河出書房新社 ユヴァル・ノア・ハラリ 「緊急提言 パンデミック 寄稿とインタビュー」って本読みました。
なんか、読んだ感想として真っ先に思ったのは、「ほとんど同じ曲が4曲くらい収録されてる音楽CD」みたいだなあーって感じでした。
で、この本はチャリティーだからチャリティーCDみたいな感じ?
同じような話が4編収録されてる本でした。
うーむ。もしアマゾンとかでレビューするとしたら☆2くらいです。
私はこの本の作者ユヴァル・ノア・ハラリはすごい賢い人と思っててリスペクトしてるんですけどね。
「サピエンス全史」「ホモ・デウス」「21LESSONS」全部読みましたし。
この本だって、書いてる内容自体には感心しましたし。
でもやっぱ同じネタ繰り返しはつまんなくて退屈です。
ハラリはこの本の印税を放棄してるそうです。
慈善団体に寄付するため。
そのこともリスペクトに値すると思います。
(訳者の柴田裕之は印税放棄してないのかな?)
でもなあー。
えーと。この本には。
2020年3月15日に「タイム」誌、
2020年3月20日に「フィナンシャル・タイムズ」誌、
2020年4月20日に「ザ・ガーディアン」誌、
に、寄稿した原稿と、
2020年4月25日に「NHK Eテレ」で放送したインタビューの書き起こし、の、4編が載ってます。
今回のコロナについて、ハラリが思ってることを語ってくれてます。
この4つは、もちろん内容は違うのですが、でもそれぞれに同じ話が出てきてて、マジで「同じ話繰り返してる」って印象を際立たせます。
「アメリカは2008年や2014年の世界規模の危機には活躍したけど、今回のコロナ災害ではリーダーの仕事を放棄している」って話とかは3回繰り返されてます。
あと本の装丁についても、上下の余白が妙に広いし「内容を薄めてページ数を稼いでる」感が半端ないです。
そのへんは、読んでてちょっとひっかかりました。
でもまーそこを置いておけば、話の内容には本当に感心します。
さすがサピエンス全史やホモデウスですごい分析してただけのことはある人やで。っていう。
特にサピエンス全史はまさに「疫病」についてよく書かれていた本で、ホモサピの歴史は疫病との戦いの歴史でもあるってことが理解できました。
ちなみに疫病に加えて戦争と飢餓とで、ホモサピの苦労の歴史3大セットです。
で、ホモサピは19世紀以降、この3つをかなり克服してきました。
そして21世紀は、それらに変わって、糖尿病とか自殺とか超ハイテクの管理社会とか遺伝子改造とか貧富の差とかが課題になっていくだろう、と書いてたのがホモデウス。
しかしそんなときに起こったのがこのコロナ騒動なわけで。
かつての歴史上の伝染病、ペストや天然痘やインフルエンザなどなどと、今のまーまーハイテク時代に起こったコロナは何が違うのかをこの本は解説してくれます。
ようするに、科学は発展してるけど、政治のゴタゴタや、人々の偏見や無知や、それがネットで増幅されやすいことが、これまでにない危機を起こしてると。
さもありなん。むべなるかな。です。
それで肝心の「ではどうすべきか」ですが、それに関しては、この本はあんまり日本人に向けての提言っぽくは無さそうに感じました。
なんか、主に欧米の、地動説や進化論を否定したがるタイプで、自分の宗教的価値観を科学より信頼してるタイプで、今回のパンデミックが起きたのは特定の誰かのせいだと思いたがるタイプの人に向けて、「そういう考え方はやめなよ」と言ってるような印象を私は受けました。
でもまー、ハラリ自身もかなりトランプ嫌ってそうな感じもしてますけどね。
私はトランプがいいとは決して言わないけど反トランプも同じくらいひどいと思うけどなあー。
なんにせよ科学的な姿勢が大事だというのには大いに賛成します。
私が思う科学的姿勢というと、COVID-19は空気感染はしません。
するのは接触感染か飛沫感染。
これこそが科学的な事実なんだから、感染を防ぐのは、ロックダウンやらGOTOやら以前に、まず密を防ぐことに尽きます。
あと手洗い。
徹底するのはまずこの2つです。マジで。
ですよね。ハラリ先生。