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進撃の巨人139話最終回感想 エレンはエレンであり悪魔であった

ついに最終回

 

良かったと思います。良くないところも良かったのではないかって気がします。なんじゃそりゃ。

 

もう何から書いたものか。ねえ?

 

なんか「最終回の感想」と「進撃の巨人作品全体の感想」は混同したら収拾がつかなくなる気がするので、今回のブログはあくまで最終回の感想を書くことを意識して、作品全体の感想はまた別に書きたいと思います。

 

でも両者には明確な境界線って無いですね。たぶん。

 

 

 

まーとにかく。読み終わって特に印象的だったのはエレンの真意です。あと世界のその後。

 

私は彼の気持ちには理解できるところもあるけど、ほとんど共感はできませんでした。

 

あと、これまでの謎や不可解が全部明かされた感じもしません。

 

「あのときのあのシーンはなんだったの?」って思うようなのがいくつか残ってるような気がします。

 

でも私は、なんか、それはそれでいいんじゃないかなって気もしてます。

 

結構肯定的に受け止めてて、いい最終回だったと思ってます。

 

 

 

さて。冒頭はエレンとアルミンの会話。エレンがやっと真意らしい真意を語ってくれました。

 

本当に、これまでの話での彼の発言はどれが真意なのかさっぱりでした。私も読んでていろいろと騙されました。

 

 

結局のところ彼はミカサを愛していました!

 

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そうだったのか!

 

そしてアルミン達仲間のことも何より大事に思ってました。

 

彼らを真の意味で救うために、巨人という呪縛から解き放つために、地鳴らしを決行したのだと。

 

そのために人類の8割を殺して。

 

8割かあああ。

 

いや人類だけじゃないわ、動植物も環境も、地表を徹底的に破壊してしまいました。

 

無傷なのはパラディ島(現実の地球で言えばマダカスカル島)の裏側(北米大陸あたり)くらいだけなのでしょうかね。

 

どれほどの生き物が絶滅したのやら。

 

 

アルミンはそんなエレンにしきりに「そこまでする必要があるのか」と言いますが、私も同感です。

 

はっきり言ってエレンの思考回路は本当にめちゃくちゃだと思います。理解できる部分もあるものの。

 

 

自分の大切な人々を救うために、そうじゃない人々を徹底的に殺し回ったわけです。

 

私はそんなことするくらいなら、ジークエルディア安楽死計画のほうがずっとましだったと思います。

 

あれはあれで、この世のユミルの民全員に強制不妊手術を施すわけですから、心情的に受け入れにくくはありますが、虐殺の比ではないです。

 

なのにエレンにとってはそのほうが耐え難いことだったようです。仲間に不妊手術するくらいなら、仲間じゃない人々を大虐殺するほうがましと思うほどに。

 

大虐殺してから、「俺には生きる資格が無い」って自ら思って進んで殺されようとするほどに。

 

それほどに安楽死は嫌だったと。

 

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この「俺は許されないから死ぬ」についても私はマジで共感しないです。

 

もし仮に、私が、ほんの一握りの人々を救うために多くの人々を虐殺したとしても、別に「自分は死ぬべきだ」とは思いません。のうのうと生きりゃあいいんです。そりゃ生きますさ。死んでたまるか。

 

私のことを「許せない」と言って殺してくる人がいたとしたら、その人とは向き合わなきゃいけないとは思いますけど。

 

つうかジークがそうでした。

 

リヴァイからそう思われてて実際にその通りになりました。

 

リヴァイのジークを殺したい気持ちって、この漫画的には「殺されたから殺し返す的な恨みの連鎖が徹底的にこじれて世界はこうなっちゃったんだ!だからやめろ!」っていうことであり、なんというか、罪なことなんですが、ジークのほうがちゃんと向き合って自らリヴァイに首を差し出したことでけじめになったと思います。

 

 

 

エレンはどうでしょう。

 

地鳴らしでかろうじて生き残った人類はエレンを許せなくて報復したがるんでしょうかね。

 

うーん、したがるかもしれません。

 

 

あ、待てよ。

 

「死んだことにする」ってのはどうでしょ。

 

前回のミカサがエレンの首を落とさずにキスだけしたとしても、案外始祖ユミルちゃんはその選択を認めてこの世から巨人を消してくれるかもしれません。

 

それでミカサはエレンと手を取り合い去っていく、という結末だったらどうだったでしょ。

 

