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2024年の「刃牙らへん」はどうだったのか? 本編とスピンオフとの密度の反比例

2024年の「刃牙らへん」を振り返りたいです。

 

今年はひたすらジャック・ハンマーの年でした。彼が試合を二つ、あと勇次郎と食事をする話で2024年は終わりました。

 

そして本編とは別に、今年はバキシリーズからのスピンオフ作品が充実して「しまってる」と強く感じた年でもありました。私は、バキシリーズに限らず、本編よりもスピンオフが充実することをどうしても素直に喜べないひねくれ者です。

 

まずは純粋に2024年次の「刃牙らへん」の感想を。

 

一年間で週刊少年チャンピオンに掲載されたのは25回。これは平年通りです。

 

そして今年5月には単行本シリーズ1億部突破したという華々しい実績を達成しました。それは間違いなく賞賛に値する形ある偉業です。

 

1991年から33年かけて達成されました。2012年に3部「範馬刃牙」で一度完結したような感じになったのですが、2014年に4部「刃牙道」が始まり、そこの空白期間を除けばずっと継続して連載してて本当に素晴らしい偉業です。(ちなみに空白期間も他誌で「謝男」を執筆活動してました)

 

連載ペースが昔と違い今はほぼ隔週になってることに対しても私はそれでいいと思います。作者板垣恵介が日々自分の心身の健康を維持しながら可能なペースで執筆する体制であってほしいと心から思います。

 

 

 

で、その本編はというと、2024年はまずは地下闘技場でジャックと鎬昂昇との試合。ジャックは苦戦らしい苦戦もせず「噛道」で圧勝。

 

(ちなみに花田はここ以降消えました)

 

続いてはジャックが勇次郎に呼ばれ、高級ホテルでごちそうを堪能する話。

 

 

そしてジャックは次はピクルと出会い、彼と試合。……という一年でした。ちなみにジャックは新年号ではピクルにこれまた快勝してます。

 

本当にジャックジャックジャックの一年でした。で、私としてはこの3編では食事の話が一番面白かったです。

 

ジャックにとっては高級な食事や酒どころか、こういう待遇を受けること自体が人生にとって初めてで、しかもそれが父からのもので、それが彼にとっては最上級に報われることだったと。というか彼は「認められる」「報われる」ことそのものに飢えていたと。

 

 

そこにはドラマがありますね。ジャックは一昨年には野見宿彌にも勝ち、昂昇にもピクルにも勝ち、闘技場では勝利の愉悦に満たされて快進撃。また、バキも兄を見てそれを理解してます。そういえばバキも過去、高級ホテルや自宅のバキハウスまた路上でのエア食事などなど、父との食事、父に認められる、ということを経てきましたし。

 

また料理の絵もすごくおいしそうでした。

 

とま、今のジャックは、かつて本部が大活躍したときのように、彼のキャラクターやドラマがじんわりと描かれてて、読んでて結構じんわりと伝わってきます。

 

しかし二つの試合のほうは正直ありのままに言って予定調和だと感じました。これは過去の相撲編とかから言えることですが、展開がローテンポな上連載ペースが遅いので、どうしても内容が希釈されて感じてしまいます。

 

ところどころには「お!」って感じる部分はあるんですけどね。ピクルが喋るところとか。花山の優しさとか。これで本編全体がもっと濃密だったら最高なんだけどなあー。

 

 

で。その密度なのですが、同じくチャンピオンで月イチ連載されてる「ゆうえんち」がそれはもう濃厚で読み応えがめちゃくちゃあります。その対比を大きく感じた。というのが今年のバキの印象です。

 

 

 

バキのスピンオフ作品。いろいろあります。現在精力的に連載中なのが。

 

ゆうえんち 〜バキ外伝〜

 

バキ外伝 烈海王は異世界転生しても一向にかまわんッッ

 

バキ外伝 ガイアとシコルスキー〜ときどきノムラ 二人だけど三人暮らし〜

 

バキ外伝 花のチハル

 

の4作です。

 

また連載が終了あるいは休止状態にあるのが。

 

バキ外伝 疵面-スカーフェイス-

 

バキどもえ

 

バキ外伝 拳刃

 

の3作です。

 

外伝漫画が充実しまくりです。

 

 

どれも最低目を通したことはありますが、特にゆうえんちと烈海王は本当に面白いです。

 

 

ゆうえんちは私自身が久我重明のファンなのもあり、本当に素晴らしくていつも楽しみに読んでます。

 

しかし、そうやって楽しみつつも私の中ではスピンオフばかりが充実するのは歓迎しにくい気持ちが同時にどうしても存在します。

 

 

 

世の中スピンオフがやたら多い漫画ってありますよね。例えば「はたらく細胞」とか。

 

はたらく細胞はいいです。本家本元はちゃんと完結してるので。その後で付け足しとか便乗とかがあっても完結した作品はもう「完成形」なのでそれが毀損されることはありませんから。(ちなみに「続編」や「他人による続編」問題は全く別の話なのでここでは触れません)

 

しかし完結してない作品のスピンオフが本編よりも充実してしまうとどうもひっかかります。特に「本編はもう機能してない」「作者はもう本編を完結させる意志がなく、過去の栄光を利用して他人が描いたもので稼ぎたいだけ」みたいなのが透けて見える場合は。

 

その例の最たるものは「カイジ」です。カイジは本編の連載はもう死んでると言っていい状態なのに、そのスピンオフ「1日外出録ハンチョウ」は元気で、実際読むと面白いんです。私はハンチョウを読んで笑ったり感心したりするのですが、そうすればするほどカイジの本編が疎かになってる事実が心に残り続けてしまいます。

 

 

翻ってバキにも「そうなってしまうのではないか」という気持ちがあるんです。

 

バキシリーズのスピンオフはどれも去年以前からありましたが、今年はゆうえんちや烈海王の面白さが本当に印象的でした。

 

スピンオフがあるのはいい、充実するのもいい、でもそれを心置きなく楽しむには本編がそれ以上に充実してることが条件だと思います。

 

バキは連載が維持されてるだけカイジよりは天と地の差があるほど素晴らしい状態だと言えます。でも、やっぱり、だからこそ、もうちょっと濃密になってほしいと願わずにはいられません。

 

連載ペースはゆっくりでもいいので、物語はどんどん動いてほしい。今年はそんなことを改めて強く思いました。がんばれ!バキ!

 

 

 

 

 

 

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