餓狼とは文字通り餓えた狼のことです。漢字は「飢えた」でも同じです。
で、じゃあ餓狼に何か餌を与えて食べさせて空腹でなくなった瞬間に餓狼は餓狼ではなくなるのでしょうか?
結論から言いますとNOです。
(↑の画像はhttps://www.photo-ac.com/ にあったシンリンオオカミのフリー素材写真。餓えてないので餓狼ではない?)
さて、狼と餓狼の違いとはなんでしょうか。
「餓えてるか餓えてないか」なわけですが、そもそもそれはどう決まるのでしょうか。
ただ単に、空腹だったら餓狼で、何か食べてお腹が満たされたらただの狼だ、なんてのは決して次章の正鵠を得た表現とは言えません。
考えてもみてください。
例えばその一生のうち空腹である時間が9割以上ある餓狼が数少ない食事にありつけてるときに、空腹が満たされる1割以下の時間内にだけ「お前は餓狼ではない」なんて言えますでしょうか。
狼か餓狼かを、判別する瞬間だけの空腹度で区別するのはあまりに乱暴です。
交通違反が多いドライバーがたまたま問題ない運転をしてるときだけを見て「こいつは優良ドライバーだ」なんて言うようなものです。
狼は餓狼かはその瞬間の空腹度で決めるのではなく普段の生活様式で決めるのが妥当な評価と言えましょう。
また餓狼とは文字通りの単にハラペコ狼というより、あくまで比喩や称号のような意味合いが強い言葉です。
人間に対しては……フィクションでだけなら誰かを餓狼と呼ぶことはありそうですね。
ゲーム「餓狼伝説」のテリー・ボガードとか。小説「餓狼の弾痕」の世見月明とか。
いや彼ら自身が餓狼かどうかは知りませんが。
テリーはワイルドウルフって異名がありましたっけ。意訳すれば餓狼ですかね。
で、そんな彼らを「お前は人間だから餓狼と呼ぶのはおかしい」ましてや「お前は今空腹でもないから狼でもないし餓狼でもない」なんて言うのは的外れにもほどがありましょう。
誰かを餓狼と呼ぶのは自由だし、自称するのも本人の自由です。例えば絵がヘタクソな人が「私はイラストレーターです」と自称しても自由なように。
もちろん絵の実力が伴ってなければイラストレーターの名折れであり「言ってるのは自分だけ」という情けない状態になるのは当然でもありますから、餓狼も、餓狼を自称する人が餓狼らしいふるまいをできてなければそれも餓狼の名折れとなります。
よって結論として、餓狼とは、そいつが人だとか狼だとかも関係ないし、そいつの現在の空腹度も関係ないということになります。
あなたも今日から餓狼になれるのです。