悪くないような気もしますけどね。

 

 

まー、このIF夢想がいいと思うかどうかは人によるのでしょうが、エレン自身が、ミカサを愛しててともに生きたいと思ってたんなら、誰になんと思われようが生きてそれを貫いたらいいじゃん、って、私は読んでて思いました。

 

本当にエレンの気持ちは分かりません。

 

 

地鳴らしをしたかったってのも、共感できませんし。

 

そのことは131話で語られてて、今また読み返しても、なんでこれがエレンにとって、どうしてもやりたかったことなのか、微妙に不可解です。

 

自分が死ぬことになっても、愛する女性と共に生きる選択肢を捨ててでも、母カルラを(時間を超越して)自らの手で殺してでも、やりたかった彼の気持ちは。

 

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でもこのへんは私が何か見落としてるような気もします。父グリシャと何かあったような。なんだっけ。

 

 

 

とま、これが私が進撃の巨人最終回を読んで最も強く思った感想です。

 

エレンの気持ちには共感できませんでした。ってのが。

 

 

ですが。

 

私はこの最終回を読んでも結構満足感を味わってるんです。これはこれで。

 

エレンのことを「共感できない」「理解できない」とは言いつつも、彼がそういう奴だってことはじゅうぶんすぎるほど伝わりましたし。

 

彼は「死に急ぎ野郎」という異名が本当にぴったりです。皮肉にも。

 

そのぴったりさを「見事だ」とか思ってます。私は。

 

それにこの最終回、エレンの死と地鳴らし以外については、私が「こんな結末だったらいいのにな」と願った通りでしたし。

 

あと私は前回の138話読んでかなり愕然としてショックだったのでなんか「救われた」って印象も湧きましたし。

 

 

 

そして。えーと。一連のエレンとアルミンの会話シーンが終わります。

 

この会話は決戦前に行われてて、アルミンは一度その記憶を消され、全ての決着がついたら記憶が蘇るように細工されていたと。

 

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全てを思い出すアルミン。そしてミカサが持ってきたエレンの首を見て号泣。泣いた赤鬼。

 

(エレンのやったことはマジで童話「泣いた赤鬼」の青鬼でしたね)

 

 

 

「ミカサの選択」が全ての巨人の呪縛を解放していました。

 

前回の先月号で無垢の巨人にされたジャン達も元に戻りました。

 

これについては戻って本当に良かったと思います。

 

しかしこの「ミカサの選択」ってのはなんだったんでしょうね?

 

えー、始祖ユミルちゃんはなんと初代エルディア王カール・フリッツを愛していたと。

 

これも驚きでした。いろんな意味で。

 

特に「舌を抜かれてた」ってのはショックでした。

 

あー。やっぱりそうされてたのか……。

 

122話のこのシーンのことです。

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(この漫画でトップクラスにむごいシーンです)

 

つうか奴隷の舌を抜いたのはフリッツ王の指示なのか!

 

あまりにも残虐です。

 

でもユミルちゃんはそんなフリッツ王を愛していたと。

 

なんか、めっちゃめちゃに虐待された子が、した相手にそういう感情を持つことは、ありえるんでしたっけ。心理学的な、共依存とかナントカ症候群とかみたいな感じで。

 

(ストックホルム症候群の名前は知ってますが、安易に当てはめるのも良くないような)

 

 

……で。ユミルちゃんはとてつもない心の傷や愛憎にずーっと苦しんできたわけですよね。二千年間。

 

凶悪な男にめちゃくちゃにされて殺されかけて、死ぬ間際で、偶然か必然か、巨人の素と遭遇して合体してものすごい力を手にしたのに、その男に復讐とかすることもできずに、犯され孕まされ、憎みつつ愛しつつ、ずっと、自ら、隷属してしまう、そうせずにいられないジレンマ。

 

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そんな彼女が待ち続けた、自分を解放してくれる相手が、ミカサ……。

 

ということは、つまり、ユミルちゃんは、自分が愛する男を殺す選択ができなかったからこそ、ミカサが愛する男を殺す選択ができたところを目にすることで、ユミルちゃんの中の何かが昇華されて、全ての呪縛が解放された……ってことなんでしょうかね??????

 

??????(はてなが100個くらい続きますが省略)

 

本当に全然分かりません。

 

でも「そういうことなのかな」と思えば、少しは私の心の中で腑に落ちるような気もします。

 

もしミカサがエレンを殺すことができなかったら、ミカサは第2のユミルちゃんになっていたのでしょうか???

