週刊少年ジャンプ Dr.STONE Z=53 「スパルタ工作クラブ」
今週のサブタイはスパルタとあり、厳格とか過酷って感じの慣用句ですが、内容はそれとは逆で、生活が快適になっていくことや、物を作ることの喜びに満ちてて充実感のある話でした。
科学文明を完全に失った原始人相手に、すごい道具や技術を披露して喝采を浴びる千空は、やっぱり最近流行の「なろう」の要素があります。
「なろう」については以前ブログに書いたことがあります。
千空はなろうではあるけど、そんじょそこらのなろうとはレベルが違くて、彼が村人にもたらすものの具体的な凄さと感動がBoichiの作画と、稲垣理一郎のシナリオと、くられの科学監修のおかげで如実に伝わってきます。
何千年も生きてきた石神村は、人口40人程度しかいなく、発展どころか細々と命を繋いでいくだけで精一杯の貧弱な村落でしたが、ある日突然やってきたよそ者千空のおかげで生活が格段に向上していきます。
知と喜びをもたらす賢者みたいな。
最近「サピエンス全史」って本を読んだんですけどそこには、ホモサピエンスは最初は無知な原始人だったのが、認知革命、農業革命、宗教と貨幣の誕生、科学革命、資本主義の誕生っていう段階を経て物凄い科学技術を得た…とありましたが、ここの村人達はまだ農業も知らないうちから3,4段階くらいすっ飛ばして一気に最先端の科学技術を学んでいることになります。
凄すぎて「なろう」の一言を超越したレベルになってます。
教えることが可能なのは、 村人は科学どころか文字すらも失ってるのに会話能力だけは現代人並みに持ってるからです。
その功績は千空の父、村の開祖百夜の口伝「百物語」のおかげなのでしょう。
さて、水車を自力で作ったクロムとカセキ老人ですが、なぜもっと早く水車を作らなかったのかと当然思うわけですが、それは単純にスケジュールの問題、作らなきゃいけないものが山積してて余裕がないからです。
千空はクロムとカセキをあなどっていたわけです。
時間をかけて水車の概念を一から教えて模型とかで理解させて製作を指揮してあげないと作れるわけないと。
でも違ってて二人は自力で作ってしまった。
彼らは原始人だけどレオナルドダヴィンチくらいの知能と技術があるってことなのでしょう。
水車って最初は製粉とかの農業のためにできたものだったんですよね、確か。
でもこの村は農業もまだないうちからそれをすっとばして、いきなり発電や製鉄といった第二次産業のために使われて、村人の驚愕や感嘆は計り知れません。
動力が機械化されたので人的労働力を狩猟採取に充てることができて、そっちの方面でも、鉄のスコップとかビンでの衛生的な食品保存とかで生活が格段に向上しています。
それに医薬品もありますし。
医薬品サルファ剤は今後の司帝国とのやりとりでもキーアイテムになる予感。
ワイン作りのブドウ踏みしてるルリとコハクがかわいいです。
そして物作りはついに電球にまで。
電球を手作りするのは超大変そうですが、カセキが「楽しい」と呟いています。
なんかこのシーン、じーんときました。
60歳のじいさんはこれまでに村人が何人も死んでいくのを見てきた筈です。
死産とか肺炎とか食中毒とか破傷風とか、どうして死んだのか全然わからないまま。
(あちこちにある石像もなんのことかわからなかった)
でもそれらの死にはしっかりと原因と対処法があることを知る人物が現れて、生活がどんどん改善していって、どれほど嬉しいことでしょう。
この老人の胸中を思うとちょっと胸が熱くなりますね。
この漫画は次から次へと作業や事件が息つく暇もなく発生するので、人の心に迫る場面は少なくて貴重です。
もうちょっとこういうの増やしてもいいと思うけどなあー。
Boichiはオリジンのほうではそういう心理描写かなり重視して執筆してますし。
そして電球も完成!
村の文明レベルが19世紀くらいにまで向上してます。
やっぱりこの漫画は物作りしてるのが一番面白いかもしれません。
プロジェクトXみたいな感動すらあります。
物語が進んで人口が増えたら、法律とか貨幣とかも、メインテーマの科学からはややずれますが、そういうのを構築する話も見てみたいものです。
ゲンは最近は見ててリアクションするだけですが、彼が活躍できそうな分野もまだまだありそうだから、この漫画まだまだ可能性あります。
あと他に、今週読んでてちょっと気になったのは、千空たちはたびたび硫酸の採取にも行っているようだから、道中に氷月隊の雑魚マッチョ5人の死体があるのも見た筈です。
あれはどうしたんでしょう。
それとほむらは今でも一人で寒空の下で監視続けてるんでしょうか?
そもそも一人で監視って不可能ですよね。
食料の確保も含めたら4,5人はいないと監視どころか生きていくのすら難しいと思うのですが。
次回へ続く!