横溝正史「八つ墓村」 1951年発表の小説だそうです。
最近初めて原作小説をちゃんと読みました。
きっとたいていの人は、少なくともこの小説(映画)の存在は知ってるだろう超有名な作品かと。
ネタバレあり感想です。
ただ、詳しくない人にとっては、懐中電灯を頭に巻いた殺人犯が出てくるのと、水面に足だけ出てる死体のと、どっちが「八つ墓村」でどっちが「犬神家の一族」なのか区別がつきにくいかも。
それ以前に横溝正史と江戸川乱歩の区別がつかなかったり、ひいては金田一耕助と明智小五郎の区別がつかなかったりするのかもしれません。
金田一少年と江戸川コナンの存在があるからそこはそうでもないかな?
でもまー「八つ墓村」は何度も何度も映画やドラマになったので、それらを鑑賞してあらましを知ってる人は結構いるのではと思います。
(でも「犬神家」も負けないくらい何度も映像化してるからやっぱり区別つきにくい状態はどうしようもない)
私は江戸川乱歩は好きで、かなり昔に「講談社江戸川乱歩全集全25巻」を読破したのがささやかな自慢です。
横溝の作品はなんとなく読んだことありませんでした。
でも先日、図書館で借りたい本があって、それ1冊だと物足りないから他になんか借りようと思ってうろうろして見つけたのがこの「八つ墓村」でした。
……で、読んでみたら「面白かった」の一言でした。
すごいわ。
映画やドラマはすいぶん前に何度かテレビで視聴したことはありました。
確か、豊川悦司、古谷一行、稲垣吾郎が金田一役をやってたやつは、見た記憶があります。
内容うろ覚え。
でも原作を読んでるうちに、映像版もちょっと思い出して、原作と映像版が全然別物であることに気づいて驚きました。
さらにネットでは「八つ墓村は原作と映画は別物」って言われてたのも思い出しました。
もう本当に別物でした。
読み終わってからwikipediaとかで調べたら改変点はめっちゃありましたが、最大の改変点は「ヒロインの存在」です。
ツイッターとかではたまに「横溝ヒロイン総選挙」って企画があって、そこでいつも1位常連になるくらいの超人気ヒロイン。
そのヒロイン、いくつもある映像版のほとんどで存在そのものがカットされてるんです。
映像版しか知らない人にとっては「八つ墓村のヒロインって、なんか都会っぽい年上の美女なんじゃないの」って感じですが、その女性はあくまでヒロイン3人の中の一人に過ぎませんでした。
メインのヒロインは原作では別にいるのにいつもカットされてるという超不思議なヒロイン。
それが里村典子。典ちゃんです!
本当は横溝ヒロイン総選挙までに前回よりvrupしたギャルゲー風イラストをあげようと思ってたんですけど、間に合いませんでした。春代、金田一先生、典子のバストアップ絵はおおまかにできてるんですが……。今年中には完成したらいいなー。 pic.twitter.com/2rceyjFdcj
— 佐々木麿 (@sasakimaro) June 17, 2016
「八つ墓村」はヒロインが3人います。
森美也子。
多治見春代。
里村典子。
映像版は時間などなどの制約があってか、下二人をカットすることが多いです。
というか原作では主人公寺田辰弥は典子と結婚してハッピーエンドになるのですが、おどろおどろしい苦い結末に改変するために典子の存在が邪魔なのかも。
(でも映像版はそれはそれで良作)
しかしまー、主人公と結ばれるメインヒロインを存在ごとバッサリカットってのもすごい判断です。
その特殊性がまた横溝ファンにとっては典子の人気をあげる一因になってそうな気もします。
さてヒロイン。
第1のヒロイン、美也子(30代前半)は、真犯人で辰弥に近づいて親切にしたり急に邪険にしたりしそれも全ては計画のうちで、最終的には辰弥のことも殺すつもりでしたが、犯行が95%成功してた時点で金田一と春代に阻止されて死亡。
主人公を惑わす怪しい悪女です。
第2のヒロイン、春代(35歳)は、辰弥の異母姉と言いつつ実は血が繋がってないことを知っており辰弥を異性として愛してしまうけど辰弥からは姉としか見られてないことに悲しんでます。
とても優しいけど美也子や典子に嫉妬の感情も見せたりして、美也子に殺害されますがその際に美也子の指を思い切り噛んで致命的な破傷風を起こさせ相討ちとなる執念も見せます。辰弥の胸の中で死ぬシーンが悲しい…。
第3のヒロイン、典子(26歳)は未熟児で生まれたせいか精神的にも肉体的にもどこか足りない印象で、辰弥の一つ下なのに見た目は19歳程度にしか見えなく田舎育ちのぼんやりしたさえない娘でしたが、辰弥と出会い初恋を経験し乙女回路フル稼動します。
短時間で身も心も急速に成長していき辰弥を「お兄さま」と直球ストレートに慕い最終的には彼をゲットしてしまうヒロインオブヒロイン。
原作の後半の展開も、映像版とは全然違ってて、八人の落ち武者が隠した財宝を探して洞窟をじっくり探検します。
辰弥と典子の二人は大ピンチになりつつも財宝を見つけてしまうという。
ラストシーンでは典ちゃん御懐妊。
ネットでは「八つ墓村はハーレムラノベ」なんて評価するネタも見かけましたが、あながち間違いではないです。
典子ルートがトゥルーエンドだったといった感じです。
この小説、探偵小説(推理小説)ではないですね。
金田一も美也子に完敗してましたし。
ホラーでもサスペンスでもない気がします。
おどろおどろしい猟奇小説に見せかけた冒険恋愛エンターテイメント小説でした!
辰弥は春代と典子からどうしてそんなにモテたのか?
ま、イケメンなんでしょうね。
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