今月の進撃の巨人では仲が悪い人たちが仲直りしようと親睦を深める楽しいゲーム大会を開催してました。
結果ドベはジャン。優勝はライナーでした。さすがライナーです。
とうわけで今月号の主役はジャン。
冒頭シーンもジャンの夢というか未来予想図からです。
ジャンの夢は、ずばり上級国民。救国の英雄として退役し悠々自適な一生を送ること。
この絵の仮想嫁はもしかしてミカサ?右頬に傷痕があるような無いような。
彼のこの夢は現実に手の届く距離にあります。このままイェーガー派に合流すれば。
あれそういえば確か訓練兵時代にも似たシチュがあったような?
あのときは憲兵団に入るか調査兵団に入るか選べたのに、ジャンは楽でおいしい憲兵団を蹴ってしまい過酷な調査兵団なんかに入ってしまったのでした。
なぜでしたっけ?(すっとぼけ)
エレンが地鳴らしを始めてしまった日の夜。ってゆうか昨日か。昨日は恐ろしく長い一日でした。
110話の夜明けごろから126話あたりまでずーっと一日の出来事なんですよね?
エレンが脱獄してイェーガー派がクーデター始めたり、ガビ達ブラウス一家がニコロのレストランに食事に招かれたりしてから、ジークとエレンが接触に成功して地鳴らしが始まって「反地鳴らしオールスターズ」集結するまで、全部一日の出来事なんですよね?
そんな長い長い長い一日が終わって疲れ果てたジャンが、素敵な未来の夢でも見ながら寝ようかとしたのを妨げたのはハンジでした。
このまま寝てしまえば夢は現実になるのに、ジャンはハンジの誘いを受けて会いに行ってしまいました。
ジャンはハンジとの会談で、地鳴らしを止めるぞというハンジに対し「もう地鳴らしを受け入れちゃえばいいのでは」的なことをウダウダ言うわけですが、ハンジに呼ばれて無視しなかった時点で彼の中ではとっくに答えは出てるんですよね。
ジャンはおいしい夢よりも先月号で言うところの「骨の燃えカス」を選んだわけです。自ら。またしても。
とはいえジャンも、そしてハンジも地鳴らしを受け入れてしまおうかなと一度は葛藤してしまうのが、そう考えるのも無理ないよなあ~って、本当に思います。
エレンの全世界大虐殺は確かに無茶苦茶ですが、そうでもしなきゃパラディ島に生き残る道は無いってのも一理あるわけで。
ジャンもハンジもそのことを頭では理解できてるのに、地鳴らしを止められたとしてもその先には一筋の光明も見えないのに、それでも地鳴らしを止めたいという理由の一つは、これまで死んでいった調査兵団のみんな。
このへん最初に読んだときは、ハンジは自分の理想論を正当化させるために死者に勝手に自分の願望を投影させてるだけなんじゃないかと思ったのですが、ちょっと思い出してみたら、こういうシーン前にもありましたよね。
エルヴィンがまだ生きてる側だったとき、シガンシナ区戦で、自分の夢を取るか戦って死ぬか葛藤してたときにも、周囲を大勢の兵士の亡霊に囲まれてる絵がありました。
(80話)
この亡霊はひょっとしたらエルヴィン達やハンジ達の心象風景や幻覚などではなく、実際に本人達なのかもしれません。
これもユミルの民の「道」なるものが実際に起こしてる、なんていうか、彼らが死んでも死んだ後も後世に残ったり続いたりする何か。とか。
まー私は道とか座標とかまだろくに理解してないので勝手な想像してるだけです。
で、ジャン達の覚悟も決まり、集結した14人のオールスターズ。
彼らが見解の合致を得ているのは「地鳴らしを止めたい」の一点のみ。内訳はパラディ派6人、マーレ派6人、諸派2人。バランスいい。
ここから楽しいゲーム大会となります。
心底相いれない敵同士でお互いに挑発し合って地雷ポイントを探り合うという地獄のチキンレースです。
すいません嘘です。これはゲームでもなんでもなく、読んでるこっちの胃が痛くなるなるような遺恨のぶつけ合いです。
恨み言と嫌味の応酬です。
ここから各人が心の奥底にフツフツ溜めていた思いをここぞとばかりに直接ぶつけ合います。
一番手はマガト。つくづく「口火を切ることが好きな人」なようです。
(101話でもやってました)
マガトの言い分はマーレや全世界からしたらもっともです。
ユミルの民なんて時限爆弾民族でしかなくて迷惑で恐怖で害悪でしかないと思うのはもっとも。
でもそれをユミルの民に文句言っても意味が無いです。
「お前ら悪魔が大人しく死ねば全世界は救われるのに邪魔しやがって」なんて言われて「はあどうもすんません」なんて思うわけが無い。
ジャンが食って掛かって、低レベルな口論がこの場の緊張度を高めます。
ハンジが諫めますが、彼女のこのセリフにもマガトへの嫌味がうっすら込められてますよね?
