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「猫にGPSをつけてみた」感想 猫にGPSをつけるまでが長い!

雷鳥社 高橋のら著「猫にGPSをつけてみた 夜の森 半径二キロの大冒険」って本読みました。

 

東京から大分県の山に移住した人が、タイトルの通り猫を拾ってGPSをつけて放し飼いにする本でした。

 

人も車も住宅も無い田舎の里山でないとできない芸当で、かなり珍しい猫の飼い方の記録が見れる本。

 

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猫の放し飼いなんて、よっぽどそれに適した条件を満たしてないと不可能ですが、著者はその「よっぽど」を満たす環境に恵まれて、それを実行します。

 

そして猫にGPSをつけて、その記録が見れるわけですが……。

 

この本、そこに至るまでの話があまりに長いです。

 

GPSの話が出てくるのは本の最後の1割ほどです。

 

そこは正直に言ってマイナス点。本のタイトルに中身が伴ってません。

 

 

また、9割は猫拾って飼う話の猫エッセイなのですが、このへんはなんていうか、いかにもな猫エッセイ本特有の構文って感じの文体で、私にはちょっと鼻についてきつかったです。

 

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とは言え、この本は題材自体がやっぱり面白く興味をひかれます。

 

あと分かりやすくもあります。猫にGPSつける経緯もじゅうぶん過ぎるほど詳しく書かれているので。

 

 

 

さて。著者はプロフィールによると東京生まれの編集プロダクションの初老じいさん。

 

老後は妻の実家で田舎スローライフしようとしてたらしく、それを少し早めに実行した人です。

 

で、大分の田舎の里山、本当に周囲が森で近所の住宅すらもろくに無い山に移住しました。

 

そこで6匹もの子猫を拾います。

 

そして野良が著者に気を許すまで、自宅に住まわすまで、全猫に避妊手術するまで、などなどの長~い話を経て、著者は6匹を「完全放し飼い」にしました。

 

自宅の猫ドアはいつも開けておいて、いつ家にいてもいいし、いつ外出してもいい。

 

食事は決まった時間に森に音を鳴らして合図し、猫たちはその時間には必ず家に戻るようになるまで教育してのけたんだから大したものです。

 

 

 

猫の放し飼いは、都会では完全無理だし、田舎でも今の時代はちょっと難しいでしょうか?

 

地域猫とも「餌だけあげてる野良猫」ともちょっと違う形の飼い方です。

 

しかし、人っ子一人いない森でなら確かに可能でしょう。

 

私はいいと思います。

 

 

 

しかしまー完全放し飼いとなると、生きるのも死ぬのもそいつの運命で自然の摂理だっていう観念も感じますね。

 

それはそうなのだと思いますが、でも猫の一匹が数日帰ってこなかったことがあり著者はやっぱり心配になって、山の中を探し回ったけど見つからなくて、でも猫は何事もなかったように帰ってきて、GPSで猫達の行動範囲を調べる気になりました。

 

そこからの話はなかなか期待通りに面白いです。

 

小っちゃいGPSロガーを首輪に装着して。

 

 

 

猫達は著者の予想より遙かに広範囲をうろつき回っていました。それも真夜中に。

 

猫達は日中には著者と一緒に散歩するのが日課で、その範囲は大体半径300メートル

 

そして夜10時には就寝し、朝5時に起床してそのまま猫も朝食。

 

猫は著者と一緒に寝て一緒に起きます。

 

しかし。猫達は実は著者が寝た後の真夜中に起き出して、また深夜の散歩に出かけていたことがGPSのログを見て初めて判明したのだそうです。

 

その行動範囲はなんと半径2キロメートル

 

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夜中の1時とかに家を出て、明け方4時過ぎくらいには必ず帰ってきて、著者のそばで再び寝て、5時に起きて朝食。(著者はそれに気づかずずっと熟睡)

 

驚きの結果です!

 

 

一般的に街中の野良猫や地域猫は縄張りは半径100メートルほどです。

 

桁違いの行動範囲です。

 

しかも明かりの無い真夜中の森を何キロも歩き回って、決まった時間に帰宅できるのが凄過ぎます。

 

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猫ってそんな能力あったのね。

 

でも普通の猫はそんな能力を発揮する機会(あるいは必要性)が無い一生を送ります。

 

こんな特殊な環境だからこそ判明した「世紀の大発見」、と言っても過言では無いと思います。

 

面白い本でした。

 

私は動物の本も好きですが、ペット愛護の匂いがきつい本は苦手で、この本にその匂いは多少はあったものの、他ではなかなか知れないことが載ってる稀有な本だと思いました。

 

 

ちなみに著者の6匹の猫達は、著者の前では6匹で共同生活をしてるのに、夜中の散歩は全猫全く別々に単独行動するんだそうです。

 

なるほどなあー。そのへんも面白い事実でした。まさに猫。

 

 

 

 

 

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