河出書房新社 清水浩史「幻島図鑑 不思議な島の物語」って本読みました。
作者が選んだ「日本にある幻の島」を17島紹介してる本で、私は全部知らない島で「へー日本にこんな島があったのねー」と感心してなかなか面白かったです。
この本は、偶然見かけて軽い気持ちでちょっと読んでみようかなと思ったパターンの本です。
「幻島」というのは造語っぽいです。でもまー意味はそのまんまですぐ分かります。
何がどう幻なのかは作者独自の基準。
この本は前半はフルカラーで島々の写真と地図が載ってて、後半は作者が実際にその島に行ったルポというか紀行文が書かれてるのですが、見応えがあるのは圧倒的に前半。
紹介してある島のビジュアルと情報が見やすいし、短い解説が簡潔で非常にわかりやすいです。
一番面白いと思ったのは北海道宗谷郡の「エサンベ鼻北小島」です。
これは誰が見ても「こりゃ幻だわー」ってなるかと思います。
実在しないんですから。
実在しないのに国土地理院の地図に載ってて、それを頼りにその場に実際行ってもそこには何もなくただ海があるだけという。
1987年の測量では「まだあった」らしくて、その情報がずっと更新されないままだったから、こんな事態になってしまったというのですが、1987年の時点でも「あったらしい」って感じで情報があやふやなのが胡散臭くて面白いです。
現地の人々とか郷土史とかにも全然資料がないみたい。
なのに「ある」って扱いになっているという。
なんじゃそりゃ。
で、この島は今年それなりに新聞テレビなどでニュースになったのですが、その第一発見者が作者で、作者自身がこの事実に気づいて新聞に情報提供したのでした。
作者は「島」が好きなおじさんで、島の本を何冊か出したり日本の島々をよく旅行してるっぽくて、そういうマニアだからこそこの事実を発見できたのでしょう。
実際、1987年から今年まで30年間以上作者以外誰も気づかなかったわけで。地元民も国土地理院も。
国土地理院には「しっかり調査しろよ!」と言いたくなりますが、国内の島やら山やら池やら全てを「あるのかないのか」をチェックするのはあまりにも至難の業なので、ちょっとだけ同情します。
あと面白かったのは、島根県益田市の「鴨島」。
こっちも昔あって今は消えた島なんだけど、消えたのが西暦1026年の万寿地震という大昔で、でもかなり確実性が高い調査結果があることと、飛鳥時代の歌人柿本人麻呂が流罪になって死んだ島という伝承があって、あやふやなエサンベ鼻北小島とは対称的にしっかりした歴史とそのロマンを感じさせます。
あとは、現在進行形で消えつつある広島県東広島市のホボロ島。
キリバス共和国みたいにじわじわ水没していく運命だそうです。
あとは用済みになった人口島とか神聖に扱われてる無人島とか。
そして過疎の島。
この本は前半は(私が読む前に期待していた)好奇心をくすぐられて面白いのですが、後半は過疎の島の物悲しさが目立って読んでてしんみりしてしまいます。
昔は何百人か住んでたけど、今は一人か二人しか住んでない島に行ってその人の話を聞いて、作者のおっさんがそれに自分の人生を投影してすっごい感傷的になってるのが、読んでてあまりにも切ない。
落差が激しい本でした。
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