 

じゃあ二人が共に生きていく未来はやっぱり無理だったのか???

 

安楽死でも解決にはならなかった??????

 

うーむ。やっぱりこの道しかなかったんでしょうかねえ????????????

 

 

 

この場にいたユミルの民は無事に元通りに。

 

コニーが母が元に戻れると聞いて泣くところで私もちょっとジーンとしてしまいました。

 

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アニは改めて自分の義父との再会を喜び合うことができました。

 

最終回まで生き残れた104期生は7人。

 

本当、彼らはそれぞれの形でつらい人生を送ってきましたもんね。

 

そういえば今月号の表紙がその104期生の幼少時の姿でしたね。12人。

 

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これも感慨深くて意味深な絵です。

 

表紙絵内の7人以外の104期生存者はヒッチくらいで、あとは、フロックマルロダズもみんなみんな死にました。

 

 

 

しかしそれ以上に仲間の死を見てきた人物がここにいます。リヴァイ

 

ズタボロの満身創痍になりつつもなんとか生き残れて、彼の前に死んでいった調査兵団の英霊が現れます。

 

この英霊達は、生前のエルヴィンハンジも存在をうすうす感じてた描写があり、幻覚とかではなく本当に彼らのようです。

 

でも生きてる兵士が彼らの姿を見れたのは、これが最初。で最後。

 

彼らはこれで成仏できるってことなんでしょうかね。

 

大勢の仲間に先立たれたリヴァイにとっては、この、返事も無い短い時間の別れだけでも、ちゃんと彼らと別れの挨拶ができたことが、せめてもの救いなんじゃないかと思います。

 

リヴァイの男泣きが胸を打ちます。

 

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リヴァイがこの先死んだとき、行くのはもうユミルの民特有のとか座標とかじゃなく、あの世なわけで、あの世なんてあるのかないのか分かりませんから、彼らと再会できるかも分かりません。本当にこれは別れだって感じがします。

 

 

 

サシャも。

 

英霊団の一員のくせに勝手に単独行動して、彼女だけはジャンとコニーのところに姿を見せてました。彼女らしいです。

 

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やっさしそうな笑顔しちゃってさ。これも泣けました。

 

 

ライナーも母と再会できました。良かったねライナー。この漫画ではお前は本当にいろいろとアレだったけど生き残れたねライナー。

 

ミカサはエレンの首を穏やかに埋葬させるためにと離れます。でもここでちょっと思ったのですが、彼女が一人でこのマーレ大陸からパラディ島へ帰るのはとてつもなく大変な道のりですよね。

 

食料と船の確保だけでも。

 

ましてや彼女はもうアッカーマンの能力を失ったただの人間ですし。

 

怪力も反射神経も危機察知能力ももう無いんですよね?

 

頭痛からは解放されましたけど。

 

つらく悲しい帰路です。

 

 

 

アルミンはそんなミカサを見送り、涙をぬぐい、仕事に戻ります。

 

人間に戻れた元ユミルの民のみなさんと、マーレ軍の残存兵が対峙し緊張状態に。アニの義父が説得しますが、ミュラー長官は銃を下ろさせません。

 

まーこれは長官をチキンだとは言えませんね。彼らの恐怖と疑心暗鬼と「こいつらを殺しとけば安全じゃね?」感は想像に堪えません。

 

銃を向けられ、ジャンもコニーもライナーも怯えきってます。アニも。

 

立体起動も雷槍も巨人化能力も失ってガチの丸腰ですもんね。この状態に慣れてないのでなおさらです。

 

そこに颯爽と威風堂々と武器を捨て登場するアルミン。かっこいいじゃないかアルミン。

 

最終回で一番かっこいいシーンを見せれたじゃないかアルミン。

 

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アニもアルミンらしからぬアルミンを見て惚れ直したか!?