「私達は敵にも慈悲を向ける立派な心があるんだけど~、元帥殿には理解できないんでしょ?」みたいな。
ああ胃が痛い。
二番手はアニ。
地鳴らしを止めるってのはエレンを殺すってことでいいのか、それができるのかと104期の4人に問います。
釣れたのはミカサ。
ミカサとアニが睨み合う緊迫の場面ではあるのですが、ここ、ミカサの心にまだエレンを信じたくて殺すのは絶対阻止したいって気持ちがあることに、私はちょっとほっとしてしまいました。
彼女はエレンにかなり心を掻き回されてて、いろいろ辛くて可哀想です。
しかしアニはそれを知ってか知らずかミカサへの追い込みを続けてしまいます。
据えかねたミカサはブレードを握って、沸騰寸前。
アニも指輪の針を出して応戦準備。
オニャンコポンが「カバディ」とふざけた擬音を出して警戒します。リヴァイは熟睡。
と、一触即発な空気になった途端に、アニが急に拳を引っ込めました。
あんたがエレンを一番大事に思うように私にも大事な人がいて気持ちは分かるから争うのはやめよう。
このシーンは、だったら最初からミカサを挑発なんかするなよって思いました。
最初は昔のままの気分でミカサに嫌味言ったけど「自分がまずいことを言ってしまった」ってのを瞬時に理解して慌てて拳を引っ込めたのかな???
三番手はピークin車力の巨人。
ターゲットは憎きイェレナ。
そもそもマガトとピークがイェレナを生け捕りしたかったのは、こうやって彼女の化けの皮を剥いでやりたかったまでありそう。
ピークがイェレナの身辺調査結果を朗々と語ります。
……要するにネトウヨや左翼が行き過ぎたパターンの人だったようです。
経歴を偽って悲劇の民になりきって世界を救うシナリオを描いたナントカ症候群みたいな人。
ピークの慇懃な口調の暴露に、イェレナに恥をかかせたくて仕方ないって意図が見え隠れします。
しかしこれは空振り気味でした。
今のイェレナは燃え尽きた抜け殻なのでつつかれても大して痛くもないようです。失うものは何もない状態。
しかしむかつくことはむかつくので、攻守交替して今度はイェレナがこの場にいるみんなが「これまでのことは一旦置いておいて今は手を組もう」としている「一旦置いておくこと」を念入りにほじくり返していきます。
ライナーもアニもアルミンもジャンもガビもただの人殺しやんけ。偉そうに。みたいな。
そうやって憎しみ合って殺し合ってきたお前らが仲間になるとかwww。みたいな。
そんなイェレナにジャンが効いてないアピールをわざわざ始めてしまいました。
あーあ、他のみんなのようにだんまりを決め込んでればよかったのに。
でもそれができないところがジャンならではの人間性なのでしょうかね。
このゲーム(ゲームじゃねえっての)に一番弱いのはジャンです。
そしてイェレナはジャンの一番デリケートな部分をつつき始めてしまいます。
それはマルコ!
私も今月号を読んでてマルコの名前が出てきた瞬間「ひええ」って思ってしまいました。
そうかここでマルコが出てくるか。
そうそうジャンは親友マルコの死を背負ったから調査兵団なんかに入ってしまったのでした。
ゆうても両国の戦争絡みで犠牲になった人は大勢います。
エレンの母カルラもサシャもそうなのですが、でもマルコに関してはずっとジャンの心の奥にしまわれてて、これまで特に話題にされることもなくて、なんか聖域のような扱いになってるわけですよね。
そこが今急に晒されて、緊張感マックスです。
しかも殺した実行犯二人が今目の前にいるし!
アニがマルコを殺した過程を語り始めます。
彼女は自分がいろいろやらかした行為の罪の重さを自覚してる感じだし、たった今ミカサを怒らせてしまった気まずさもあってか、神妙に供述を始めますが、そこにライナーが口を挟んでしまいます。
ライナーはビクビクオドオドしてて、なんか、罪の自覚というより、緊張感に耐えられないだけにも見えます。
相変わらすメンタル弱いねえ。ガビより弱い。
ライナーが「マルコをどうやって殺したか」を語り、ジャンの脳裏にマルコの死体がフラッシュバックされて、なんていうか、彼らにとっては7年前の過ぎた事なんかじゃなくて、今の問題であることが生々しく伝わってきて、重苦しいったらありゃしないです。
しかしジャンは立派な対応を。
ライナーは(アニも)やったことの重みを理解しているし、殺人はお互い様だし、今は団結が必要で、マルコの最期の言葉だった「話し合う」ことが大事なのだから、そうすべきだと、この場のまとめに入ります。
もうこれでみんな言いたいことは言い終えたよな?
