マイケル・サンデルの「これからの「正義」の話をしよう いまを生き延びるための哲学」を読みました。
2010年出版のちょっ昔の本で、以前読もうとしたけど一度挫折した本です。
今回再挑戦してなんとか最後まで読み終えました。
でも難しくて本の内容は半分くらいは頭に入ってない気がします。
読もうと思ったのは、単に大ベストセラーだから。
何も知らないままなんとなくかじってみようと思っただけです。
政治哲学の本でした。
ハーバード大学のサンデル教授の講義をそのまま本にしたような本です。
昔一度図書館で借りたときは、すごく読みにくくて予想以上に時間がかかったのと他にやりたいこともあって返却期限が来てしまって、未読のまま返したという散々な結果でした。
今回は最後まで読み終えたものの、やっぱり難しくてただ文字を目で追っただけなところもめっちゃ多かったです。
普段から読書が習慣になってるガチの読書家な人か、元々政治哲学の教養がある人じゃないと太刀打ちできない本じゃないでしょうか、これ。
アリストテレス、イヌマエル・カント、ジョン・ロールズ、ジェレミー・ベンサムといった哲学者の名前と彼らの主張を元々多少は理解してる人。
教授は各章で次々とこれらの哲学者と主張を紹介してくれるのですが、頭が理解を追いつきません。
適当なうろ覚えのままでページを進めてしまうとすぐ次の理論が登場してうろ覚えの悪循環。
読書は軽い気持ちでぺらぺら読みたいと思うような私のようなタイプには超てごわい本でした。
めっちゃ難しい…。
でも、この本、奥付を見てみたら初版から5ヶ月で104版も発行してるというとんでもないベストセラーっぷりです。
当時この本買った人たちはみんなちゃんと理解して読んだのかなあー。
そうだとしたらみんなすごい頭いい人たちだと思います。
さて本の内容は、超大雑把に言って、「なにが正義なのか?」ってのを考える本でした。
超難解な本ですが、要所要所で事例をめっちゃたくさん挙げてくれてるので、私でもイメージしやすいようにしてあるのがよかったです。
「トロッコ問題」はこの本で有名になったんでしたっけ。
他にもいろいろ、自分が生まれる前の世代の自国民が他国民を苦しめた歴史があったときに、今の自分がやった罪でもないのにその他国に謝罪すべきか?とか。
足に障害があるゴルファーが自分だけグリーンをカートで移動したら不公平になるのか?とか。
インパクトがあったのは、冒頭にあった「つかみ」ネタ、「アフガニスタンのヤギ飼い」の話でした。
私はこの問題に「ひえー」ってなって興味を引かれたから、こんな難しい本でも読む気になったようなものです。
2005年アフガニスタンでタリバン偵察の任務についてたラトレル二等兵曹は、秘密の任務なのにうっかり現地のヤギ飼いと遭遇してしまいます。
その場の4人の軍人はヤギ飼いを捕まえますが、殺すか解放するかのどちらかしかありません。
ヤギ飼いがもしタリバンの手の者だったら解放したら密告されて任務失敗するのは目に見えてます。
4人はその場で投票し、ラトレルは「解放する」に1票入れました。
結果は解放2票、殺す1票、棄権1票で、ヤギ飼いを解放しました。
その1時間後に4人はタリバン兵の集団に包囲されて戦闘になってしまいました。
ラトレル以外の3人は死亡、援軍の米軍ヘリも墜落して乗員16人も死亡。
結局、ラトレルだけが生き残って、19人の戦友が死にました。
つらすぎる話です!
ラトレルは後に、自分の投票を後悔していると語りました。
しかし、ヤギ飼いが本当にタリバンの手の者かは不明なままです。
こんな事例を次々を出して「解放するのと殺すのとどっちが正義?」みたいに問いかけてくるような本です!
私には、どう答えたらいいのか、反対意見の人をどう説得したらいいか、全然わかりません。
うーん、殺す、かなあー。
軽い気持ちで読んでみたら大やけどをしたような気分になれました。この本。
これからの「正義」の話をしよう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: マイケルサンデル,Michael J. Sandel,鬼澤忍
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/11/25
- メディア: 文庫
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