石川県の「令和6年能登半島地震」が元日に発生し、日本の新聞各社は1月2日が休刊日で翌1月3日にこぞって社説でこの震災を扱いました。
新聞の社説はネットで閲覧できますが、なんかどれも印象悪かったです。
「全力を尽くせ」とか命令してるのが。
読売新聞。
「能登半島地震 倒壊家屋の捜索に全力尽くせ」
朝日新聞。
「震度7 能登半島地震 人命救助と支援に全力を」
産経新聞。
「能登半島地震 救命救助に全力尽くせ 国民一体で被災者を支えよう」
毎日新聞。
「能登半島で震度7 人命救助と支援を全力で」
東京新聞。
「能登半島で震度7 命守る行動を最優先に」
日本経済新聞。
「大地震の二次災害を防ぎ救助と支援急げ」
何が「全力を尽くせ」なんでしょうね。
関わってる人みんな全力を尽くしてるに決まってるじゃないですか。
新聞の社説がいつも上から目線で偉そうであることは、本当に今更で何言っても詮無いことなのでしょうが、さすがに今回は読んでて心底嫌な気分になりました。
読売「政府や自治体は、被災者の救出と避難者への支援に全力を挙げてもらいたい。」
朝日「救出を急いでほしい。」
産経「一人でも多くの命を救うために全力を尽くしてほしい。」
毎日「医療を守るための手立てを尽くすべきだ。」
東京「あらゆる手だてを尽くしてほしい。」
日経「被災者支援に全力を挙げてほしい。」
よくもまー6紙揃ってこんな無神経な物言いができるものです。
政府も自治体も消防も自衛隊もみんな今現在も新聞なんかに言われなくても全力を挙げてるし救出を急いでるしあらゆる手立てを尽くしてるのに。病院やコンビニやスーパーやガソスタなどなどの従業員もみんなみんな。自身も被災者だったりするのに。
まさか「まだ全力出せてないからもっと頑張れ」とでも言いたいんでしょうかね。
最悪なのは日経で「被害の全容把握が遅れたことは反省すべきだろう。」とまで言ってます。反省は後でやるべきことで今させることじゃないでしょう。
毎日が原発を絡めてることも卑劣。原発職員が今一番すべきなのは実作業であるはずなのに、説明の記者会見にリソースを割けって意味なんでしょうか。
例えば、消防署とかの署長が今まさに出動する消防士たちに「全力で行け!」とはっぱをかけるなら普通に納得がいきます。
あるいはそれを見た通行人や野次馬が「頑張れー!」とか声をかけるのもまー分かります。
でもマスコミ様が「全力尽くせ」って言うのは、まるで自分が署長気取りであるかのような高慢さしか感じません。
ねーマジで新聞って震災が起きて言う第一声が「全力尽くせ」なの?
他に無かったの?
もし私が論説委員だったら、「我々は犠牲者を哀悼し、今まさに必死で作業してる全ての人に心から敬意を表し、それを全力で支援したい」って感じの全く逆のことを真っ先に書きますけどね。
東京新聞はほんの僅かにそれができてはいます。私は普段は東京新聞全然支持してないけど、ここだけは各社で一番ましでした。本当にほんの僅かですけど。
ちなみに朝日は猛暑の炎天下で野球する高校生にはよく敬意を表明して手厚い支援を訴えてます。
で、こんなブログを書いてる被災もしてない私自身は、できることと言えば、せいぜい小銭を募金する程度です。
震災の当事者関係者に今言えることなんて何も無いです。「頑張れ」すらとても言えません。これから何か言いたいことが浮かんだとしても今は言わないです。
でも無関係なくせに偉そうなことしか言わない新聞には今ちょっと言いたくなりました。本当に気分の悪い社説でした。
政府や自治体とかに不正や怠慢があったか検証することは必要ですが、それをすべきなのは今の今じゃないです。
そして、新聞各社の皆様におかれましては、自分らの震災報道の在り方についても今後徹底検証していただきたいものです。