週刊少年ジャンプ 大石浩二 「トマトイプーのリコピン」
今週はとても素晴らしかったです。
見た瞬間に吹き出しました。
「こぐまのケーキ屋さん」をドパクリして、ちゃんとリコピン流のパロディとして料理していて見事でした。
この漫画は面白い回が多くて好きで読んでいるのですが、主人公のリコピンが突出してつまんないキャラだと感じていました。
面白い回はリコピン以外のキャラが面白いという。
最近では「鉄オタ」&「オタサーの姫」&「サークルクラッシャー」&「ちょっといい話」の題材を見事に合わせた回とか最高でしたが、これもいいキャラだったのは姫ラブリンたちでしたし。
でも今回は起死回生というか、リコピンのことを「面白い」と思える主人公面目躍如な回でした。
しかもこぐまをパクるという清々しいまでの卑怯さが笑えました。
こぐまはツイッター発祥の漫画でしたが作者カメントツは元からサンデー系でよく活動していて単行本も小学館のサンデーのレーベルから発売されてましたので、これはジャンプ作品がサンデー作品をパロディにしていることになります。
こういうの少し前までは考えられなかったことです。
以前のジャンプはサンデーやマガジンなんかこの世に存在しないかのように無視して誌面形成していてましたから。
確か、漫画業界を描いた物語バクマンですらマガジンやサンデーの作品についてちょっと話題に出す程度のこともなかったかと。
そういう意味でもちょっと漫画業界の新しい空気を感じたりもしました。
こぐまはカメントツが傷ついた友人のために癒しの漫画を描いたのが誕生のきっかけだそうで、徹底的に「癒し」とか「優しさ」とか「救い」のようなものに純化した作品です。
それをリコピンが徹底的に俗物として茶化すというかなりの元ネタぶち壊し系のパロディで、全く遠慮がないところがよかったです。
絵柄とかページデザインとか、こぐまの店長のオールひらがなで改行位置がおかしくてたどたどしさを演出する喋り方も完コピ。
「いいのかよ」と思っていたらカメントツからは許可をちゃんと得ていて安心しました。
プロレスだプロレス。
それと小ネタもよかったです。
リコピンが自作自演で食べログにレビューするHNが「トマトが主食」で、これ食べログの「うどんが主食」の胡散臭い接待疑惑事件のネタで、これまた際どいところつっついてるなあーと思いました。
リコピンはせちがらい現実社会をよくネタにする漫画で、大石自身や漫画業界についてもネタにすることがも多く、漫画業界もかなり厳しいようで大石もいろいろ執筆大変なんだろうなあーと思わせることもしばしばあるのですが、なんか今週の話を見たら、まだまだできることあるんじゃないかって希望のようなものすらも私は感じました。
頑張れ大石!