある人である……ってことかと思います。
そういや(この場では非現実的な想像ですが)、九つの巨人って子供を作ることはできるんでしたっけ?
あ、できるか。生前の始祖ユミルちゃんやエレンの父グリシャはできてたし。
アニの寿命はあと3年でしたっけ。石になってた間も寿命を消費してたとすれば。
子どもを作ることは時間的肉体的には可能ですね。
そして今後の展開次第でもし九つの巨人のユミルちゃんの13年寿命の呪縛が解ければ、何人でも産めます。
私は、二人にはこんな呑気なことを考えられるような関係になって欲しいって、今月号読んでてちょっとだけ思いました。カプ厨ってほどでもないですが。
それに、アルミンはまだエレンとの希望を捨ててなさそうな様子もラストページで見れたし、希望はまだあるのかな???
二人のそばにウミネコが降りてきて羽を休めました。
カモメとウミネコは区別つきにくいですが、こいつはくちばしの先端が黒いのでウミネコです。
(あと鳴き声が違うのはブチャラティが教えてくれたので有名)
このウミネコは地鳴らしから逃げることが出来る数少ない生き物の一種ですね。
そして目的地、アズマビトの格納庫がある陸地が近いことを意味してます。
間に合うのか?
アルミンは、彼女とか嫁さんとかを作ったり、エレンと未知の世界を笑って旅したりする未来を得ることはできるのか?
できるのか???