あとはもうさっさと食事を済ませて寝て明日に備えよう。
……とはなりませんでした。
ライナーが、ライナーの奴がグチグチウジウジと、マルコ殺害の懺悔ごっこをまだ続けようとします。しつこい。
ジャンが「もういいって」って言ってもやめません。
そしてライナーの一言「すまない」、この一言でジャンついにブチギレ!
ここまでみんなで挑発し合ってそれでもギリギリ乱闘にはならずに済んでたのに、ライナーのあまりの卑屈さが、ジャンの感情を爆発させる引き金になってしまいました。
猛然と殴りかかるジャン!
(いち早く食器をしっかり持ったまま避難するアニ!)
何も抵抗せず殴られ続けるライナー!
止めに入るコニーとアルミン!
なんでしょう。ここはライナーがあまりに卑屈だからジャンはキレたんですよね?
マガトのように自分を正当化でもされたのなら、むしろこちらも怒るっていうスタンスを取りやすくなります。
怒りをほどほどに適度にぶつけるってことができなくなったから、ジャンは申し訳なさそうなライナーの告解に一度は許す姿勢を示したにも関わらず、それでもウジウジを続けるライナーに感情の落としどころを失ってキレた。
……なんて気持ちなのかなと私は想像しました。ジャンちょっと泣いてますよねこれ。
ジャンは一瞬のうちにライナーを徹底的にボッコボコにしました。人間だったら死ぬレベルのやつ。
二人に止められてもなお蹴りを入れるジャンの前に飛び込んできたのはガビでした。
年端もない少女の脇腹を思いっきり蹴ってしまって、ジャンはようやく落ち着きを取り戻しました。(肋骨折れなかった?)
胸が痛くなるシーンです。
ガビもライナーと一緒なんですよね。
ガビも、レストランでカヤにこうやって激昂されて刺し殺されそうになってましたから。
でも、思い返してみればガビは制裁とか報復とかを自身の身に受けたシーンは今までまともにありませんでした。
サシャを射殺した直後もジャン達に殺されずに済み、ニコロが激昂したときもファルコが身代わりになり、カヤのナイフもミカサが止めてくれました。ブラウス一家やナイルにもいろいろ庇ってもらって。
彼女が明確に痛い目に遭うのはこれが初めてだったと思います。たぶん。
さて、ガビ自身が蹴りを食らったことを「自分はそうなって当然」と思ってるのかどうかは分かりませんが、彼女は蹴られて辛そうにしながらも謝罪の言葉を口にします。
彼女はマーレのプロパガンダに染まっていたとはいえ、そもそもサシャを殺したのはエレンに戦士候補生仲間のウドやゾフィアを殺されたからで、両国の報復の連鎖の被害者でもあるのですが、ここで謝罪することができたのは立派です。
これまで両国もマガトもジャンもみんなこれができなかったからこんな泥沼になったのかも。
ともあれこれで食事会はお開き。静かに退場するジャン。
で、ここの、失意のガビにマガトが手を差し伸ばそうとしてできなかったシーンが、何気に今月号で一番印象的なシーンでした。
彼もガビの必死の訴えの重みが身に染みたようです。
ジャンも翌朝には戻ってきて参戦してくれましたし、このチームの「結成式」は奇しくも成功したってことでしょうかね。
ただ少し不満だったところもあって、アニがジャンに「私のとこも許せないと思ってるのか」を聞いたのにジャンのリアクションが省略されたところ。
激昂して殴るほどではないにしろジャンはアニに対してもしっかり「お前も許せねぇ」と言ってあげるべきだったと思います。
そして一行は島の港に向かいますが、フロック率いるイェーガー派に先回りされててキヨミも捕まってて戦闘態勢になってました。
戦力的に言えば、オールスターズにはじゅうぶん勝ち目があります。
ミカサ、車力の巨人、鎧の巨人、女型の巨人、まだ頼りにはできないけど顎の巨人もいますし。(でも硬質化はもう使えない?)
しかしだからって、また戦って殺し合うの?以下次号。
ところで私はミカサ達14人を勝手にオールスターズと呼んでるのですが、なんか正式な呼び方が欲しいですよね。連合軍とか反乱軍とか。
あと最後にどうでもいいことですが、今回の感想ブログは5500文字を超えてしまい、私が進撃の巨人の感想書くようになって最長になってしまいました。
なんでこんなに長くなったのか自分でも全然分かりません。書き終わるまで何日もかかっちゃった。