プリパラであった。
パラ宿の中心に聳える店、プリズムストーンから入れるアイドルのテーマパーク、それをプリパラと言う。
その入り口に、一人の女が立っていた。
女と言うよりは、少女であった。それも子どもと言っていい年齢であった。
名を真中らぁらと言う。
小学6年生であった。
小学6年生であった。
小学6年生であった。
しかし、らぁらの姿はその実際の年齢よりはいくぶん年上に見えた。
それは、プリパラでは自分の年恰好を自由に変えることができるかららしい。
髪は地面に届こうかと言うほど長く、それを二つに束ねてあった。
体は女の肉付きになりつつあるが、手足は細く長く、しかし、華奢でありつつもしなやかさもあり、活発によく動いていた。
そして、大きな丸い目が、何より特徴的な少女であった。
その大きな目だけは姿形を変えたものではなく、らぁらの生来のものであった。
その目こそが一瞬、らぁらを、女なのか少女なのか子どもなのか、より分かりにくくさせていた。
見る者を惹き付ける人懐っこい無邪気さと、秘めた底知れぬ力と、両方を湛えたような目であった。
そういう、少女であった。
「ここがプリパラだよ」
らぁらは言った。
いったん喋ると、声も、口調も、らぁらは年相応に幼かった。
らぁらの隣に、男が立っていた。
らぁらはその男に道案内をしていたのであった。
異様な男であった。
黒い男であった。
全身を黒い服で包んでいた。
シャツも、ネクタイも、ズボンも、靴下も、靴も黒い。
そしてその上に黒いヤギの着ぐるみを着ていた。
フードを被り、そこから見える顔の皮膚も、鉄のように黒かった。
久我重明である。
重明は、このプリパラのどこかにいると言う羽柴彦六を追って、来たのであった。