 

アルアニのカップルはともかくとしても、これからアルミンはこう堂々と振舞うことが生涯の仕事になるわけですよね。

 

この戦争「天と地の戦い」を終結させた英雄として。それがエレンとの約束ですもんね。

 

 

 

ここで場面は変わり3年後。ついにエピローグです。

 

ヒストリアが島外へ手紙を送ることができてる時点で、世界はなんとか機能してることが窺えます。

 

手紙(のイメージ映像)には、彼女は無事に出産してたことと、島はイェーガー派がまだまだ主流で軍拡してる様子が描かれます。

 

ヒッチやリコ(メガネ女)、新聞記者リーブス商会ブラウス一家ニコロキヨミアズマビトが息災であることも。

 

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最終回で生き残ったキャラのその後がダイジェスト的に描かれる黄金パターンです。いいもんです。

 

で、この手紙は、エルディア国女王陛下から、島外の連合国の和平交渉大使に送られたものでした。

 

アルミン達が大使。エルディア国民ではなくなったっぽいですね。

 

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あ、ピークもいます。見目麗しく。23歳くらい?彼女とヒストリアがこの漫画の世界観での2大美女。

 

 

 

ところでここ、島の「兵団」が「軍」になった様子が描かれてるのですが、今月号の別冊少年マガジンには巻頭にカラー復刻69話が載ってて、そこでのヒストリアの戴冠式と、軍の何かの式典が同じ場所で行われてるのがめっちゃ印象的でした。

 

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(兵団と軍)

 

今月号のカラーが69話なのは作者諌山創のセレクトだそうで、こういう演出も計算に入れてたんでしょうか?

 

 

 

さて、世界はいまだ緊張してるし、和平交渉はうまくいくかわかんないし、アルミン自身が「争いはなくならない」と断言してるんだけど、それでも、話すことや知ることはできる筈。

 

これがこの漫画の、なんて言うんでしょう、テーマみたいな感じなのかなと思いました。

 

アルミンも壁の外に世界があると知ったときからずっとそうしたいって言ってたような。

 

あれから8年くらいで、ようやくここまで辿り着きました。感無量です。

 

 

 

オニャンコポンが元気なところを見れて嬉しかったです。無事で良かった。オニャンコポン。

 

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ガビファルコは成長して、今はリヴァイと行動を共にしてるんでしょうかね。

 

リヴァイは今はもう何の強さも持たない、ただの背の低い車椅子の傷痍軍人です。ひたすら無力な存在です。

 

でも、足の組み方を見るに、彼の性格は今も相変わらずっぽい気がしますね。さすがです。

 

 

ところでこの最終回、こうやって生存した全登場人物が出てきたわけだけど、イェレナはどこにも出てきませんでした。

 

ってことはもしかして、彼女はもう生きてないんでしょうかね。

 

人間的にも漫画のキャラとしても決して好きではなかったけど、いろんな意味で哀れな人でした。複雑です。

 

 

 

そして最後の最後のラストシーン、第1話のあの場所。あの丘。

 

今第1話を読み返すと「いってらっしゃい」や「髪伸びたか」が分かるような分からないような……。

 

 

島で一人ひっそりと暮らすミカサ。

 

エレンを失って寂しがってるところに、謎の鳥、カモメ?ハト?がやってきて彼女のマフラーを直します。

 

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???

 

ミカサはそれで少しだけ喜び、この漫画は完結となりました。

 

この鳥はエレンなんでしょうか?

 

分かりません。

 

 

 

で。終わり。

 

ふわあああー。はあー。(虚脱状態)

 

私は、この最終回必ずしも文句なしに「感動した!」「素晴らしかった!」とは思わず逆に「クソだ!」「ひどい!」とも思わず、かと言って「なんとも思わなかった」とも思わず、カタルシスと虚しさが入り混じった本当に独特な最終回でした。

 

エレンには共感しないし、人類虐殺がどうしてもしなきゃいけなかったことだったとはちょっと思えないし。

 

でも圧巻の物語だったことは疑いないし、切なさやもの悲しさの中に美しさもあったと思うし。

 

私は「良かった」「ずっと読み続けてて良かった」って、なんか思ってます。

 

私は別マガ創刊号からずっとリアルタイムで読んでました。

 

うーむ。やっぱ進撃の巨人という作品そのものに思ったことはまた別にブログ書きたいです。

 

今日のブログはあくまで最終回の感想ということで。それでも全文で6600文字超えてしまいましたが、このへんで。

 

 

なにやら、単行本の最終巻には描き下ろしの追加ページもあるとかないとか。

 

進撃のスクールカーストの結末も気になりますし。

 

それを読めば新たな知見があったりするのかも。

 

最終巻は6月発売予定。

 

楽しみです。

 

本当にすごい作品でした。ありがとうございました。

 

 

 

追記。

 

最終巻出たあとまた感想書きました。

 

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