今まで隠していましたが実は私はかぐや様は告らせたいの登場人物では伊井野ミコが一番好きなんです。
今回は伊井野ってどんなキャラなのかとかどこが好きかとか語ってみようかと思います。
まず、作者赤坂アカのインタビュー記事に、こんな記述がありました。
「藤原にはモノローグが無い」と。
これは伊井野も同じです。彼女の心がモノローグで語られたことはこれまで一度も無かったと思います。
漫画の中の文章は、ダイアローグ、モノローグ、ナレーションの3つに分類されます。
ダイアローグはセリフとか独り言とか、登場人物が声に発して言うこと。
モノローグは登場人物が声には出さず胸中だけで思ってること。
ナレーションは、登場人物ではない別次元の人格が物語を神(≒作者)の視点から見て解説や実況をすること。アニメ版で青山穣が担当してる部分ですね。
つまり藤原と伊井野には「彼女は今どう思ってるか」をナレーターが実況することはあっても、彼女ら自身が「私はこう思ってる」と胸中を明かす場面は今まで一度も無いってことです。
白銀とかぐやはいつもこれでもかとモノローグで心の声を叫びまくるし、石上もそうだし、早坂や大仏が語り手(狂言回し)になる回もあるし、子安にも少ないながらモノローグはありましたが、藤原と伊井野だけは、ありません。
で、藤原は作者と読者にとって「闇が無いアイドル」であり、今はもうこうする必要は無いかもとのことですが、じゃあ、伊井野は?
彼女は闇があって、決してアイドルじゃなくて、モノローグが無いのはそうする必要や意味があるからってこと?
(ところで今「やみ」を変換したら「病み」と出てきました)
(「闇」と「病み」って同じものでしょうかね???)
では、モノローグが無いからなんなんでしょう?
それは分かりません。
いやマジで。
単に私がこの事実に気づいたからちょっと語りたかっただけです。すいません。
ただ、無いことにどんな意図が込められてるのかは分からなくても、どんな効果が生まれているのかは語れるかもしれません。
モノローグが無いキャラってのは、主人公にはなれません。
「伊井野がメインな回」と言えるような回はあっても「伊井野が主人公になる回」ってのは無かったです。微妙な違いですけどね。
例えば選挙編で彼女の苦しみを語る回では、語り手は大仏がやってました。
(伊井野が登場したての頃からこの図式が構築されてて保たれてるのはすごいです)
伊井野の自室を紹介する回でも、小野寺という訪問者を介して描かれてましたし。
彼女は単独では物語を動かすことはできない存在、自分の語り手を自分でやることができない存在なんです。
伊井野を描くには本人に実際に喋らせるか無言でいさせるか、別の誰かの視点を介さないといけません。
(↑このときも無言)
大仏とか小野寺とか、ナレーションとか、そして石上とか。
読者にとっては、常に誰かの向こう側にしかいないキャラクターです。
ゲームで例えるなら、主人公(操作キャラ)として選択できないキャラです。
それでいてNPCやモブでもないメイン格キャラ。
「今回はかぐやを操作して白銀と戦う」とか「白銀を操作してかぐやを攻略する」とか、それらが目まぐるしく変わるとか、そういうことはなく、常に伊井野は「戦う相手」「攻略する相手」の側です。
ではそういうキャラはなんて言うでしょう?
「ヒロイン」じゃないですか。ですよねー。
(あるいは「ボスキャラ」)
かぐや様のメインの生徒会5人は、白銀とかぐやが主人公、藤原がヒロイン、石上が裏主人公、伊井野が裏ヒロインというのは周知の設定ですが、このあたりとも繋がってるんじゃあないでしょうかねー。
伊井野はこの漫画ではすごーく特別な描かれ方をされてる、特別なヒロインじゃあないでしょうかねー。
どうでしょうか苦しい解釈でしょうか。
あと次に特別かどうかは別として普通に漫画のキャラとして見てみますと。
伊井野はとにかく設定てんこ盛りヒロインです。
堅物風紀委員。実はふしだら(上のインタビューより)。ここまではありがちなヒロイン像です。
しかしさらに、上がり症。大食い。夢女子。がり勉。(元)いじめられっ子。チョロい。低身長。ツンデレ。病み。雑魚。DV耐性。ポエム。などなどと。公式プロフィールでは正義とか未熟者とか未完の大器ってニュアンスが強いです。
なかなかの詰め合わせオードブル幕の内ヒロインです。
世の中「実はエロい風紀委員」も「属性てんこ盛り」も珍しくはないのですが、その両方同時は珍しいし、さらに珍しいのは盛られ要素の組み合わせだと思います。
私が最初に伊井野に惹かれたのもそこです。
最初にありきたり風紀委員キャラとして登場し、選挙の演説会で(過去に陰湿ないじめを受けていたせいもあって)極度の上がり症なところが露呈されて驚いたものでした。
あと夢女子ってのも漫画のキャラで私は初めて見ました。隠れオタクや腐女子だと超ありきたりなんですけどね。
そして最近ついに恋する乙女属性も追加されました。
その相手が石上。
思えば選挙編で伊井野を救おうと最初に動いたのが彼でした。
その時点で既に、石ミコカプ観は誕生していたわけです。
そして白銀とかぐやのように両片思いの関係にでもなるのかと思いきや、石上のほうは全く別の女子・子安を好きになってしまい、子安のほうもまんざらではないように見え(どうなるかはまだ全然分かりませんが)、伊井野の恋は完全なる横恋慕となってしまい、愕然としたものでした。
ただ、伊井野は、石上が他の女子に惚れたからこそ自分の恋心を自覚できたので、これがなければ二人は永遠にただの犬猿だったことを思うと複雑です。
また、実は大仏も石上に気があったことが公開され、でも大仏は「石上が自分以外の女子に優しくするところ」を目撃したせいで、好きになったと同時に失恋したってエピソードが、伊井野が恋を自覚した経緯と対比になってるところにまたギュワンときます。
大仏はふっきれたけど伊井野はふっきれずに胸を焦がし続ける。という、ね。もう切なくてたまりません。
そして横恋慕の図式ではマキとも対比になってます。
マキの苦悩はギャグだけど伊井野のはマジ恋愛漫画、マキは手遅れだけど伊井野はまだ間に合うかもしれない。という、ね。もう切なくてたまりません。マキが。
あれ。伊井野のことを語ろうと思ったら他のキャラの話も抜きにできませんね。
やっぱりかぐや様という漫画は、みんなが絡み合ってる青春恋愛群像劇です。
さて、長々だらだらと書き連ねましたが今回のブログは結論とか締めとか特に何もありません。
ただ私が伊井野が好きなので注目してるってだけの話です。
あ、ブログ冒頭で書いた「今まで隠していましたが」って部分は嘘です。嘘である。
私は自分のブログで伊井野が好きなことをひたすら連呼してます。