高校生家族面白いです。
私は結構前にも一度面白いって感想ブログ書いたのですが、今のこの漫画はその頃より変異というか変容というかあるいは変態というか、面白さが随分変わりました。
私が最初この漫画で輝いてると思ってたのは一郎の前向きさでした。
なんかニュースとかでたまに、おじいちゃんおばあちゃんが定時制高校や大学を卒業したっていうの現実でもあるじゃないですか。
若い頃に叶わなかった学位を一念発起して取得したみたいな。そういうのすごい立派じゃないですか。
私はそういうのに似た感覚で一郎に「偉いぞ!立派だぞ!」って気持ちでいました。
しかし今の高校生家族は非常に摩訶不思議な世界になっています。他ではそうそう見ない感じの。
一郎のバレー部、静香の野球部、光太郎のテニス部、春香の将棋部、が、メインって感じでしょうか。
それでいてちょくちょく変な話も混ざって、何でもありの盛りだくさん状態。
こういう路線、私は以前のブログでこの漫画は「味がとっ散らかってるけど決してまずくはない料理」と表現しましたが、今は味のとっ散らかりとおいしさが両方パワーアップしてると思います。
例えばですよ。家谷家の親子4人ですが、これ、この4人がみんな16歳の四つ子の兄弟姉妹だったとしても普通に漫画は成立すると思います。
4人とも中学卒業から普通に高校進学して、四つ子のそれぞれの高校生活を描く漫画、でも全然問題ないんです。
しかし。成立するかと面白いかは全く別問題です。
もし四つ子だったら人気出なかったかもしれません。おいしい料理にはならないのかも。
おじさんとおばさんと小学生が高校生やってるこそ生まれるものがあるからこうやって連載が続いてるんだと思います。
(あの娘?)
何が生まれているのかはよく分かりませんが。
本当に、なんで面白いのか微妙に分かりません。
しかも家谷家4人は、一郎と春香は非凡な人間、光太郎と静香は平凡な人間で、キャラの個性付けがあまりにも極端です。普通しないレベル。
バレー部編と将棋部編は、一郎も春香も非凡な実力があるせいですごい高みを視野にした物語になってます。なのにおっさんと小学生。
静香は普通のおばさんがのぶかつとかと不思議な絡みをした不協和音がシュール系ギャグの世界になってます。
そして光太郎だけは真っ当な高校生が恋愛やゆるゆる系部活をしてる日常系で、その真っ当さは、他が異質過ぎるせいで、真っ当であることがなぜか変に(異質軍団の仲間に)見えてしまいます。光太郎にはさぞや不本意なことでしょう。
しかも最近はそれぞれの部活に新入生が入ってきて、普通にいい感じに面白そうなことがまた変な感覚を生んでます。
なんなんやこの世界はマジで。
で、それはそうと。
そんな様々な謎世界があり登場人物もかなり増えたこの漫画ですが、私が一番好きな、つうか感情移入してしまうのは屋敷さんです。
光太郎に恋する委員長メガネ少女屋敷理子。
しかし光太郎は弓木さんといい感じになっていて、現時点では全く彼の眼中に無いところが見てて切ないです。
恋愛漫画なら「負けヒロイン」とでも言うのでしょうか。いやこの漫画ではそれ以下です。勝負にすらなってません。
さらに切ないのは、光太郎も弓木さんも全く平凡な高校生であるところ。
二人とも特に異性の人気高いわけでもなく、全然大したことなく誰かから羨まれるような存在でもない中間ランクの高校生です。
(漫画的には光太郎には主人公らしさ、弓木さんにはヒロインらしさはあるけど、目出鯛高校の中では凡庸な存在って意味です)
そんな凡庸な二人が身の丈に合ったささやかな青春やってるのを、横から見てるだけしかできない屋敷さんが、本当にいじらしくて、かと言って私は「頑張れ」とも「光太郎とくっつけばいい」とも思ってるわけでもなくて、ひたすら切ない女の子だと思ってます。
ましてやこの漫画は日常と非日常と正気と狂気が目まぐるしく渦巻いているので、その中で彼女の存在が埋もれていることがまた不憫で、逆になんか注目してしまうんです。
ところで話がずれますが作中最大の狂気は一郎がバレー試合中に若返ったことだと思います。
そのうち春香も対局中に極限まで集中したとき清司には彼女が高校生に見えたりするシーンとかもありそうですね。
話を戻して、屋敷さんも屋敷さんでドラマを持ってます。
母親が教頭先生でその複雑な確執がまた光太郎への思いにも影響を与えてて、その感情の機微の描写は見事なほどです。
いやいや、この漫画でドラマを持ってないキャラはいないですね。花沢にもハドソンにもゴメスにすらも。
あれ?私は結局登場キャラみんな好きなのかも。
みんな生きてる人間でそれぞれの人生があってこの目出高に通ってます。猫も。
あ、いや、うーん、やっぱり一番気になるのは屋敷さん!
でもこの先彼女が光太郎とくっついて幸せになる未来は漫画のセオリー的にはかなり考えにくいと思います。
彼女が失恋して泣きに泣く日がいずれ訪れる心の準備しておくべきですね。
(でも光太郎が活躍して屋敷親子が和解できる日も大いに期待しています)
そして本当にそんな日が来たら、私はつられて涙して、そして同時に「何この漫画」と思うのでしょう。きっと。