いもしない生き物のためにわざわざそれ専用の一文字の漢字が用意されてるのって面白いですよね。
「龍(竜)」とか「鵺」とか「鬼」とか「鯱」とか「獏」とかです。
シャチやバクは今は実在する動物の名前ですが、そもそもその名前をつけるときに逆に空想上の動物の漢字を持ってきたのでそうなっちゃってます。
ついでに「麒麟」もそのパターンです。「麒」「麟」も一応それぞれ非実在動物を一文字で表す漢字です。
そういや「鳳凰」の「鳳」も「凰」も一文字漢字の非実在動物です。
あと「魑魅魍魎」の「魑」「魅」「魍」「魎」もそれぞれ一文字妖怪なのだとか。
このへんは龍とかに比べたらマイナーですが、立派な一文字で非実在生物を意味する漢字です。
「狛犬」の「狛」もそうです。
私が今思いつくのはこのへんですが、きっともっとあると思います。
全部古代中国で生まれた漢字でしょうね。
古代では新漢字をバンバン発明しまくりでした。だからマイナー妖怪にもそれ専用の一文字漢字がわざわざ作られたのでしょう。
でも現代中国では何か新しい概念や言葉が誕生したときに、それ専用の一文字の漢字を新しく発明することは基本的には無いそうです。
日本も似たような感じではあります。例えば「河童」や「天狗」とかは日本オリジナルの妖怪ですが、既存の漢字の組み合わせで成立してて、それ専用の一文字は誕生しませんでした。
和製漢字(国字)はいくつもありますが残念ながら非実在生物を意味する国字は無いようです。惜しい。何が残念で惜しいのかは知らんけど。
ただし「件(くだん)」という一文字の日本妖怪はいます。でも国字ではなく古代中国では妖怪とは関係なく人が牛肉を解体して「区別する」という語源の字で、日本人がその部首から半人半牛の妖怪として流用したのが由来であり、妖怪のために誕生した漢字ではないのが惜しいです。
ところで話がずれますが、西洋の非実在生物の名前を和訳する際に、上に挙げた一文字が使われることがありますね。
ドラゴン→龍
キメラ→鵺
オーガ→鬼
とか。
当然ながら両者はそれぞれ厳密には違うものなのですが、ドラゴンと龍は似たようなもんなのでもう同じってことにしていいじゃんみたいな扱いになり、そのことが逆に、世界にはもとからドラゴン属が存在してて、それを東洋では龍と呼ぶようになってるみたいなイメージになってる気がします。順序が逆。
強引な和訳をしたことで一文字漢字の解釈の枠組みを拡げてしまったみたいな。
複数漢字では、 アラクネ→女郎蜘蛛(絡新婦) ハーピー→姑獲鳥 とかの例もあります。(いやこれはゲームの世界のクラスチェンジとかだけかな)
ただ漢字の意味や解釈が変化すること自体は普通に起こることです。
「釦(ボタン)」なんかがその例です。
もともとの古代中国では「金属の飾り」って意味にすぎなかったそうです。それが服の留め具に使われるようになり、そこからさらに機械のスイッチの「押しボタン」を指す言葉にもなったりしました。
あと、本来は別々な存在が似たようなものなので同じ存在ってことにされるのも珍しくはありません。ローマの海の神ネプチューンとギリシャの海の神ポセイドンみたいな。
話を戻して、結局私が知ってる漢字一文字非実在生物は、龍、鵺、鬼、鯱、獏、麒麟、鳳凰、魑魅魍魎、狛、件の15文字です。
でも他にも解釈が変化したりして妖怪か何かを意味するようになった一文字漢字もきっとあると思うんです。
もしあったら是非教えてください。
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